破壊

うちのオカメさん、紐状のものが垂れ下がっているのを見ると、じっとしていられません。

揺れる先を嘴で捕まえてガジガジしたり、咥えて引っ張ったりするのが大好き。


そんなオカメさんのお気に入りといえば、台所の照明の紐です。(詳しくは『育毛』の回をご覧下さい)


我が家の台所の照明は、昔ながらの紐を引っ張って蛍光灯をつけるタイプ。

私がシンクの前に立って俯くと、ちょうど頭が紐の先の位置に合う高さになります。


……お分かりですよね?


そう、オカメさんは私の頭の上に乗って、その紐の先を齧るのです。



元々この照明の紐には、プラスチック製の小さな円錐形のツマミが付いていました。

オカメさんは私の頭の上でバランスを取りながら、いつもそのツマミを追いかけて遊んでいました。

オカメさんの爪がチクチクして、頭皮が痛いのはガマン、ガマン……。



そんな風にして食器を洗っていた、ある日のこと。



ピシッ



乾いた音と共に、手元に何か小さいものが落ちてきました。

……何これ?

拾ってみたところ、何かのプラスチック片のようで……。


あっ!

オカメさん、壊したな!?


オカメさんが楽しく毎日齧り続けたおかげで、照明のツマミがとうとう割れてしまったのです。

ちょっとオカメさん、この家は賃貸なのですけれど!?


ブツブツ言いたいところですが、当のオカメさんは、遊び道具が突然なくなって呆然としています。


『おかあしゃん……、なくなっちゃいました……』


あ〜、うん、悲しいよね。

……オカメさんが壊したのですけれどね。



そのままにしておこうかとも思ったのですが、オカメさんがあんまりにもガッカリな様子だったので、代わりになるものを付けてあげましょう。

何がいいかな?

100均で見つけた、シマエナガ(最近人気の鳥さん)型の小さなクリップがあったので、それを吊るしてみました。


どうかな?


ビョーーッ!!


オカメさんは、私の頭の上から速攻で飛んで逃げてしまいました。

あれ? ダメだった??




相変わらずビビリのオカメさん。

あれからシンク前で頭の上に乗ってくれません。

私の頭皮には良い結果のような気がしますが、別の物に変えてあげた方が良いでしょうかね〜?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る