第57話

農場エリアの視察が終わり次は研究所エリアに来た俺だが・・・


「やっぱりここが最後か・・・」


これまで何度も地下45階層の視察をしていたがどうしても研究所エリアは最後にしてしまう・・・主に精神的な理由で。


「ゾアいるか?」


研究所エリアでひときわ目立つ大きなドーム状の建物・・・現在はゾアの研究所として使用されており、地下22階層よりもこっちにいる事が殆どだ。


「お、コウキさん今日も視察ですか?」

「ああ、亜人達の方はどうだ?」

「ええ、メッチャ助かっとります」


ゾアの視線の先には亜人達の姿だけでなく以前からいたゾアの部下達も混ざって議論しあっていた。以前の俺の説教が効いたのかゾアもしっかりと部下達の育成をしていたみたいだ。


「コウキさんが以前言っていた意味がようやく分かりました。もしワイ一人だけでここを作っていたらこんな楽しい場所は出来なかったはずや」


そんな風に言うゾアだが少し顔を曇らせる。


「どうしたんだ?」

「実はワイトの事なんやけど・・・亜人達が来てなんか考え込む事が増えた気がすんです」

「色んな人が来て馴染めないとか?」

「ちゃいます、むしろ積極的に交流しとるで・・・ただダンジョンの外の事を聞いたりしているみたいなんや」


ダンジョンの外か・・・まあワイトみたいな子供だったら興味を持つか。


「正直ワイとしてはワイトには色んなもん知ってもらいたいと思ってるんです・・・

ただあいつの才能の凄さに目をつけられると少々厄介というか・・・」

「邪神やルヌプの件もあるし、できれば目が届く範囲に置いておきたいよな」


ゾアの気持ちは分かるしもし彼が外に出て勉強したいと言い出したら俺だって応援してあげたい。ただ外の世界が危険である事も事実、子供のワイトを出させるのはまだ早い。


「まあワイトの口から言うのを待つか、あからさまに外に行きたい様子だったらまた考えるよ」

「そうしてくれると助かります」


ワイトの話をした後はゾア達の研究発表会が開かれ様々な開発した物を見せられた・・・中には使いどころが分からない物まで混ざっていたが、皆作品を面白がって見ていたため意外と楽しかった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そんなこんなで定期的な視察は終わりいつものように作業部屋に着くとエイミィとアルラが待ち構えていたかのように俺を見た。


「ちょっと話があるんだけどいいかな?」

「どうした改まって?悩み事か?」

「まあ、悩み事というか紹介したい人がいるの」


エイミィがそういうと二人の後ろで大き目なモニターが出現する。


『やぁ、初めまして。神崎・エドワード・光輝君。君の事はエイミィから色々と聞いているよ』


映し出されたのは白ローブを纏った銀髪の青年。


「紹介するわ、彼は私達と同じ三大神の一柱、【記録】を司るシンよ」

『どうもシンです。僕は役割の都合上その世界に行く事が出来ないなのでね、こうしてモニターから話をさせてもらうよ』


随分とフランクな性格の神様だな・・・エイミィやアルラといい神様って意外と親しみやすいのか?というかアルラもいるからこの場に三大神が揃ったのか?何気に凄い場所になっていないか俺の作業場?


「初めまして光輝です。それでエイミィが自分に紹介したいと言っていましたが、もしかして邪神に関係する事ですか?」

『ああ、僕に対して敬語とかはいいから。普通にエイミィやセフィロト・・・今はアルラだったね、彼女達と同じように喋ってくれたいいよ。そういうの気にする性格じゃないし』


シンの態度を見て少し気が抜けたのか肩の力が抜けたような気がした。


『それでその質問に対しては【YES】だ。僕も君達の力になれると思ってね』

「光輝あまり真に受けないほうがいいわよ。シンはこう見えてかなり腹黒でひねくれものだから」

「そうですね、人の反応を見るのが面白いって理由で昔は結構、エイミィや私を弄っていましたからね」

『っちょ!二人とも酷くない?!・・・否定はしないけど』


しないのかよ!・・・というか何となくエイミィ達が苦手にしそうなタイプだ。


「それで力になるというのは?」

『ああ、実は君意外の異世界人を引き合わせたいと思っていてね』


は?俺以外の異世界人?


いきなりの爆弾発言に俺の思考が止まる・・・そんな話聞いていないぞ!

俺はギョッとエイミィを見ると彼女は少し面目なさそうな目で俺を見た。


「ゴメン光輝・・・最初は言ったらダンジョンを出ていくと思って言わなかったんだけどいつの間にか言うタイミングが無くて」

「私もついさっき知りましたわ・・・まさかこの世界の住民が異世界人を呼んでいたなんて」


この世界の住民が異世界人を呼び寄せたのか?どこのファンタジー小説だよ・・・いや俺も十分にファンタジー設定だな。


『彼は6年前にテオプア王国で起きた内乱を治めるために呼び出されたんだ・・・なんかついでに【勇者】の代わりに【魔王】も封印しちゃったみたいだけど。今は色んな功績でテオプアの重鎮として活躍しているね』


ついでで魔王封印しちゃったのかよ。どんなやつなんだ?


『興味あります?』


シンはわざとらしく俺に質問する・・・あ、コレは答えを知ったうえで聞いてくる顔だ。


「そりゃ会ってみたいよ・・・ただその人が味方なのか分からない以上不用意に接触はしたくない」

『それなら大丈夫です・・・彼はこちら側の人間ですし、エイミィからも信用はされています。ルヌプの事も伝えていますからね』


はい本日何度目の爆弾?

ちょっと爆弾処理班来てくれませんか?・・・え?言葉の爆弾は無理ですか?


再びエイミィを見るとまたも面目なさそうに俺に謝っている。


「ゴメン・・・ただ彼はテオプア側だからルヌプの事は教えておかないといけないって思ったの」

「ノバに口止めはされていたんじゃないか、いいのか?」

「精霊の兵器については言っていないわ。ただルヌプが精霊の逆鱗に触れたってだけ」


まあノバも他国が精霊を使って兵器を作る事を嫌がっていた訳だしその事を話していなければ大丈夫なのか?


『どの道ルヌプがやらかした事は他国に知れ渡るでしょうね・・・君の所のエドワード君がルヌプ中に精霊帝の制裁宣言を大々的に知らせたから』

「そうなのね・・・まあエイミィが信頼できる相手なのは分かった・・・ん?じゃあ俺じゃなくてその人に頼れば良かったんじゃないのか?」

「言ったでしょ、彼はテオプアの重鎮だって。彼に助けられた場合テオプアに肩入れするとみられる・・・そうなれば今まで友好だった国がテオプアに攻め込む可能性だってあるわ。他にも知り合いはいるけど皆どこかの国の王だったりお偉いさんだったりで頼みづらかったのよ」


なるほどなだからダンジョンなんてどの国にも属さない物を創らせたわけか。


「意外と交流相手いたんだな、てっきりボッチだと」

「ボッチじゃないでーす!」


ボッチという言葉に即座に反論すなよ。


「まあいつかこっそり紹介するよ。一応彼らも立場があるからね」

「その時を楽しみにしている・・・っと話が逸れたがその異世界人には会えるのか?」

『会えるよ、一応彼には僕の加護を与えているから僕から連絡を入れておくよ』


神の加護ってあれだろ?【ゴッドスキル】とかいうやつ。


「そうか、それじゃ俺はまたダンジョンに出る支度をすればいいのかな?」

『そうですね、ダンジョンからテオプアを目指すなら『ジェコネソ』という町が丁度いいかと。意外と光輝君が好きそうな場所だと思いますよ』


テオプア王国のジェコネソか・・・ルヌプの件とは違うから正直楽しみだ。

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