第7話 換金とBクラス探索者
今日は探索者協会青森支部に来ている。朝早くからきているということもあってあまり人がいない。
受付のところまで行くと、20代前半くらいの美人の受付嬢さんが対応してくれた。
「探索者協会へようこそ! 本日はどのようなご用件で?」
「換金をお願いします」
俺はバッグにしまってあった魔石を取り出す。Dクラスの魔石が13個、Cクラスの魔石が下位と上位合わせて6個だ。
「かしこまりました! こちらに探索者証をかざしていただけますか?」
受付嬢さんから差し出された電子マネーなどをスキャンするあれに探索者証をかざす。あれなんていうんだろうなマジで。
「はい、ありがとうございます。査定してまいりますので少々お待ちください!」
だそうだ。査定の間は待合のところで魔法陣を作っては収納しを繰り返して待つ。昨日の夜のうちに20個ほどすでに収納できているからさらに増やしていく。
昨日作った組み合わせ、それに今までに使ったことのある組み合わせにはすでに名前を付けている。
今後登場するときのお楽しみだな。まぁ運によっては一生出てくることはないんだが。
もはやこうなってくると一種のガチャ感覚で魔法陣を作っている。ランダム制による緊張感が戦いの最中に発生することがないのは本当にありがたい。
そうやって新しく魔法陣を作り、それに名付けをしながら30分ほど待っていると、ようやく査定が終了したようで、受付嬢さんから呼び出しが入る。
「お時間をいただき大変申し訳ございませんでした。こちらが査定の結果となります」
そういって受付嬢さんに紙を渡された。どうやら明細らしい。
・Dクラス魔石 1万500円×13 13万6500円
・Cクラス魔石(小) 2万8000円×5 14万円
・Cクラス魔石(大) 9万6000円
・総計 37万2500円
見間違えか? 一介の学生が手にしていい額じゃないぞ? 家に帰ったら家族と相談してみるか。
「なるほど。ありがとうございます」
「すでに探索者証を通じて口座に振り込まれていますので、確認しておいてくださいね!」
現金で渡されるわけじゃなくてよかったな。さすがに30万後半とか怖くて持ち運びたくないからな。
「ありがとうございました」
「またのお越しをお待ちしています!」
37万、ね。今後もこんな風に稼げるのだろうか。まぁラッキーで入手したシーモンスターの魔石が10万近い金額になっていたからそれもあるか。
さて、そしたらこれからダンジョンに向かおうかな。
いや、まず先にどっかでラーメンでも食べてからいこうかな。最近は昼食ってなかったし、臨時収入というかもはや収入だが。
◆◆◆
おいしい塩ラーメンを食べて元気が100倍になったところで今日のダンジョン探索の始まりだ。
今日は魔法を試したいからストーンリザードを狩っていくつもりだ。
ラーメンを食べている時にも魔法陣を作っていたからな。ストックはすでに70個を超えた。
改札を通って中に入る。薄暗いのに明かりがあるように感じるいつもの洞窟の奥へと進んでいく。ダンジョンの中の現象についてはもう考えない方がいいかな。草原が広がっていたり、氷山があったりするくらいだし。
バインドスネークは今回はスルーだ。帰りに数匹討伐して肉を回収する。
そうしてすぐにストーンリザードの生息圏に到達した。よし、早速ストーンリザードを発見した。
キープマジックから魔法陣を一つ取り出す。【風】【火力特化】【遠距離】。
『風刃』の組み合わせだ。魔力を通して発動する。
「『風刃』!」
風の刃がストーンリザードを両断する。この組み合わせは割とお気に入りだ。窮地を救ってくれた組み合わせでもあるしな。
「あの、少しいいですか?」
声がした方向を見ると、俺とあまり年齢が変わらないであろう2人の少女が立っていた。黒髪の少女と銀髪の少女だ。声をかけてきたのはどうやら黒髪の少女らしい。
「はい、なんでしょう」
正直いって声をかけられたことにはめっちゃ驚いた。しかし、あまりビビっていると格好がつかないし、とりあえずは平静にふるまう。
「私、ダンジョンの調査をしている三並 彩佳と申します。あなたに調査に協力してほしくて声をかけさせていただきました」
三並 彩佳……どっかできいたことある名前だな。あ、そういえばBクラス探索者の高校生じゃないか?
それと一緒に居るロシア人? っぽい銀髪の少女についても気になるところだ。
たしか三並さんはソロの探索者だったはずだ。
「僕でよければ調査、協力しますよ。ところで隣のお方は他の協力者ですか?」
有名な人の力になれるなら協力は惜しまないが...。隣の美少女がすごく気になる。三並さんも美少女ではあるのだが、やはり日本の人ではないというか、外国人のような見た目をしているのがとても気になる。
「え、見えるんですか?」
「あ、見えてますよ」
何その見えないものが見えている人みたいな反応。この人もしかして幽霊だったりする?
『なんじゃ、儂が見えるのか? どうりでさっきから目が合ったような気がするわけじゃ』
ちらちら見ていたのがばれていたようだ。いや、こんな日本人離れしてる人いたら見てみたくもなるよね。
「えっと、どういうことでしょう。話が良くわからないのですが」
「すいません、ダンジョンの中で話すのもあれですし、ついてきてもらってもいいですか?」
「あ、はい。構いませんが」
なにやら少し長話が始まるようだ。確かにダンジョンの中で長話や考え事はよくない。考え事をしてる最中に石が飛んできたりするからな。
「はい、そういうことだからロゼリアも行くよ」
『わかったのじゃ~。帰りにあれ、忘れるでないぞ?』
「はいはい、わかってますよ」
急な疎外感。なんの話なんだ一体。
「あ、ついてきてもらえます? えっと……」
あ、名前名乗ってないな俺。
「瀬戸 奏多と申します。奏多と呼んでくださって結構ですよ」
「じゃあ奏多さん、落ち着いて話せる場所まで行くのでついてきていただけますか?」
「わかりました」
魔法の実験はまた今度だなこの感じは。結構時間かかりそうだ。でもこの人達に時間を使うなら悪くない。性格もよさそうだし、なにより美少女だ。
『そうじゃ、奏多よ。儂のことはロゼリアでいいからの!』
ロゼリアさん、しゃべり方独特だな……。
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