95 第2の新人4
ギルドの前でマリカとユミカが待っていた。やる気に満ち溢れている。
昨日の成果がかなり影響を与えているのだろう。なにしろ2人とももういきなり中級職のジョブを持つ冒険者に進化したのだ。その強さを確かめてみたくなるのは当然かもしれない。
2人はキルを見つけると手を振って声をかける。
「キル先輩ー。コッチ!コッチ!」とマリカ。
少し恥ずかしいのでやめて欲しいと思うキルで有る。
口には出さず2人のそばにやってくる。
「朝から楽しみで、早く起きてしまいました。」とマリカ。借金女王と化しているノーテンキ女だ。この子の美点かもしれない。
「私は朝から訓練をしてきたからな。いつも通りだぞ。」とユミカ。コイツも本当は早起きしてしまったのは明白だな、、と思うキル。
「2人とも今日は気をつけて狩りをするんだぞ。怪我をしてもヒール、ハイヒールで俺が治してやれるけれども攻撃を受けない事は大切だからな。」
「ハイヒールも使えるのか!それなら安心だな。キル殿は多彩なスキルをお持ちだな。こんな人は初めて見るぞ。」とユミカ。
「俺は特級スクロール職人だからね。初めて作ったスクロールはまず自分で使ってみるから色々覚えてしまうのさ。」とキル。
「それって、、、みんなできるって事だよね、、、。凄い、、、。」マリカがよく理解できないが凄い事だと思ったようだ。
ケーナとエリス、ユリアがやって来た。
「お待たせっす。」
「今来たところだ。」とキルが返事をする。
「ケーナ、これ作って来たぞ。エリス、ユリアのぶんも。
上級剣士の千斬剣、穿通牙をエリスとユリアに 上級弓使いのアーツ、3連爆射、追尾撃射をケーナに渡した。
3人はスクロールを使って上級アーツを身に付けた。3人もワクワク顔になっている。
狩場でお試しください。
6人は歩いて草原に向かった。
「皆んなフライを覚えれば飛んでいけるんで時短になるっすよ。その方が良くないっすか?」とケーナ。
「そんなこともできるのか!」とユミカが驚く。
「飛べるようになりたいわ。」「うん。うん。」
「私も〜」とマリカ。
キルはその場でフライのスキルスクロールを作って渡した。
そしてみんなで草原に飛んだ。
「ケーナとエリス、ユリアは昨日と同じね。マリカとユミカ、最初はモーモウ狩りやるよ〜。」キルが始めの合図をした。
皆んなはモーモウ狩りを始める。そのうちにウルフの群れが近づいて来た。
「マリカ、ユミカ、ウルフの群れが近づいて来たのがわかるかい?」
「はい。わかります〜。」「わかるぞ。6匹だな。」
「2人で退治してみてくれる?2対6だぞ。俺は危なくなったら助けに入ってやるからね。」とキル。
「はーい。」「承知!」2人はウルフの討伐に備える。
ウルフが視界に入り、マリカが弓を構えた。ユミカが飛竜拳の体勢に入る。
「強射!」マリカが強射を使ってまず1匹ウルフを倒す。ユミカが飛竜拳を放ち近づくウルフの鼻面を叩き潰した。ウルフは即死だ。
そのまま残り4匹との戦いが始まった。
ユミカが飛竜拳を次のウルフの鼻面に叩き込み、マリカがその次のウルフに強射を撃ち込む。2匹のウルフがユミカに襲いかかり身をかわすユミカ。マリカもナイフを構え近接戦闘に移る。
マリカはウルフの攻撃をナイフで受け落ち着いて凌いでいる。ユリアが飛竜拳を決めてマリカの助けに入る。残りは1匹。そして遂にはユミカの飛竜拳がウルフの脇腹にヒットしてもんどり打ってウルフが倒れて戦いが終わった。
額の汗を拭いながら大きくため息を吐くマリカ。
「やったな!」ユミカがマリカの方に手をかけた。
マリカはユミカに笑顔を向ける。「勝ったね。ギリギリだよ。」
「遅くなってすまない。」「そんな事ないよ。大丈夫、まだまだ耐えられたから。」
ギリギリなのか余裕なのかよくわからないです、マリカさん。
とにかく6匹のウルフを相手に勝利した2人。キルは2人に次の指示を出す。
「モーモウの狩りを続けるぞ。」
「はーい。」「承知した!」
2人はモーモウの狩りを続ける。キルはウルフをマジックバッグに収納する。そしてケーナ達の狩ったモーモウも集めて回る。
こうして1日が過ぎ結局その後マリカとユミカはウルフの群れと3度戦い、いずれもキルが手を出すまでもなくウルフを全滅させた。ウルフ18匹を2人で倒し、モーモウを19匹ずつ狩ったのだった、
ケーナ達は午前30午後50の目標を達成した。キルは2人を見ていた事もあり、ウルフ30匹にとどまった。
ギルドに飛んで帰り(文字通りフライで飛んだ)、買取額は5944000カーネル、1人99万カーネルの稼ぎで有る。通常1人1万カーネルくらいがこの世界の平均賃金だ。マリカもユミカも今までその金が稼げないでいたのだが、今は100倍稼いでいる。
借金女王の名前を返上する日も近い。そう呼んでいるのはキルが心の中でだけで有るが、、、。
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