34 護衛任務 2

早朝、街の南門に行くキル。


ゼペック爺さんに今日は護衛任務でいつもと勝手が違うことはつたえてある。


盗賊が出れば、対人戦になるかもしれない。


これは今までの魔物を狩るよりも難易度としては高いとも言える。なぜなら盗賊は武器や防具を持っているからだ。それに盗賊は人間相手の戦闘経験が豊富な者もおおい。


キルやケーナ、クリスは対人戦の経験は無い。この経験の差が響かなければ良いのだけれど、なんて考えるキルである。


もっとも、何事もなく目的地につくことの方が多いはずである。それに銀の翼はギルドの物資輸送にはよく指名されているパーティーだ。頼りにして問題無い。


南門に冒険者らしき人が3人いた。キルは声をかけてみる。


「冒険者の銀の翼の人ですか?」


「オウ、そうだが。お前は、、あれか、緑の草原か?」強面の30歳くらいに見えるオッサンが答えた。皮の鎧に片手剣と盾、180cmくらいのゴリマッチョがそこに居た。髪は茶色で目は青く鋭い眼差しだ。


「はい。緑の草原のキルと言います。護衛任務は初めてなのでよろしくお願いします。」丁寧にキルが言う。


「俺はブランだ。よろしくな。」青い目のゴリマッチョが言う。


隣に居た金髪のイケメンが自己紹介をする。

「僕は銀の翼のリーダーのコーナーだ。剣士だ。よろしくね。」


コーナーはスラリとした175cm位の金髪茶眼イケメンだ。ブランよりは若そうに見える。


「向こうにいる大剣使いがガンザという。」コーナーが紹介した。


ガンザの顔には大きな刀傷がありその傷は右眼の上から下へと続いているが右目は無事な様だ。白髪赤眼肌の色は黒っぽい茶色だ。背丈も180cmは有りそうだ。この男もゴリマッチョだ。


「僕達緑の草原は護衛任務は初めてですし対人戦の経験も有りません。あまり役に立たないかもしれませんが足を引っ張らない様に頑張ります。」


「大丈夫だよ。それは聞いている。それに近頃君たち目立ってるんだぜ。毎日毎日10数頭のモーモウを狩ってくるんだって。」とコーナー。


「期待の新人を鍛えてくれってたのまれてるしなあ。」とブラン。


「今日の任務は俺達3人でも充分間に合う仕事だから見学のつもりでのんびりやってくれ。」コーナーの言葉に安心するキル。


そこにケーナとクリスが向こうから歩いてくるのが見えた。


「向こうから歩いて来るのがウチのメンバーのケーナとクリスです。」


「1年目の女子2人って聞いてるが、あの子達か。」コーナーが2人を見て目を細めた。


「君は2年目なっんだって?」


「はい。そうです。俺は、Dランクになったばかりです。彼女達はEランクになったばかりです。これが昇格後の初任務になります。」


「そうなのかい。そいつは驚いたな。」コーナーはよく喋る様だ。


「そうだな2年目のこの時期にDランクとか、まだ冒険者になりたてでもうEランクとか、昇格早すぎだろう。ギルドが期待の新人というわけだな。」とブラン。


ケーナとクリスがすぐそこまでやって来ていた。

「キル先輩、その人たちが銀の翼の人達っすか?」


「そうだ。」キルはケーナとクリスを銀の翼のメンバー達に紹介する。


「コッチのポニーテールがケーナ、弓使いです。そしてコッチのツインテールがクリス、魔術師です。俺が両手剣使ってますがスクロール職人のキルです。今日は面倒を見てやってください。よろしくお願いします。」


「「お願いします。っす。」」


「僕がコーナー、これがブラン、あっちがガンザ、3人ともCランク冒険者だ。今日は俺たちに任せておいて良いぞ。」


「ありがとうございます。」キルが感謝の意を伝えた。


「あ!ギルドの荷馬車がやって来た。あれに乗って隣の街に行けば良いだけだからね。簡単な仕事さ。」とコーナーがケーナとクリスに説明した。


御者の横にガンザが乗り、残りの5人は幌の中に乗った。


荷馬車は2台で先頭に護衛の冒険者が乗り、2台目に荷物が載っている。


冒険者を乗せるとギルドの荷馬車は動き出して此処パリスの街の南門を出て、隣町のリオンの街に向かった。馬車で3時間程の道のりで途中魔物の生息地も有るし盗賊の良く出没する場所もある。


先頭の御者の横でガンザが前方を見ながら警戒をしている。


幌の中では呑気に5人の話が始まった。話の中心はよく話すコーナーである。


「僕らは良くギルドの荷馬車の護衛任務はやってるので大体危険な場所はわかってるんだ。そういう警戒ポイントに近づいたら教えるからね。」


「ありがとうございます。やっぱり場所によって危険度って変わるんですね。」とキル。


「そうだよ。魔物の生息地や盗賊の棲家になり易い場所って有るからね。」


キルはコーナーから知識を得ようと思いながら話をするのだった。

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