異世界英雄病

笑顔の傘

異世界英雄病

私は異世界へと転移し、私の目の前に現れた背の低い魔王を倒そうとした。そして色々あっていろんな場所へ逃げ回る背の低い魔王を持っていた剣で倒した。

 

 魔王を倒した時に弟の悲鳴が聞こえた様な気がした。だけど近くに弟がいない。

 

 この世界のどこかにいる弟を探そうと思ったところで視界が暗転した。

 

 そして目を覚ます。何処かの病室だ。どうやら魔王を倒した疲れで気絶していた様だ。上半身だけ起こす。

 

 そんな私の様子を見たナースが慌てて医者を呼ぶ。そして私の元へ来た医者が話し始めた。

 

「貴女は異世界英雄病だったのです。」

 

「異世界英雄病?何ですかそれは?」

 

「貴女は異世界物の作品を沢山読んでいたでしょう。そう言う人に発症する精神病なのです。厳密に言えば異世界転移をして英雄に憧れている人が発症します。症状は異世界で活躍している夢を見てその動きを現実で行う。治す条件は魔王を倒す事。」

 

「じゃあ私と弟が異世界転移したのは夢だったって事?」

 

「夢です。だから弟君も異世界には行っていません。」

 

「良かった…。」

 

「では体調に影響がないか検査をしますので。これが終われば家へと帰れますよ。」

 

 そして検査を受けた私は家へと帰った。

 

 弟はまだ小学生だ。親は交通事故で亡くなったから弟と二人暮らしだった。

 

 だからお姉ちゃんがしばらく居なくて寂しかっただろう。そう思い弟が待っている家の中に入った。


 家の中には誰も居なかった。

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