第61話

俺達は門番のおばさんの言われた通りに噴水がある場所から左へ進むと何やら凄く目立つ豪華な建物が建てられていた。見るからに貴族とかが住んでいそうな建物だ。


「ほぉ、これは立派な建物ですね・・・素材はなんでしょう?」


早速建物に食いつくテスラは目を輝かせている。


「ところでコウキさん、先にこっちに来てしもたけどええんですか?確か待ち人がいるとか?」

「ああ、それなら大丈夫だ。予定では先方は明日来るみたいだし先にワイト達の要件を済ませよう」


ノフソの森を移動している時、エイミィとの連絡であっちの異世界人がジェコネソに来る日を教えてもらっていたから特に問題は無い。こっちの要件を済ませたらエイミィに一報しておくが。


「しっかし、ここがギルドか・・・なんか酒場とかイメージしてた」

「酒場?酒場で物の買い取りが行われるのですか?」

「いや、そうじゃないけど・・・」


少し自分のイメージと違った事に衝撃を受けていたがまあこういう建物もアリか。


俺達はそのままギルドに入るとなんか会社のフロントみたいに受付の女性が数名いた。


「いらっしゃいませ、ようこそギルドへ。本日はどのようなご用件で?」

「えーと道具の買取をしてもらいたくて。あと仕事とかあったら見てみたいんですが」

「ちなみにギルドメンバーの登録はされていますか?」

「メンバー?・・・いえ、していませんが」

「でしたらまず右の部屋にある受付で登録をお願いいたします」


随分と丁寧に説明する受付に俺達は言われるままに右にある部屋へ向かった。


「随分と面倒ですな・・・買い取りやったらポンと出してポンと払ってもええんとちゃいますか?」

「メンバー登録って事は個人情報を預けるって事だ。盗品を出された場合、すぐに特定するのに便利だろ?」

「ああ、なるほど」

「あの自分達もギルドメンバーの登録をするのですか?」


不安そうな顔でジョージ達が俺を見る。

確かに街の店を回ったりするだけでも十分勉強にはなるが、せっかくなら仕事も受けられるようにしていた方が都合がいいだろうと思う。


「ジョージ達は技術の勉強をしたいんだろ?だったら現場で学んだ方が良いんじゃないか?」

「そうですね、わかりました!」


納得してくれたのかジョージ達もメンバー登録をする気になったようだ。


そして部屋に入ると4,5人の制服を着た男女が受付で対応を行っていた。なんというか地球の役所の雰囲気に似ているような気がする。


「こちらのカウンター空いていますのでどうぞ」


俺達と視線が合った受付の男性が手を振って招くとすぐさま羽ペンと紙を取り出した。


「本日はどのようなご用件で?」

「えーとギルドのメンバー登録をしたいのですが」

「でしたらこちらのプレートに触れてください」


おおぉ!ザ・異世界テンプレの魔法のプレートだ!

水晶とかもあるのかな?


俺はそのままプレートを触るとプレートから一枚の青いカードが出てくる・・・なんか印刷機みたいだな。


「なるほど、触れた相手のステータスを読み取ってその情報をカードに写したと・・・面白い道具があるんやな」


ゾアはすぐさまプレートを分析して興味深そうにのぞき込む。


「ではコウキ・エドワード・カンザキ様・・・こちらがギルドのメンバーカードとなります。これをギルドの支部などで見せれば依頼や買い取りを行えます」


そして取り出されたカードを確認するとちゃんと俺の名前と出身地と種族名が表示されていた。この国の読み方なのか苗字が後ろに表示されている。


「これ他の人がなりすましとかに使われる可能性は?」

「大丈夫です、本人以外が持ちますと」


そう言って受付のお兄さんが俺のカードを持つとカードの色が青から赤へ変わる。


「魔力認証機能が付いていまして本人が持たないと色がこのように変わります」


なるほどなりすましとかは無理って事か。


その後ジョージ、テスラ、マリーも登録を終えて次はワイトの番なのだが。


「あ、すみんまへん。先にワイがしてもええですか?」


割り込むようにゾアが席に座った。


「ゾア?お前も登録するのか?」

「ええ・・・ちょっとワイも興味がありませて」


だったらワイトの後でも・・・

そう思ったがワイトは特に気にしていないようなのでゾアに譲った。


そしてゾアも俺達と同じようにプレートに手を触れると彼は小言で「【格下げダウングレード】」と呟いた。


それを聞いた俺は内心ヒヤッとしたが受付のお兄さん達は気付いていないようだ。


そしてプレートからゾアのカードが出るとちゃんと種族名がエルフになっており、それを確認したゾアはニヤリと笑い俺の隣に立った。


「お前何をした?」

「その説明は後でします・・・とりあえず今は終わるまで待ってください」


そしてワイトのカードも無事に発行され種族を確認すると『人間族』と表記されていた。


ついでにデューオとボーロックもギルド登録するか聞いてみたが二人は護衛だから遠慮した。


「ではこれでカードの発行は終了です。続きましてギルドの種類についてご説明させていただきます」

「種類?」

「はい、ギルドには護衛や指定の場所の調査の依頼を受ける『冒険者ギルド』、指定の品を納品する依頼を受ける『職人ギルド』、ギルドの組合に加入して販売を行う『商人ギルド』がございます。ギルドが所有する場所で商売を行う場合はこの『商人ギルド』に加入する必要があります」


ひとくくりに『ギルド』ではなく依頼の種類で分けているのか。それに商人ギルドに入らないと販売はしづらいのか。


「次に依頼受付についてのご説明をさせていただきます。ギルドでは依頼の難易度によってランク分けがされています。最初はEランクからで、受けられる依頼もEランクのモノのみとなっています」


これはゲームでも鉄板のランク分け制度だな。受付のお兄さんの話だと、Eランク、Dランク、Cランク、Bランク、Aランクと階級になっている。


「またギルドに加入する際やランクアップの試験を受ける場合は料金が発生するのでご注意ください」


え?金を取るの・・・まあ資格試験とかも試験料とかあるし当たり前か?


「ギルド関係者の推薦状があれば料金は免除されますが、入会費は2000エーヌとなります」


エーヌ・・・この世界の通貨だ。エイミィ曰くこの世界の殆どの国がエーヌの通貨で取引が行われている。ただ一部の国は鎖国状態で独自の通貨を発行しているらしい。貨幣も銅貨、銀貨、金貨であり銅貨が1エーヌ、銀貨が100エーヌ、金貨が10000エーヌと定番設定で凄く分かりやすかった。


つまり2000エーヌという事は銀貨20枚必要というわけか。


「すみません、物の買取とかだと『商人ギルド』に入らないといけないのですか?」

「いえ買い取りのみでしたら現在のメンバーカードで行えます。ただ店を構えて販売する場合は『商人ギルド』に加入しないといけません」


なるほどね・・・じゃあ俺は現状このままでいいのか。ワイト達は職人ギルドで登録が必要みたいだしそっちを先に済ませるか。


そう思い次は職人ギルドの受付へ向かうのだがゾアがいきなり受付のお兄さんに尋ねる。


「ところでプレートってどうやって作ったか分かります?ワイメッチャ興味があるんやけど!これ手に入れる事とか出来まへんか?」


いきなりグイグイと来るゾアに受付のお兄さんはびっくりした様子だったがすぐに受け答えする・・・プロだ。


「申し訳ございません。こちらのプレートを作成したのは宮廷魔導士長様でどのように作ら得たのかは我々では到底説明できません。それとこちらは売る事は出来ませんのでご了承ください」

「ちぇ~、残念やな」


ゾアはそう言って諦めたように受付から離れて俺達の所へ戻ってきた。

だが俺は見逃さなかった。ゾアは質問している最中にちゃっかりとプレートに触れていた。


「元に戻したのか?」

「あのままでもバレないとは思いますが念のため」


ニッと笑いながら言うあたりこいつ詐欺師とか向いているんじゃないかと思った。

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