私は

 私は睦月。言っておくが、一月生まれではない。ただ、長子である、という理由でこんな名前になった。葵という娘は初めて私が信じられた人だ。あの娘には感謝するところが沢山ある。


 私の包帯の下は基本的に、生傷も古傷もない。他人に対する恐怖心から巻いている。他人には知られたくないことが山ほどある。親のこと、自分の過去、趣味、生活…。

 もちろん、巻いている包帯を親に嗤われたこともある。理由が自分たちにあることすら気づかずに。

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