第21話 あかんで!おかん!
俺のおかん
ちょっと昔のハナシ、
おかんはいつも仕事帰りにスーパー寄って帰ってくる
時間が遅いから半額の品が多いらしい
「助かるなァ〜、遅かったらみんな半額やで!」
「じゃ〜ん!今日パパあんこう鍋やで〜!
小鍋にしよ、ちょっとしか売ってなかったから
パパだけ特別なぁ〜!」
やけに優しいおかん、珍しいなぁと思ってた
「マー君と私は唐揚げでええな!」
ほんで遅い夕食が始まる
親父は喜んでアンコウ鍋食べてる
それ見てふと思う……
あんこう、そんなに少なないで?
案の定、親父がおかんに言う
「お前らも食え、これ結構あるぞ」
「いらん、私は今日は唐揚げの口やねん」
おかしい、おかん魚大好きな筈やのに
あの視線は明らかに半額シールのあんこうを怪しんでる目ぇや
親父には食わすんかい
まーええわ
軽く考えてたら、二時間ぐらい経った頃
親父が悲鳴あげた
「なんや身体中水膨れのぶつぶつできてる!
おい見てくれ!」
「おかしいなァ、冬やのに!蚊ぁおらんしな〜」
夏でもそんなよぉさん蚊ぁおらんやろ
「虫刺され薬塗り、治るわ」
いや、顔笑ってんねんおかん
「半額の半額やったからかなァ?
食べんで良かったぁ〜、ハハハ……」
と、おかんが小さい声でつぶやいた
でも俺聞こえたで
だって親父翌朝、唇まで腫れて慌てて病院行ったやろ
絶対、あんこう鍋やで
親父あんこうみたいな柄なってたで
メチャクチャや!親父かわいそうやで!
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