第43話 なんでや。 【コラボ】






――20:16





忌魅子の仔『――ああああっ!はやくっ、はやくーーー!!』

七海『やってますから!!焦らさないでくださいよ!!』



忌魅子の仔と七海の二人は赤く光る水晶の塊へと手をあてている。ゆっくりとその色が薄まり始め、ゆっくりと白い光へ変わりつつあった。



七海『よしっ!もう少し!これであと4つ!!』

忌魅子の仔『いえ、あの子達が成功していればあと3つです!!あと3つ水晶を浄化すれば、私達が閉じ込められている結界を破壊することができる!!』

七海『ですね!シロネとアリスを信じましょう!』



――ドス



七海『......え?』



腹部から飛び出しているナイフの刀身。向かいにいる忌魅子の仔が信じられないと言わんばかりに目を丸くし、それを見ている。



忌魅子の仔『な、なんだとおおおおおおおおーーーッッ!!!?』



七海を刺した犯人がスッと背後から現れる。



名無しの絵師『ははっ、油断しすぎでしょう』


忌魅子の仔『な、なんで、【鬼】が近づくとプレイヤーはそれが察知できるようになってるのに......BGMで』

名無しの絵師『私の使用したキャラクターはそれが無いんだよ。ははっ......つーか、逃げなくて良いのか?』



膝をつく七海。だらんと力が入らず、あとは【鬼】に連れて行かれるだけだ。


彼女は忌魅子の仔に顔を向け、悲痛な表情でこう言った。



七海『に、げ、て......』

忌魅子の仔『な、七海さんを置いて行けない』

七海『いいの......まだ私はこれが1回目よ。まだあと2回ある......後で助けに来て』


名無しの絵師『だ、そうだ。殺されない内に消えなよ』



にやにやと血濡れのナイフを舐める名無しの絵師。



忌魅子の仔『くそっ、必ず!!迎えに行くからッ!!』

七海『ええ。信じてる......』



逃げ去る忌魅子の仔。彼女が去るのを見送ると岡部は七海を担ぎ上げた。



名無しの絵師『くくくっ。さて、行くか――と、その前に』



岡部は白い光を放つ水晶に手をかざした。するとその光は再び血のように赤黒い光に戻った。



七海『......くそ......』

名無しの絵師『無駄な抵抗ご苦労さま。ははははっ』



くるりと踵を返し、七海を担いだまま屋敷へと向い歩きだす。目的は屋敷の中にある結界へ彼女を封ずる事。



このゲームは1【鬼】、4【人】で行われる鬼ごっこである。


屋敷を中心とした森までの敷地を包む結界。その結界を解き鬼から逃げるため、敷地内5箇所にある【封印の水晶】を浄化し逃げ道を確保、その脱出口から逃げる事でクリアとなる。



七海『......きっと誰かが、結界を解いてくれる......』

名無しの絵師『どうかなぁ?だとしてもお前が助かるとは限らない。くくく』



プレイヤーは鬼に捕まると屋敷の中にある一室に封印される。他プレイヤーは助けに行くことで時間はかかるがその封印を解き助け出すことができる。


が、それは3回まで。4回封印されてしまうと肉体が石化し助けることができなくなり、そのプレイヤーはゲームオーバー。さらに封印され一定の時間が経過すると、それもまた肉体が石化しゲームオーバーとなる。



――ドサッ



部屋につき、降ろされる七海。名無しの絵師が印を結ぶと部屋が赤く染まった。



名無しの絵師『さて、次は誰を狩るかな◆』



その時、ふと名無しの絵師が立ち止まった。



名無しの絵師(......いや!なんで私がコラボ参加してんだよ!!)



※名無しの絵師=岡部倫。


彼女は自分へとツッコミを入れるように手に持っていた巨大包丁をブンと振った。



『アリスママ、ノリノリで草』

『ww』

『いや特別ルールあるから仕方ないやんw』

『役柄になりきるやつな』

『にしても何このハマり具合ww』

『シロネちゃんがんばれー』

『シロネとアリスは上手くやっておるのか』

『七海助けねーのかww』

『忌魅子の仔は?』

『あいつなんか岩陰にキャラ放置してトイレ行ったぞw』

『自由か!!ww』

『今だ忌魅子の仔もさらえ!!』

『いや名無しの絵師らコメント欄みないルールだからトイレ行ってるの分からんやろww』

『てか七海が完全に封印されるまで見張っとかなくていいんか』

『さあw』

『あえて退場させないで遊んでるのかも?』

『名無しの絵師がわかってない可能性も......』

『なーほーね』

『このゲーム自体あまりやったことないみたいだから』

『つーか急に参加させられたって言ってたよね』

『かわいそうママw』



忌魅子の仔、七海がいた場所とは正反対。森の奥地にシロネとアリスはいた。



シロネ『いじょーなしっ!いいよぉ!続けてアリスちゃんっ!』

アリス『りょりょりょ!』



ふたりで水晶を浄化作業を行うと浄化完了までのスピードが短縮される。しかし、アリスシロネペアはふたりで作業に取り掛かり、いつの間にか【鬼】に接近されるという事故を防ぐため、シロネが見張り、アリスが浄化と役割分担をしていた。



アリス『七海さんと忌魅子の仔さん大丈夫かな?』

シロネ『大丈夫でしょっ!伊達に私らより長生きしてないからねっ!』

アリス『そっか』



『なんか煽られてね?w』

『忌魅子の仔泣くんじゃね?』

『長生きww』

『今さっきやられたばっかりなんだがww』

『腹いてえw』

『いやアリスも「そっか」てwww』

『って、おおおお?』



――木々の隙間。半身を覗かせながら、暗闇から2人の姿をガン見する女が1人。



名無しの絵師『み つ け た......(小声)』



『にげてええええww』

『こええよww』

『声色がホンモノのそれなんよww』

『演技ってレベルじゃねえーぞw』

『アリスーーーーー!!!』

『夢に出るレベルでこええ』

『逃げろ』

『気づけ!!』

『シロネちゃん見張りなのに気が付かないww』

『いや名無しの絵師が隠れるの上手いんだろw』

『はよ』

『ヘルプ!!忌魅子の仔!!』

『まだトイレやぞ』

『いや冷蔵庫いったよ。酒が足りんとか言って』

『え?』

『は?』

『ま?』






☆コラボ特別ルール。


1、役柄になりきる。


2、コメント欄は見ない。


3、上記2つを違反した場合、十秒行動不能。(ゲームパッドから手をはなし十秒声に出し数える)







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★お知らせ★


いつも読んでくださりありがとうございます!

すみません、本作品とは別にちょっとしたお知らせです。


【TSした男子高校生はガールズバンドでなり成り上がる。】という新作を始めました!


こちらは朝起きたら突然、女体化してしまっていた男子高校生のお話です!


いじめられ引き籠もりだった主人公、青山結人が天性の歌声を手にし、ガールズバンドの五人で成り上がっていく物語!ざまあも有ります!


ご興味があればぜひご一読を!

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