爪切り

イタイ、イタイ。


肩を歩く、オカメさん。

チクチク、チクチク、痛いのです。

どうやら爪が伸びているようです。


冬はあまり気になりませんが、薄着の今の季節は、オカメさんの爪が伸びているととても気になります。


こちらが痛いだけなら良いのですが、伸びたまま放置すると、最悪の場合、何かに引っ掛かってケガをすることもあります。

これはいけません。


今日は、爪切りデーにします。



オカメさんにとって、爪切りはとても嫌なイベント。

鳥の爪を有料で切ってくれるペットショップもありますが、知らない人に嫌なことをされるのは、オカメさんにとっても大きなストレス。

なので、ここは飼い主の私がやりましょう!



爪切りは、二人で行います。

まずは、保定ほてい

濃い色のタオルで、翼が広がらないよう身体を包み、頭を隠します。

鳥は暗くなるとあまり動けないので、ひどく暴れなくなります。


そのまま仰向けにして、正座した私の太腿の上で家族が押さえ、タオルから突き出した足を持って私が切ります。

切りすぎて血管を傷付けないよう、注意が必要です。


例え上手く切れなくても、ササッと終わらせます。

嫌な時間は短い方が良いですから。




あれよあれよという間に爪を切られたオカメさん。

タオルから開放されると、一目散にお気に入りの座椅子の背もたれへ。

そのまま窓の外を見て、呆然としています。


羽根は毛羽立ち、嘴は半開き。

……嫌だったね、ごめんなさいね、オカメさん。



しばらくして、我に返ったオカメさん。

手伝った家族を威嚇して、私の肩へ。

その後は決まって甘えモードです。


『おかあしゃん こわかったのよ なぐさめて』


オカメさんは肩から離れず、目が合えば、私の鼻の穴の縁を嘴でコショコショ。

そして、『なでて』と頭を下げます。


…………可愛すぎません?


いや、でもまあ、切ったのは私なんですけどねぇ。



側を通ると、フッ!と威嚇されまくる家族からは、「理不尽だーっ!」の叫び。

おバカ飼い主は優越感に浸りつつ、今日はまだまだ甘々デーです。



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