虐待死

梅田 乙矢

第一話

高層マンションのベランダから女性が飛び降りて死んだ。

この女性は、自分の子供を虐待していた疑いがあり、警察が管理人と部屋へ入ったとき、女性の子供と思われる4歳くらいの痩せ細った女の子は、ベランダのそばでぬいぐるみを抱きしめながら泣きじゃくっていた。


 虐待が疑われたのは匿名の通報があったからだ。

子供の泣き声が聞こえてくるが尋常じんじょうじゃない泣き方だ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいと何度も謝っている、寒い中裸足で外を歩いている子がいる、など様々だ。

通報を受けて児童相談所が訪問してインターホン越しに話を聞いていたのだが、

「お子さんに会わせてもらえますか?」

というと母親はかたくなにこばんだ。

児相じそうが介入できるにも限度がある。

無理やり家の中に押し入るわけにもいかず、

話だけを聞いて帰っていた。

そんな中、悲劇は起こったのだ。

女の子ではなく、母親が自殺するという

悲劇が。

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