62. エルフ女王国と獣人帝国の復興状況
世界樹の森そばの元ドワーフ領を開拓し終えた僕は自分の屋敷へと戻ってきた。
ホーフーンとクーオはいるかな?
「ホーフーン、クーオ、いる?」
「吾輩はいますにゃ。クーオは夜に戻る予定ですにゃ」
「わかった。元ドワーフ領の開拓は終わったよ」
「予定より少し早くなりましたにゃ。いいことですにゃ」
「うん。よかったよ」
僕は浴場で汚れを落としクーオの戻りを待つ。
その間に最近ホーフーンがまとめている各地の復興状況を聞いてみた。
ホーフーンによると、ドワーフ帝国はもう僕たちが手出しする必要はないだろうということだった。
逆に手出ししなくちゃいけないのは、エルフ女王国と獣人帝国のふたつだ。
このふたつの復興が遅れているらしい。
「獣人帝国は種族ごとに作っている作物が違い畑の利用期間も異なりますにゃ。いくら痩せているとは言え、自分たちが育てている作物を潰されたくないようですにゃ」
「なるほど、その気持ちはわかる」
「はいですにゃ。そういった場所が畑の空く時を待っているので復興が遅れていますのにゃ。食糧としてジャガイモを配っているので危機感が薄いのもあるでしょうがにゃ」
うーん、食糧を先に配ったのが裏目に出たか。
でも、食べ物がないと困る人が多いのも事実だし……難しい問題だ。
獣人帝国が遅れている理由はわかった。
でも、エルフ女王国が遅れている理由はなんだろう?
「エルフ女王国は……ジャガイモと土質がなかなか合いませんのにゃ」
「それって?」
「同じ小麦でも水気が多い土地を好む種類を栽培していたようで、ジャガイモがなかなか根付きませんのにゃ。ジャガイモを植えても根腐れしてしまうのにゃ」
こっちも困ったな。
確かに世界樹の精霊様も水はけのよい土地でと言っていた。
そういった環境がないとジャガイモでも土地を改善することは難しいみたいだ。
「次善の策としてジャガイモを何回か植えて土質を合わせるように指示しておいたにゃ。世界樹の村で試した結果、水分の多い土でジャガイモを栽培すると一度根腐れをしても周囲の土の水分を吸い取ってくれることがわかったのにゃ。世界樹の村で栽培したジャガイモでなければこの性質は表れませんでしたので、世界樹様の恩恵の一部だにゃ」
なるほど、何回か試すことで水分を吸い取っていくのか。
そういった土地はジャガイモ栽培が終わったら、また水をまいて元の土質に戻すらしい。
エルフは伝統的な小麦が好きなようで、クーオが売り歩いている小麦粉もあまり買わないらしいからね。
この村でも複数種類の小麦を栽培して種族ごとに合わせた小麦を用意すべきなのかな?
クーオが戻ってきたら相談してみよう。
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