第27話 固有魔法
「ティーナ!!」
その声とともに現れたのは、コリンだった。熱出してるんだから大人しく寝てればいいのになーなんて考えていると、ガッと胸ぐらを掴まれた。
「え…何。離せ」
「お前…置いていきやがって…てかなんでお前これに参加してねーんだよ」
「私の問題じゃないからねぇ」
というか無駄に手を出して怒られたりしたらちょっと嫌だし、口出ししていい問題でもないと思うんだよね。
「それは言い訳だろ…おい!いくぞ。体が火照って暑いんだよ、発散する」
「魔道式冷蔵庫にでも入って寝てたら?」
そう言いながらも準備運動する私は偉いなと自分でも思う。というか、コリンの瞳がギラギラと光ってたからちょっと逃げづらかった。
でもまぁ、これで戦うとこ見れたらどうしてコリンがAクラスにいるのかわかる気がするし。
「じゃ、始めるか。<<バースト・ゴット>>」
その言葉と共にコリンは炎を拳に纏い、水の精霊に容赦なくそれを叩きつけた。初めてみる魔法だ…
それに、水の精霊に対して炎属性って圧倒的不利なはずなのに、当たり前のように薙ぎ払っていく。
「まさか…固有魔法…?」
「その通りじゃ、ティーナ。」
「また来たんですか…」
固有魔法、というのは生まれながらにして持っている、自分にしか使えない魔法だ。しかし、それに気づける、または使えるのは指折りの魔法使いだけだ。
現状、この学園で使えるのは三人。800人以上いるであろう学園の中で、
私、兄、コリン。
そうなると、コリンがAクラスにいる理由も必然的にわかってくる。
兄は<チャーム>。魅了魔法で、珍しいタイプだけれど何故かEクラスに在籍している。
コリンは<バースト・ゴット>。炎魔法で、…恐らくどの魔法使いにも真似できない火力を出せるのかもしれない。
「なるほどね…確かに、青髪赤目でも十分入れる条件だ」
私は精々風魔法による電撃で対抗していくとしよう。殺してはダメ、ということになるはずだから…
うん、できるだけ調整していこう。
走りつつ電撃で周りを攻撃していく。ワンチャン自分も傷つけかねない戦いかただけれど、一番効率が良い。
さっさと終わらせよう。
こんなことよりも、久しぶりにぐっすり眠りたいんだよ。
「コリン、止まって。もう全員倒してある」
「…おう」
やがて、私たちの周りの水の精霊たちはもれなく気絶をしていた。殺してはいけないっていうの、私はうまくいけたけど…
コリンは全体的にムラあったなぁ。魔法訓練場に突っ込まないとちょっとそのうち暴走起こして周りの人巻き込んで自爆しそう。
「さて、世界樹様と精霊姫様のところに行きますか。」
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