99 2度目のフクラダンジョン3
朝食を済ませたあとは皆んな自由行動だ。キルはこの際生産者ギルドにスクロールを売りに行く事にした。パリスとの間をフライで蜻蛉返りだ。
昨日⭐︎2のジョブスクロールを50個作ったので在庫も充分にある。
生産者ギルドに入るとギルドのオッサンがいち早くキルに気づいて手招きをする。奥の部屋で話をしようという事だ。
キルはギルドの奥の部屋に通された。そこでいつものように買取をしてもらう。
「剣士と騎士は50ずつ欲しいなあ。」
「⭐︎2のジョブスクロールですよね。」
頷くオッサン。「盾使い、槍使い、弓使い、魔術師は10個ずつ。他のは5個ずつ。欲しい。⭐︎3は有るのか?」
「剣士だけ1つあります。」
「じゃあ、それもくれ。全部で〜」
キルは言われたスクロールをテーブルの上に並べる。
「⭐︎2が、185個⭐︎3が1つ。 全部で28350万カーネルだな。」オッサンが金を用意する。金板28枚大金貨3枚小金貨5枚だ。キルは金をマジックバッグにしまった。
「⭐︎3が有ったら欲しがっている人は多いらしいぞ。次はもっと頼む。剣士、騎士は人気だ。まだまだ売れそうだぞ。」とオッサン。
「また作っておきます。それではまたお願いします。」
キルは蝋皮紙を2000枚補充すると職人ギルドを後にしてゼペック爺さんの元に顔を出す。爺さんは相変わらず日向ボッコだ。
キルが声をかけると気がついてキルを迎えた。「ゼペックさん、ただいま。」
「キルさん、お帰り。無事で何よりじゃのう。ダンジョンは危険じゃろう?」
「今日は中休みを取ったので会いに戻りました。またすぐダンジョンにもどります。」
「そうかい。頑張るのう。皆んな無事なんじゃろう?」
「ハイ。皆んな順調に強くなっていますよ。」
「それは良かった。戻ったらまたみんなで晩飯でも食べようのう。」
「はい。そうしましょう。」キルは工房の掃除をして暫く爺さんと一緒に過ごした後でフクラダンジョンに帰るのだった。
翌日から6日間ダンジョンに潜ってレベル上げのために狩りを続けた。キル夜には余ったMP分のスクロールを作る。7日目は休みの日。
そしてまた次の6日間ダンジョンにでレベル上げをした。この間にエリスとユリアが上級剣士に進化して、最終日にマリカとユミカも上級聖職師と上級拳闘師に進化した。
全員上級職になっただけでなく、冒険者ランクもその間にケーナはC、残りの4人はDランクに上がっていた。
新たな紋様も居合わせた上級、特級冒険者のものを目に焼き付ける事ができた。特級冒険者は、剣士、魔術師、盾使いに会う事ができた。魔石さえ手に入れば⭐︎4のジョブスクロールを作る事ができるかもしれない。
全員が上級職に進化した事を祝ってパリスに戻り外食と決め込もうと思う皆んなで有る。
まずはパリスに戻ってギルドに、いや、ケイトさんに報告しよう。頼まれた2人がここまで成長したことを。上級職といえば、上位1割に入り冒険者ランク的にはBランクの強さなのだ。
経験値不足という事もありまだキルとケーナでさえCランクである。今回の経験がどのように評価されるかは未知数だがAランクのダンジョンに10日以上通っている事はそれなりの実力がなければ、できない事は明白なのだ。
なので4人はすでにDランクに昇格している。本来ならAランクの冒険者かBランクの冒険者数人のパーティーでなければ危険なダンジョンなのである。全員がCランクのパーティーではAランクダンジョンに入れば生きては出られないのが普通なのだ。
その意味では(緑の草原)にはAランクまたはBランクの実力者が数人いると判断するのが妥当なのである。それはギルドでもわかっている筈だが急激なレベルアップに昇格が追いついていないのが現状であった。
キル達一行はパリスの冒険者ギルドに帰って来るとケイトに報告にいった。
「お久しぶりです。ケイトさん。指導を頼まれた2人ですが、フクラダンジョンに15回第2階層まで潜る事を繰り返して修行をした結果今では上級戦闘職の冒険者になりました。」とキルが報告した。
「ダンジョン内でゲットした魔石の引き取りとかの記録が有りませんが、どの程度戦闘が行われたのでしょうか?」確認してくるケイト。
「えーと。魔石は俺がスクロールの材料にするために買取に出してないので記録はないと思います。ですがお見せする事はできますよ。充分な戦闘経験を証明するだけの数の魔石が有ります。」
「見せていだいてもよろしいですか?」
「はい。」と言いながらキルはケイトに耳打ちする。「マジックバッグの中にしまってあるので奥の部屋でお見せするというのはどうですか?あまり周りには見られたくないので。」
ケイトも小声で答える。「そうですね。マジックバッグはヒミツにしておいた方がよろしいと思います。それでは中にお入りください。」
キル達6人は奥の部屋に入っていった。中にはギルドマスターが待っていた。
「緑の草原の6人だね。キル君の事はケイトから報告を受けているよ。俺がギルドマスターのゼノだ。よろしくな。」とゼノが挨拶をした。
「マスター、実はフクラダンジョンでゲットした魔石の確認をさせてもらうことになったのでこの部屋を使わせてもらいます。マスターも一緒に確認お願いします。」とケイト。「良いだろう。」とゼノが答える。
キルはマジックバッグから魔石をテーブルの上に取り出す。
「マジックバッグか、それは外では見せられないな。ところでどうやって手に入れたんだ?」凄いものをもっているなあという顔のゼノ。
「商業ギルドに魔石を仕入れに行った時にたまたま売っていたので買いました。」とキルが答える。ケーナ達は緊張してカチカチになっていた。
マジックバッグから魔石が取り出される。出るは出るはいつになっても出しきれない。
「ちょっと待て、いったいいくつあるんだ。」
「え〜と。 今回15日間潜ってきましたのでグレートミノタロスの魔石が28、ミノタロスがだいたい300くらい、レッドオーガの魔石がスクロール作りに使ったのでだいぶ減りましたが900くらいですかね。」答えるキル。
「もう良い。しまってくれ。」ゼノが笑いながら言った。
「ギルマス、キルさん達のランクなんですが、、、」とケイト。
「わかってる。昇格させないとな。まずキル君は一時的にB、そしてAを検討しよう。
ケーナ君はB、他の4人はCランクに昇格だな。フクラダンジョンでこれだけの魔石をゲットしている間に死んでないだけでもCランクにして良いだろう。こんなに早く昇格するのは珍しいがな。」とゼノが笑いながら言った。
「おめでとうございます。皆さん。」ケイトもにこやかに祝福する。
「「「ありがとうございます。」」」
「それと(緑の草原)はBランクに昇格だな。」とゼノ。
「ありがとうございます。」とキル。
「さて、これからキル君に聞きたい事があるんだ。」とゼノが笑いながら言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます