コラボ配信……?

 さて、いろいろ確認しているあいだにもうすぐ開始の時間だな。


「皆、準備は大丈夫?」


「いつでも大丈夫なのじゃ!」


「問題ありませんよ」


「いつでもOK! 私の方でも始めるね!」


 今回は鈴音所持のカメラと俺のカメラ両方で配信するから一応2窓する人からすると2画面配信である。


「うっしじゃあ始めるぞ!」


 そういうわけで配信開始だ。時刻はちょうど10時。


「皆おはようなのじゃ~! 今日は……む?」


「このタイミングですか……」


 ちょうど配信が始まった時、二人が何かを察知したらしい。俺は何も感じてないし、鈴音も二人の様子を見て不思議そうな顔をしている。


「これは配信を続けるべきなのかのう?」


「どうなのでしょうか……」


「二人ともどうしたの?」


 二人の様子を疑問に思った鈴音が質問する。すでに配信が始まっているので視聴者たちにもこの様子が配信されているわけだが……。



コメント

『なんだ?』

『二人の様子的に何かあったっぽい?』



 まぁもちろんの事皆は状況を把握できてない。


「端的にいえばスタンピードじゃな」


「結構な規模ですよ」


「ちょっと待って……本当?」


 スタンピード、それはダンジョンの氾濫の事だ。迷宮から魔物があふれ出す現象の事……。それが今起きてるってことか!?


「そうちゃん! 配信どうするの!?」


 俺に聞く? ここでの判断は多分ウェスタに任せた方がいいと思うけど。


「ウェスタ、スタンピードって鎮圧できそうか?」


「この規模なら少し苦労はするじゃろうが、鎮圧は余裕じゃな」


 すると、鈴音と俺に同時に着信があった。探索者協会からだな。一旦配信はミュートにして俺と鈴音は電話にでた。


『もしもし、夜見さんですか!? 今どちらにいらっしゃいます!?』


 俺に電話をかけてきたのは佐藤さんだ。その声から焦りが伝わってくる。相当な異常事態なんだな。というかなんで盛岡での異常に青森の探索者協会から連絡がくるんだ?


『今は盛岡ダンジョンの中に居ます。盛岡ダンジョンのスタンピードはうちが解決するのでお任せください』


『やはりスタンピードだったんですね……。すいません夜見さん、盛岡ダンジョンはお願いします。もし早く解決することがあればご連絡をお願いします』


 盛岡ダンジョンはお願いします、か。もしや……。


『もしかして他の所でもなにかありました?』


『……よくわかりましたね。今全国5か所でダンジョンから光の柱が上がったという報告を受けています。そのうちの1つが盛岡でした』


 5か所同時にか……! 過去最悪の状況だぞ。盛岡ダンジョンだけでも最速で鎮圧させてもらおう。


『盛岡ダンジョンは任せてください。それではいってきます』


『本当にありがとうございます。くれぐれもお気をつけて』


 俺は電話を切って同じく電話を終えていた鈴音に声をかける。


「ここ、俺らで鎮圧しよか」


「そうだね。というかちょうど中にいるなんてそうしろって神様が言ってるようなもんじゃん?」


 とはいえ俺はおそらくついていくので精一杯だろうな。


「記録用に配信はつけっぱで行こうか。一応私が視聴者に説明するね」


「了解」


 俺は配信のミュートを解除しておく。


「皆、放送事故ちゃってごめんね! 私からSクラス探索者として連絡するよ。札幌、盛岡、さいたま、横浜、博多に住んでる皆は今すぐ逃げて。その場所にある5つのダンジョンがスタンピードを起こした見たいなの。Sクラスの人達がほとんど動員されてるけど絶対安全ってわけじゃないから」



コメント

『ガチ!?』

『なんか外明るいなと思って確認したら光の柱出てて草。逃げます!』

『盛岡ってここじゃね?』



 結構主要都市のダンジョンがスタンピードを起こしたんだな。これ本当にまずいぞ?


「それとスタンピードの記録を取るために配信は続けます! 最速で鎮圧しにいくからコメントの返信とかはできないからそこのところはごめんね! 後なんかいでもいうけど札幌、盛岡、さいたま、横浜、博多の皆はちゃんと避難してね」


「じゃあ早速鎮圧に乗り出すのじゃ」


 ウェスタとレイナが回りに張っていた結界を解除したその瞬間、魔物の者と思われる雄たけびが聞こえてきた。


「ここのダンジョン、魔物はそれほど強くないのじゃ。問題は量、じゃな」


 通路を埋め尽くすほどの魔物がこちらに向かってくる。そのどれもがBクラスに値する魔物だ。俺からすると強い部類に入るやつら。これマジで他のダンジョンが心配になるな。


「出し惜しみしてられないね……初めて人前で使うよ。『竜の魂ドラゴンズ・ソウル』!」


 鈴音が何かスキルを発動すると、鈴音の背に半透明の竜のような羽が生え、さらに頭には半透明の角が片方だけ出てきた。どことなくウェスタに似てるなぁ。


「『氷死フリーズアウト』」


 鈴音が地面に手をつくと、そこからダンジョンの壁がすごい速さで氷ついていく。その氷に触れた魔物たちは一瞬にして氷像と化した。え、Sクラスって皆こんななの? バケモンやんけ。


「ふむ……鈴音はどうしてそれを人前で使ってなかったのじゃ? それを使えば世界最強にも勝てるじゃろ」


「なんとなく、そうちゃんと会うまでは秘密にしておきたかったんだよねぇ。本当になんとなくだから特に深い理由はないよ?」


 ……鈴音って神宮司さんより強いの!?



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