呪いの謎 ― The Mystery of the Curse ―

O.K

第1話:お正月の呪い

ある田舎町に住む主人公、信一(しんいち)は物知りで冒険心旺盛な若者でした。彼は幼い頃から、噂や都市伝説に興味を持ち、それらを真偽の程を確かめるために様々な実験を行うことが趣味でした。ある日、信一はお正月の間に行われるとされる不思議な噂を耳にしました。


村の人々は、「お正月にご飯に鉛筆を刺すと、その家は呪われる」と語っていました。信一は普通ならばそのような噂を無視するでしょうが、彼の好奇心は刺激されました。呪いなんて本当にあるのだろうか、と彼は考えました。


そして、お正月の日がやってきました。信一は友人たちと共に村の神社でお祭りを楽しみ、夜になると家に戻りました。しかし、彼の頭にはその噂が引っかかっていました。好奇心が勝り、ついに彼は試してみる決意をしました。


夜が更け、家族がすでに寝静まった頃、信一はひとり台所に入りました。真っ暗闇の中で、彼はおにぎりに鉛筆を刺しました。そして、神社の参拝で手に入れたおみくじの神託を見ながら、「本当に呪われるのか、確かめてみよう」とつぶやきました。


すると、その瞬間、部屋に不気味な風が吹き込んできました。信一の背筋は凍りつき、心臓が激しく鼓動し始めました。家中に不気味な影が広がり、足音のようなものがどこからか聞こえてきます。信一は恐怖に震えながらも、興奮も忘れずに実験を続けました。


すると、突然家具が動き出し、物が飛び回るようになりました。信一は恐怖に打ち震えながらも、勇気を振り絞ってその様子を録画していました。何が起こっているのか分からず、彼はもうすぐ噂が本当かどうかわかるだろうと考えていました。


しかし、突然物音が止み、部屋が静まり返りました。信一は一瞬の油断もなく、周囲を警戒しながらも、恐る恐る台所に足を踏み入れました。そこには、鉛筆が刺さったおにぎりが無事に置かれていました。信一は安堵のため息をついた瞬間、彼の後ろから何かが襲ってきました。


信一は振り返る暇もなく、強い力に引きずり倒されました。目の前に立ちはだかるのは、怨念に満ちた影のような存在でした。信一は恐怖で声を上げることもできず、何が起こっているのか理解できませんでした。


その存在は不気味な声で語りかけてきました。「愚かな人間よ、なぜお前たちは噂を信じることができないのだ?これはお前たちが試すべきではない力だ。お前の好奇心が呪いを呼び寄せたのだ。」


信一は絶望感と後悔に溢れ、言葉も出ませんでした。彼は自らの好奇心が導いた結果に苦しむことになりました。その怨念の存在は、信一の心の奥深くまで浸透してきます。信一は何もかもが自分のせいだと感じ始めました。


長い苦しみの後、信一はようやく意識を取り戻し、自室で目を覚ましたのです。しかし、そこには何もなく、すべてが夢だったのかと思わせるほどの静寂が広がっていました。


信一はその日から、呪いに対する好奇心を捨て、人々の警告を無視しないようにしました。彼は自分が呼び寄せた恐怖と向き合い、後悔という価値のある教訓を学んだのです。

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