転生キッズの魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜

西園寺わかば

1章 赤ん坊生活⭐︎0〜3歳⭐︎

お外に出るまで

第1話 優しい神々たち!

-side アクシア-




 キーーーーーーーッ!



 あ、トラックだ。死んだ。そう思った。

 次の瞬間、目の前の景色は、優美なお花畑になった。



「気づいたみたいだね」

「いらっしゃい」

「ようこそ〜!」



 目の前には、黒い髪にエメラルドグリーンの目の綺麗な女性と、黄色い髪と目の双子の男の子が2人いた。死んだと思っていたのに、神々しいまでに、輝いている人物達が普通に話しかけてきている感覚に、頭が回らず、戸惑っていると、女性が話しかけてくる。



「いきなりで、驚くわよね。私たちは君の神様よ」

「ほえーー?……という事は、俺はトラックに轢かれて、死んだのか?」

「うん。不憫だから、助けようと、思ったんだけど、一歩遅かったんだ。代わりに、救済措置を用意したから、相談しようと思ったんだけれど、迷惑だった?」



 神様だとか、普段なら、絶対信じなさそうな事を言われているのにも関わらず、不思議と信じられるだろうという雰囲気があった。目の前の人たちには、そう言った魅力がある。

 だけど、死んだって……、死んだって……。



「あ、ああ。いきなりでは、受け入れられないわよね。ごめんね。気持ちを考えられずに、話を進めて……」

「い、いや……、それよりも、俺が死んだ後、どうなるんですか?家族は?友人は?仕事は?」

「うん……、家族も友人も、みんな悲しがっていたよ。仕事に関しては、君の分の仕事は、他の人たちが、代わりにやったかな?」

「そ、そうでしたか」



 神様達は、優しく慰めてくれる。すると、自然と、心が安らいでいくような感覚がした。

 自分の死も辛いが、家族や友人を悲しませてしまった、辛さもある。

 こういう辛さって、長い時間をかけて、受け入れるしかないのだろうし、みんな周りも受け入れて行くのだろう。前を向くべきなのかもしれない。今もこれからも。



「あっ……と。もう大丈夫です」

「切り替え早いねえ。時間もあるし、もう少し、ゆっくりしても大丈夫だよ?」

「いえ。落ち込んでも仕方がないので……、前を向きます」

「そっか……、それで、救済措置の話だけれども、やっぱり、迷惑だったかしら?」

「いえ、迷惑ではないです。むしろ、救済措置まで、ご用意していただいて、ありがとうございます」



 俺がそういうと、3人の神様達は、顔を見合わせて、笑顔で頷き合っていた。



「良かった。じゃあ、これから、君を異世界に転生させたいけど、どうかな?」



 異世界……、転生……だと?

 キタアアアアアアアア!



「嬉しすぎます!!」

「そっか。君の想像通り、異世界転生は魔法が使える世界に、転生して、生活する事だよ。君には、救済措置として、さまざまな能力や生活環境を与えられるけれど、どう言ったのが良いとか、希望はある?」

「そうですね……、まず、せっかくだから、魔法は使えるようになりたいです!」

「それは、もちろん!何魔法が得意が良いとかある?」

「えーーっと、満遍なく、全部……、とかは流石に欲張りすぎですかね?」

「全然、そんな事ないわよ。ただ、人の時間って、有限じゃない?異世界でも、それは同じなの。全属性持っていると、満遍なく使えて便利だけれど、その分他の人に比べて、一つの属性の魔法を練習する時間が短くなるわ。

 だから、上級魔法まで、扱える人も全属性持ちでは少なくなるの?それでも良い?」

「良いですけど……、一応、お聞きしたいのですが、全属性持ちでも、練習ができれば、上級魔法まで使えますよね」

「それは、大丈夫だわ。気をつければ」

「分かりました。そうします。」

「あとは、どんな所に生まれたい?」

「親ガチャとか言うやつですか?」

「そう」



 そんな事まで、決めさせてくれるんだ。

 優しいな。



「出来れば、お金に困ってなくて、かと言って面倒事の少ない家が良いんだけれど、そういう環境ってある?」

「お金に困ってないというと、ある程度、裕福な貴族が良いかな?面倒事が少ないところだと……、3男以降あたりがいいと思うよ。

 3男以降だと、大人になってからは、自分で稼がないといけない場合が多いけれど、裕福な家だと、自立するのに援助してもらえる場合が多いからね」

「そうですね。それでお願いします」

「スキルとかは?」

「スキルかー、それはごめん、そう言ったものは、存在するけれど、生まれつき使える[鑑定]みたいなものか、努力によって、獲得する場合が多いんだ」

「あっ……、そうですか……」



 スキルで、お気楽に、チート。

 流石に、そこまで、美味しい話はないか。



「だっ、だけど!君の場合は、異世界で、高度な教育を受けている分、この世界の平均よりも既に遥かに高い知識や、技術があるよ!

 来世で、スキルも引き継がれるから、充分にチートだと思う!努力次第では、この世界でも、沢山のスキルを獲得できるから、楽しみにしていて!」

「わ、分かりました。頑張ってみます」



 スキルで無双が出来るわけでは無いだけで、別に不利になったわけでも無い。

 頑張れば、身につくのだったら、次の人生で頑張ればいいだけだろう。

 そんな事を考えている途中で、体が光り出した。



「あ、お別れの時間だ……」

「もうですか?こ、心の準備が……」

「大丈夫よ。君ならきっと」

「何かあったら、教会に行って、祈ってみて。もしかしたら、助けられるかもしれないから!」

「わ、分かりました!」

「君の人生に祝福あれ!!」



 --その言葉を最後に転生する事になったのだった。



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