第75話
モーラン・ドーバ男爵が捉えられてから数日、ジェコネソは色々と慌ただしかった。
貴族の一人が闇ギルドを運営しており、それをギルドが取り押さえた。
そんなニュースが飛び散り混乱や不安などでパニックが起きるのかと思ったが、むしろ逆でお祭りのような騒ぎであった。
理由は単純に『グランドマスターが闇ギルドの一つを潰した』・・・その功績が地元で起きたというなんともよく分からないものである。
そんな訳で特に嫌な空気にはならず俺達は才の要望もありもうしばらくジェコネソに滞在した。
まあ殆どダンジョンへのお土産を買う事やジョージ達の仕事場を覗いたりで時間はつぶれたが。
ギルドでのやり取りで忘れていたがジェコネソには色々とダンジョンにはない品が沢山ある。なので珍しい物は奮発して色々と買う事にした。
そんな風に人生で一番買い物したと思うくらい色々と買った俺達だったが丁度ヒスイが現れてギルドに来て欲しいと言った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「さて今回は光輝達に色々と迷惑をかけたな」
そんな風にギルドマスター部屋に集められた俺達に声をかける才。
本来はそこはギルドマスターであるウィリアムが座るべきなんだが、それ以上に偉い才が当たり前のように座りウィリアムは後ろで立っていた。
才は今回の事件で色々と後処理で忙しかったらしく旅館でもあまり顔を合せなかった。多分旅館じゃなくてギルドで寝泊まりしていたのだろう。
「まあ迷惑をかけたのはモーランだし才が謝る事じゃないだろ?」
「そうなんだが、テオプア側としては申し訳ないと思っている。今回の件でセレナ・・・王族にも伝えた結果モーランは投獄、ドーバ男爵家の財産の一部は没収という事になった」
財産の一部を没収という事は男爵家が取り潰しになった訳ではないという事か。
「っでだ、その没収した財産は奴の被害にあった者達への賠償金として割り当てる事になっている」
まあ当然だろうな・・・あの男爵色々と悪い事していたみたいだし俺達以外にも被害者はいただろう。
「っでだ、光輝達にもその財産を与える対象になっている」
「え?マジ?」
「マジ・・・といっても奴が所有していた資産はほぼ賠償金として被害者に渡した後なんだがな」
「ん?ちゅー事はワイらには残りモンを渡すってことか?」
ゾアの一言でなんか不穏な空気になってしまったが、俺としては別にお金とかいらないし。
「まあ押し付けと捉えてもいい・・・光輝達に渡したいのはこれだ」
才が一枚の紙を俺達に見せるとそれは家の見取り図だった。
「この紙が財産?」
「紙じゃない・・・屋敷だ」
は?
「ドーバ男爵がジェコネソで使っていた屋敷を光輝達に譲りたい・・・まあ、今回の事件解決の報酬も含めての対応になるが」
は?屋敷をプレゼント?
「ちなみに被害者たちには名前は伏せてあるが光輝達のおかげでモーランを捕らえる事が出来たと伝えたら『是非一番価値のある物を渡してください!』とのことだ」
それで一番価値のある屋敷を俺達に・・・
「分かった・・・ちなみにその屋敷はどこに?」
「ああ、これから案内する」
そして才の案内で屋敷へ向かうのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「これはなかなかデカいな」
見取り図でも思ったがまさに金持ちが住む家って感じだった。
モーランが使っていた事を抜きにすれば結構良い物件じゃないかと思う。
「闇ギルドで相当稼いでいたみたいで、この屋敷もその資金で建てたものらしい」
汚い金で建てられた家か・・・いや止めようとりあえず中を確認だ。
「ウァオ」
真っ先に出た言葉はこれだった。
玄関は広く、正面にはデカい階段に左右に分かれて二階へ続いている。
天井にはシャンデリアやステンドグラスとかあってなんというか『金持ちの家』を体現しているような屋敷だった。
「へぇ、中々ええやんか」
「コウキ様!厨房見てきていいですか?」
「これはなかなか参考になる建物ですね」
とまあ他の皆も結構気に入った様子で周りを見る。
所々壁や床に傷が見えたがどうやらモーランの部下とギルドが争った時の跡らしい。
修繕は後にギルドがしてくれるそうだ。
才の案内で各部屋を案内し、最後にやって来たのはモーランが使っていた部屋だった。
「へぇダンジョンの俺の部屋より豪華だし広いな」
やはり一番偉い人の部屋だったからなのか他の部屋と比べて扉や壁とかはかなり装飾とか凝っている。ただ飾っていた者とかは全部ギルドが回収してみたいで、そこに何かが置いてあった跡とかが所々見える。
そのせいなのか床にあるでっかい亀裂が物凄い存在感を放っていた。
ここでも争いがあったのだろうか?
この亀裂もちゃんと修繕しておいてほしいものだ。
「まあ確認は以上だがこの屋敷を引き取ってくれるか?」
平然とした顔で才は言うがよく考えてみたらこれ訳アリ物件だよな。
しかも使っていたのがあのモーラン・・・だが・・・
後ろにいるジョージ達は見ると随分とこの屋敷を気に入ったようだ。
まあそんなもの気にするような奴らじゃないし拠点が丁度ほしかったから渡りに船か。
「ああ、分かったありがたく貰うよ」
「ならこの紙にサインをしてくれ。この世界で使い契約書だ」
そう言って才が取り出したのは一枚の薄青い紙だった。
魔法具の一種なのだろうか、文字とかが虹色に光っている。
俺は一応ゾアと一緒に契約書の内容を確認する。
才は信用できるし疑ってはいないがこういうのは複数で確認した方が良い。
内容としてはこの屋敷を(乙)・・・つまり俺が所有者となること。
特に違約金とかもないみたいだし本当に報酬としてもらう内容であった。
俺は才に渡されたペンを手に取りサインをする。
すると契約書が光り消えてしまった。
「契約成立。これでこの屋敷はお前の物だ」
「ははは・・・まだ実感が持てないよ」
こうして俺達はテオプアに拠点を手に入れたのだが、その瞬間モニターが急に出現しあるメッセージが表示される。
『屋敷をダンジョン化させますか?』
・・・ダンジョン化?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます