第38話

精霊と亜人の救助が決定してからはダンジョンは少し慌ただしくなった。


エドは部隊の編制、ゾアとミーシャは必要な物資を集め、グラムとリンドはガウス達が住む居住区の仮設住宅の設営に取り掛かり、カーツとカルラは食料調達、メリアスは料理・・・うん、皆働き者だ。


皆が働いているのを見ていると俺も何かできないか考えないと。


・・・そう言えば精霊との契約ってどういう効果があるんだっけ?


早速俺はモニターを操作して精霊の項目を探した。

モニターにはテイムモンスターの項目の下に契約精霊の名前が入っていた。

どうやら【テイム】と【契約】は別物のようだ。その証拠に【テイムスキルIII】の隣に【契約】のスキルが追加されていた。


【契約】

・契約対象を半径20m以内に召喚できる


「召喚って事はテイムモンスターの呼び出しと同じ奴だよな」


俺は試しに土の精霊を呼び出した。


「うむ、機能は同じようだな」

「けいやくしゃさん、くっきーある?」


小人のような土の精霊はあの時にクッキーの味の虜になってしまったようだ。

俺はクッキーを取り出して土の精霊にあげた。


「ところで精霊の契約について教えて欲しいんだけどいいかな?」

「いいよ。せいれいはけいやくしゃさんのおたすけをするの!でもせいれいはじぶんのまりょくをあまりつかえないからけいやくしゃさんのまりょくとしぜんのまりょくをつかってたすけるの!」


つまり精霊は契約者・・・この場合俺と空気中にある魔力を循環させて力を行使する。ノバも単体ではそこまで力を出せないと言っていたのはこの事だったのか。


「かきゅうせいれいは、ちからがよわいからそんなにつよくないよ?」

「ちなみにどれくらいの力は発揮できるんだ?」

「これくらい」


土の精霊はまっさらな平地に手をかざすと突然地震が発生して目の間にデカい岩がまるでタケノコのように生えてきた。


「すご!」

「わたしもびっくり」


なんか土の精霊ちゃんまで驚いているんだけど。


「けいやくしゃさんのまりょくすごい!このあたりのまりょくもすごい!だからこんなにできた!」


そう言えば俺の魔力ってダンジョンに溜まった魔力から引かれる仕組みになっているんだっけ。しかもここには魔力を生み出す大樹もあるんだし精霊もビックリな結果になったわけか。


「凄いな、コレが精霊の力か」


試しに岩に触れてみたが思った以上に堅かった。これで串刺しなんかされたらひとたまりもないな。まあ今回は条件が整っていたからこの強度だろう。


「おや?強い精霊の力を感じたと思ったらコウキ殿でしたか」

「ノバさん・・・ええ、ちょっと精霊の力が見たくてこの子に協力してもらいました」


土の精霊はどんなもんだと言った感じで胸を張ったポーズをしていた。


「この辺りは魔力で満ちていますからね・・・コウキ殿の魔力も合わさって強い力を発揮できたのでしょう」

「そうみたいです・・・そう言えばノバさんはこの子たちを迎えに来たのですよね?精霊界には戻すのですか?」

「そのつもりだったのですが、エイミィ様に頼んでしばらくはここに残すことにしました。この子達は辛い思いをしましたし、ここでしっかりと休んでもらおうと思いまして」


精霊にとってはここはかなり居心地の良い場所のようだ・・・俺も精霊がここにいることに反対はしない。


「そう言えば俺、精霊達と【契約】をしたみたいなのですが魔物の【テイム】とは違うのですか?」

「本来精霊はこの世界に長くいる事は出来ません。なので普段は精霊界で暮らしています。精霊は契約者の魔力を借りることでこの世界に顕現し力を発揮します」

「なるほど、契約者の魔力が対価として力を貸す訳か・・・確かにそれは契約だな。【テイム】はどちらかというと服従というか上下関係がはっきりしているイメージだし」

「もちろん上位の魔物でも【契約】することで一時的に召喚して力を貸すことも出来ます・・・ただそう言った魔物は大抵対価として生贄とか要求したりしますが」


物騒だな・・・ダンジョンモンスター達は皆テイム済みだけど【契約】って可能性もあったのか。


「もちろん【契約】にもメリットはあります。契約者の魔力が高ければ精霊の力は普段よりも高くなります。ちょうど先ほどのこの子のようにね」


そう言って土の精霊を見た・・・なるほど、確かに【テイム】はあくまで魔物単体の力だが【契約】は場合によっては契約者の能力も加算されるわけか。


「さて、私はエドワード殿の所に行ってきます。作戦について打ち合わせを行いたいので」

「分かりました、引き留めてしまいすみません」

「いえいえ、とても有意義な時間でした」


そしてノバはそのままエドワード達がいる居住エリアへ飛んで行った。


そう言えば【契約】には対価が必要って言っていたけどもしかしてクッキーがその対価なのか?そんな事を想いながら隣にいる土の精霊を見るが黙々と残りのクッキーを食べていた。

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