69. 破魔の馬鈴花

 邪神の木を伐採しその根元にジャガイモを植えた結果咲いた花。

 ホーフーンもみたことがない花のようだし、ホーフーンのスキルである『解析』も無効化されているみたいだ。

 とりあえず害はない物のようなので持ち帰り世界樹の精霊様に聞いてみることにした。

 クーオも待たせちゃいけないし、早く戻るとしよう。


「待たせましたにゃ、クーオ」


「お帰りですニャ、バオア様、ホーフーン様。その様子ですと邪神の木の伐採は成功したようですニャ」


「成功はしたんだけど……見たことのない花が手に入って」


「見たことがない花、ですニャ?」


「これなんだけど、クーオは知ってる?」


 僕は持っていた花をクーオの目の前に出す。

 すると花から光が天に伸び、いくつかの方角を指し示し始めた。

 なにが起こったんだ?


「バオア! 大丈夫ですかにゃ!?」


「僕はなんともない。ホーフーンたちは?」


「吾輩は大丈夫ですにゃ」


「私も大丈夫ですニャ。でも、その花はなんですニャ?」


「僕もわからない。早く世界樹の精霊様に聞いてみよう」


「その方がよさそうですにゃ。クーオ、世界樹の村までよろしく頼みますにゃ」


「了解ですニャ」


 僕たちはクーオの犬車で一気に世界樹の村まで戻り、広場にある世界樹の枝で世界樹の精霊様と面会した。

 そして持ち帰った花を確認していただいたが、世界樹の精霊様も驚きをかくしきれていない。

 この花はなんなんだろう?


『驚きましたね。この花はどこで?』


「はい。邪神の力が宿った木を切り倒し、その根元にジャガイモを植えた結果、その花が咲きました。それは一体なんでしょう?」


『これは『破魔の馬鈴花』といいます。現世では咲かず、神や精霊たちが住む世界でのみ咲く花なのですが』


「そうだったのですかにゃ。それから、その花を取り出したときに光が天に伸びましたにゃ。あれもなんなのですかにゃ?」


『それはこの花が邪神の力を感知し、それがある方に力を向けたのでしょう。この花自体に邪神などの力を弱める作用がありますので』


 邪神の力を感知する……それって!?


「世界樹の精霊様、その花を使えば世界各地にあるだろう邪神の力が宿った木を探すことが出来ますか!?」


『ええ、可能でしょう。そして、伐採と浄化の方法があるのでしたらそれを繰り返しなさい。邪神の力がなくなれば大地の活力は徐々に戻り始めますし、私も地母神に頼んで再生を促してもらいましょう』


 やった!

 これで世界中を襲っていた不作から解放される!

 樹木伐採機は1台しかないから手分けしての作業は出来ないけれど、破魔の馬齢花で邪神の木の場所を探すのもある程度時間のかかる作業だ。

やれることは一歩ずつ着実に、だね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る