二人羽織

うちのオカメさん、頭を指で掻いてもらうのが好きです。


オカメさんは一羽飼いなので、一緒に羽繕いしてくれる仲間がいません。

自分の羽繕いは、柔らかな関節を活かして自分のくちばしでするわけですが、その嘴が届かない場所があります。

それが頭と顔周りです。

脚の爪はなんとか届くのですが(すごい格好になります)、羽繕いには十分でないようです。



そんな時は、飼い主の出番。


『 おかあしゃん カキカキして 』


そう言うように、オカメさんは掻いて欲しい時にサッと頭を下ろして要求してきます。


私の指の上で、掻いて欲しいと頭を下げるオカメさん。

私が爪の先で掻いてあげると、目を細めて気持ちよさそうにしてくれます。


『 もっと 』


自分から角度を変えて擦り付けてくるのも、また可愛い!

飼い主はメロメロです。



さて。

そんな可愛いオカメさんを見ると、やってみたくなるのが家族たち。

しかし残念ながら、私以外の人が指を出すと、オカメさんは頭を下げるどころか威嚇するのです。


ふふふふふ……。

これは飼い主特権よん。



けれども諦められないのが、オカメさんの天敵である次女。

何度も指を出しては、威嚇されたり齧られたりを繰り返してきた次女ですが、この度凄い技を発見しました。


これこそが、二人羽織。


まず、私が左手の指にオカメさんを乗せ、右手の指を近付けます。

サッと頭を下げるオカメさん。

私がカキカキし始めたところで、次女が私の背中に隠れ、私の右脇から腕を出します。

そろりと私の手と交代。


『 ? 』


オカメさんは一瞬顔を上げますが、私を確認して、再び頭を下げます。

次女の指が、カキカキ……。



……騙されとるやないかっ!!!



なんとオカメさん、気付かないのです!


おーい、オカメさん!

おかしいと思わないのかーっ!!



次女は、ホックホクでしばらくオカメさんの頭を掻くのですが、どうも顔周りを触られると何か違うと分かるらしく、ハッとしたように頭を上げ、激怒して指を齧りまくります。

その時は、騙した私も同罪らしく、止まってる私の左手も齧られちゃいますが。


これ、何度もやったら警戒するようになるのでしょうかね?


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