40 中級スクロール職人 2

ライガーの魔石を粉にし終わった後、キルは一休みしながらゼペック爺さんと晩飯を食べることにした。爺さんは何やらスクロールのチェックをしていたがキルに呼ばれて一緒の食卓につく。


「今日初めて盗賊討伐に参加して人間を殺しました。」キルが今日の出来事をゼペック爺さんに話し出す。


「そうかい、何か思うところがあったかい?」


「意外になんとも思わなかったですね。昨日ケーナに射殺す様に俺が指示して2人殺しているのも慣れに繋がってるのかもしれません。」


「やらなきゃやられるこの世界よ、躊躇したら命取りだからな。それで良いのじゃ。」


「はい。それとたくさんの冒険者たちと一緒に戦ったんですけれどケーナやクリスのスキルって他の人と比べても強力なんですね。」


「そうじゃろうのう。ワシが選んだスキルじゃものなあ、アレは良いスキルじゃぞ。」


「はい。意外にスキル持ちって少ないんですね。強化のスキルは見かけましたが、あとはファイヤーボールとかエアカッターとかくらいでしたね。」


「そうじゃろうのう。ほとんどが初級、中級のジョブ持ちじゃからのう。相当な経験を積まんと自然にはスキルは生えんものよ。3年で初めてのスキルが生えれば良い方じゃな。それを思えばクリスという娘、アレはいくつもの魔法が使える。魔術師として小さい頃から訓練をして来た証拠じゃ。貴族かそれとも魔術師の娘じゃの。ああいうのは稀じゃぞ。」ゼペック爺さんが驚きの分析を披露する。


「言葉も平民ぽくないですものね。貴族の平民落ちの子とか隠し子とかですかね。」


「そんな所じゃろうって。」


「アレで結構苦労して来たのかもしれませんね?」


「そうじゃのう、ケーナという娘もあの歳でなかなかの命中率の様じゃ、オートターゲットのスキルが生えそうな気配がするのう。アレも相当な経験者じゃぞ。」


「ギルド期待の金の卵だったんですね。」


「そうじゃ。おぬし、ついとるぞ。」


「ケイトさんのおかげですかね。」


「ギルドはよく見ているからのう。おぬしも金の卵かも知れぬぞい。」


「そんなバカな?俺ってクランに入るの拒否られたんですけど。」


「そのクランの連中がおバカだったんだ。もっともキルさんはここに来たからその才能が目覚めつつあるんじゃがのう。自分でも昔と違うじゃろう?稼ぎとか。」


確かにそうである。キルはスクロールを作りだしてから魔物を倒すのにスクロールを使いだした。そして収入も激増した。ゼペックさんに会ってからキルの暮らしは良くなった。床で寝ているけれども。


食事を終えてスクロール作りを始める。


「魔法であれ、アーツであれ、スキルスクロールはスキルにするための紋様を加える必要があるのじゃ。まずはワシが攻撃力強化のスキルスクロールを作って見せよう。アーツの紋様の外側にスキルにするための紋様が包んでおるからよく覚えるのじゃぞ。」

ゼペック爺さんは攻撃力増加のスキルスクロールを作って見せてくれる。

キルの材料を使って手をかざし、魔力を込めた。紋様が刻まれる。キルはその紋様を目に刻み込む。


「これが攻撃力強化のスキルスクロールじゃ。」ゼペック爺さんがスクロールをキルに渡す。


「同じのを作ってみるかい?」


「はい。」キルはゼペック爺さんと同じ様に攻撃力強化のスキルスクロールを作ってみる。ライガーの魔石粉を使い手の平をかざして紋様を思い浮かべて魔力を注ぎ込む。


光と共に紋様が蝋皮紙に刻まれていく。


光が全て吸い込まれるとスクロールの完成だ。


「使ってみよ。」ゼペック。


「はい。」キルは自分で作ったスクロールを使ってみる。キルは光に包まれスキルを得た感じがわかった。


「どうじゃ?」


「はい。攻撃力強化!」キルの足元に光の紋様が現れキルに入っていった。なんとなく攻撃力が上がった様な気がする。


「成功じゃの。次は防御力強化で作ってみよ。紋様はわかるな。」


「はい。防御力強化の紋様にスキル化の紋様を足すんですね。」キルの質問にゼペックが頷く。


キルは防御力強化のスクロールを作る。問題なくスクロールに紋様が刻まれた。


試しに使うとキルは防御力強化のアーツを身につけられた。


「次は、素早さの強化じゃ。」


キルは素早さの強化のスクロールに挑戦する。


蝋皮紙は光の紋様を刻み、できたスクロールを試すとキルは素早さの強化のアーツを身につけていた。


「あと一つ何だかわからないんですが覚えている紋様があるんです。多分何かの強化、多分腕力強化の紋様だろうと思うんですけれど。」


「それも作ってみい。」とゼペック爺さん。


キルが正体不明の紋様を元にスキルスクロールを作った。そして試してみる。


予想通り腕力強化のアーツを身につけていた。


「もう一つずつ作って見よ。」


キルはゼペックに言われたとおりもう一つずつ作ってみる。良い感じだ。


「あとどのくらい魔力があるかという所じゃがな、作れるだけ魔法スクロールを作って今日はおしまいじゃな。」


キルはストーンショットのスクロールを作り続ける。3つ作れて魔力切れになった。


「ゼペックさん、今日はありがとうございました。」キルはゼペックに対する感謝の言葉を口にした。


「フム!明日はまた違ったものを教えてやろう。」ゼペックが上機嫌に言うのだった。







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ステータス


 キル  人族  14歳    討伐経験値 110 討伐レベル 11 (0/10)


 職業(ジョブ) 中級スクロール職人 レベル12 (9/10 スクロール作成経験値 119)

        初級剣士      レベル4 (6/10 剣士討伐経験値 36)


    HP 98/98 :(100+10 )× (14/20) +11+10


    MP 198/198 :(100+10 )×(14/20) +11+10 +100


    EP 198/198 :(100+10 )×(14/20) +11+10+100


    回復能力(HP、MP、EP) 休憩  1時間で1/5回復

                 睡眠  5時間で完全回復


     攻撃力  101 : 100×(14/20) +11+20

     防御力  81 : 100×(14/20) +11+0

     腕力   91 : 100×(14/20) +11+10

     知力   191 : 100×(14/20) +11+10+100

     器用さ  301 : 100×(14/20) +11+20+200

     素早さ  91 : 100×(14/20) +11+10

     走力   81 : 100×(14/20) +11+0


    耐性  物理 レベル1

        毒  レベル1


 ギフト(才能)  スクロール職人⭐︎7


 ジョブスクロール  剣士⭐︎1


習得スキル  魔法   クリーン

       アーツ  (剣士)飛剣撃鎌鼬  

            索敵 攻撃力強化 防御力強化 腕力強化 素早さ強化



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キルの財産


 金  387000 カーネル。 

 蝋皮紙288 枚、ゴブリンの魔石 10 ライガーの魔石 5

 スクロール: ストーンショット25 ステータス4 ヒール4攻撃力強化1 防御力強化1 素早さ強化1


スキルスクロール: 攻撃力強化2 防御力強化1 腕力強化1 素早さ強化1

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