66. 第2の課題に向けた検討
僕たちは人間族国家の支援を一時取りやめ、なぜ世界的な飢饉が始まったのかという根本的原因に向かい合うことにした。
ただ、これについてはホーフーンが推論を持っているらしい。
それは「邪神の力が各地で大地の力を奪っているのではないか?」という仮説だ。
僕はどういうことかわからず、詳しく話を聞いてみることにした。
「まず、この世界的な飢饉は世界中で起こっている不作が原因ですにゃ。ですが、全世界で同時に不作なんて状況が起こることなど珍しいなんてものじゃないですにゃ。それも何年も続いているのは不自然にゃ。いっそ、なにか別の原因がある方が納得できるにゃ」
「それで邪神の力?」
「はいですにゃ。それを調べて各地を転々としていたのですが手がかりがまったくつかめなかったのですにゃ。でも、いまなら少しは手がかりがつかめていますにゃ」
すごい、邪神の力を見つけるだなんて!
その話を聞いてみると、どうやら僕たちが行っていた農地復興がその役に立ったということだ。
「実はドワーフ帝国の一部に1年で不作に戻ったという地域がありましたにゃ。バオアたちが人間族国家の支援に当たっている間に吾輩はそちらを調べていましたにゃ。原因はとある森の中にある1本の木のようですにゃ」
「1本の木?」
「はいですにゃ。その木は黒く染まっており、地面も腐っていて異臭が立ちこめていましたにゃ。落ちていた木の枝で触ってみようとしましたが、触れる前にドロドロに溶けましたにゃ。危険な木ですにゃ」
そんな危険な木があっただなんて。
クーオもこの話は初めて聞いたようで驚いている。
その木がある森のことはドワーフ皇帝に話をしてあり、一般人は近づけないようにしているそうだ。
じゃあ、どうするのかというと、そこが悩みどころらしい。
「近づくだけで危険な木にゃ。どうやって伐採すればいいのか、そもそも伐採すれば大丈夫なのかもわかりませんのにゃ」
「なるほど……そうなると世界樹の精霊様に相談してみるとか?」
「世界樹の精霊様にはもう相談したにゃ。でも、その木は精霊や神の力をはじく力があるらしくどうにも出来ないそうなのにゃ。これまで気付かれなかったのもそのせいにゃ」
なるほど、精霊様でもだめなのか……。
そうなると、精霊様にお願いして新しい道具を作ってもらってもあまり意味がないのかな?
あれ、この農業機器って……?
「ねぇ、ホーフーン。新しい農業機器が増えてるんだけど」
「にゃ?」
「『樹木伐採機』だって。これ、使えるんじゃない?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます