第二章 恋愛戦争……開戦!!
9限目
「お嬢、紅茶とチョコレートクッキーです」
「ありがとう……少し考え事をするから」
さて、交渉決裂で宣戦布告となったわたしとキャレルさん。今後起こるであろう戦いでどう動くかをしっかり考えておかないとだよ。
とりあえずクッキーを食べて頭に糖分を送る……あ、美味しい。ビーンさん更に腕を上げたんだね。
まず、わたしに有利な所は財力……今も大量に作り置きした木製食器や植物紙、高級果物やそれらを使ったスィーツカフェ。(わたしが)何もしなくてもどんどん増えていく。入学の根回しで大分お金を使ったけれどすぐに減った分は取り戻せるだろう。
そして情報……事前の根回しで学院に所属させた教師や用務員など。これらも王家の方に協力をしてもらっている部分もある。お陰でまーくんのクラスやキャレルさんのクラスも把握する事が出来た。これからもどんどん活用していく事になっていくと思う。
他にもあるけれど差し当たって重要なのはこの二つになる。逆に弱点は直接的な学院の権力が無い事。学院上位の立場の人の定めた決め事に逆らうのは難しいと思う。仮にわたしを退学させれば多大な寄付金もなくなるから迂闊な真似はしてこないと思うけれど、それを盾にこちらの要求が何でも通るわけでもないと思う。学院の権力にどう対応していくかが課題になるね。
逆にキャレルさんの有利な所……何と言ってもギフトジョブを使った絶対味方を作れる事。学院の一番の権力者とも言える学院長を味方に付けていると思われる。それだけならともかくジョブの能力が上がってもう一人を味方に出来ると言うから驚異だ。
とはいえ学院は組織、王国の王様みたいにいち国民を「国外追放だ!」なんて言って好き勝手出来るわけじゃ無い。仮にやるなら寄付金の件もあるから1度きりの無茶、そうそう使ってこないはず……だよね? そこまでキャレルさんお馬鹿さんじゃ無いよね?
そうか、わたしを追放して新しい学院長を相棒にすれば可能なのか……でも王命で学院にいるんだから余程の理由が無い限り追放なんて無理なはず。つけいる隙など見せなければ良いだけなんだ……このアーリャに隙など無いよ!!
「お嬢、ドヤ顔の所、申し訳無いですがほっぺに……」
「チョコレート付いているんでしょ、最初から分かってたから!」
とりあえずほっぺたを拭きながらわたしは更に考える。
問題は二人目の相棒……シーズン2だっけ? なんでシーズンなんだろう? 二人目の相棒を作れるのは困った。短い時間しか使えないって言ってたけど……弱点をわざわざ言うかな? 嘘をついていなかったとしたら……おそらく転生者のまーくんに効きが悪かっただけで他の人で試していないだけで実はずっと聞く可能性もあるよね? とりあえず二人目の相棒も作れるという想定で考えよう。
その場合は誰を相棒に据えるか……簡単だよね? 学院で
学院ツートップに命令されれば明確な理由が無い限り覆すのは難しいと思う。さすがに学院追放は無いにしてもクラス分けでわたしとまーくんを引き離す事は出来そうだ。そうなればわたしのやるべき事はこれだと思う。
「マリナ、学院の教員名簿を持ってきて」
「はい、持ってきます」
しばらくしてマリナの持ってきた書類……事前に学院の情報が書き記された一部を確認する。これなら何とかなるかな?
キャレルさんの弱点は人手不足。多くても二人……しかも一人は外す事が出来ない学院長。二人目の相棒を切り替えて上手く立ち回れば良いのかも知れないけれど、それでも限界はあるはずだ。わたしが付け入るとしたらそこになるだろう……よし、今日の内に出来る事をしよう。
「マリナ、外出します……一緒に来てちょうだい」
「はい、わかりました」
……編入初日、わたしの一日はまだまだ終わりではないよ。
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