第4話 分割された蝦夷地

 案内人の後を進んでいくと、なるほど、いくつもの門をくぐって、進んでいくことになる。そして、さらに、もう少しで、天守閣に近づくというところになって、

「あっ、そっちは通路ではありません」

 というではないか。

 ビックリして古向くと、門から反対側に小さな入り口のようなものが見えた。案内人はそれを開けて、そこから入っていく。

「気づかれたかも知れませんが、ここまでくる時に、ずっと階段だったでしょう? これも、実に上りにくくしてあるのは、それも作戦なんです。相手の足を疲れさせるというのと、疲れたことで、頭が回りにくくなることで、判断力が鈍ってしまうでしょう? そうしておくと、自分が今どこにいるのか、あとどれだけあるのかということも分からなう名ってくる。しかも。迷路のように作っていることで、まるで、城から遠ざかっているのではないかという錯覚も与えられるんです。だから、彼らは天守閣が迫った場所までくると、先ほどの間違ったルートを選んでしまい、そっちに落ち込んで、兵を損なってしまうことになるんです。そして、もう一つ重要なのは、この城の正門を入ってきてから、ここまで来るのに、何かを感じませんでしたか?」

 と聞かれて、

 頼経は、聞かれるのを予想でもしていたかのように。

「そうなんですよ。私も言いたかったんですが、先に進めば進むほど、道が徐々に狭くなってきていますよね。確かに階段を上って上に向かっているのだから、当然だとは思ったんですが、よく考えると、それだけ、戦線が伸びきるということですよね。相手を正面からやっつけるにしても、上から集中的に狙うとしても、一気呵成にできますよね? この作戦を行うにおいて、先ほど言われた、鉄砲というものが役に立つということでしょうか?」

「さすが、三上殿、ご明察です。これが大まかな城の守りということになるのですが、あとは、私の主人とお会いになってから、詳しい話はお聞きください」

 ということであった。

 なるほど、歩いていくと、天守閣と呼ばれる建物の横に大きな屋敷が立ち並んでいて、そのまわりをまた壁が並んでいた。そして、その壁の隅には、天守閣より少し小さめの櫓のようなものがあった。

「あれは?」

 と聞くと、

「あれは小天守になります。物見櫓のような役目と言ってもいいですね」

 というのだ。

「ところで、ここの領主の方は、どこにおられるんですか?」

 と訪ねると、

「あそこの屋敷の中におられます。あそこには、居住区はもちろんのこと、軍議を行う場所もあれば、家臣たちに訓辞を述べるための大きな広間もあります。さらに、奥には、殿様以外の男子禁制の場所があり、そこにh、殿様しか入れないことになっております」

 というのだった。

「そういえば、ところで最初にこの門を入った時に見えた屋敷のようなものですが、あれは、家臣の屋敷なのでしょうか?」

 と聞くと、

「ええ、そうです。あそこに家臣団は住まいを構えて、いつでも戦に参加できるようにしているんです。もっとも、領主による、家臣の抱え込みという意味合いもありますけどね」

 と言った。

「なるほど、本当に、ここは要塞であり、一つの街になっているわけですね?」

 というと、

「ええ、そうです。それだけここの守りは鉄壁なんですよ。たぶん、今の本土からは、まずどこから攻められても、びくともしないでしょうね」

 ということであった。

「やけに自信がおありですね?」

「ええ、お二人のご様子を見ていると、まだまだ本土の方では、城というものをどのように活用すればいいのかということがまったく分かっていないからですね。自分たちが持っていないものだったら、攻めることなどできるはずはありませんからね」

 というのだった。

 いよいよ、屋敷の中に入ることになった。

「ここは、本丸というところで、この門の外には、二の丸、そしてさらにその向こうには、三の丸という屋敷がある。そこは、城を守るための兵士たちの寝所になっているのだ。二の丸の場合は、一般兵ではなく、家臣団の寝所になるのですよ」

 というではないか。

「じゃあ、門から入ってすぐの屋敷というのは?」

「あれは、家族の住むところです。普段はあそこに住んでいますが、もし、攻められるようなことになった時には、二の丸の家臣団が住んでいるところにお移りになることのなります」

 というのだった。

「なるほど、じゃあ、家族が住まわれているところに、家臣の方がお帰りになるというのは、毎日ではないということですね?」

 と聞くと、

「ええ、そういうことになりますね。宗に一度というところでしょうか? 本土の人たちもそうなのではないですか?」

 と言われて、

「ええ、確かに地方の大名などは、参勤交代と言って、一年の半分は、幕府のある京にいて、普請工事などに従事させられたり、京の町の警護に当たったりしていますね」

 というと、

「ここの国では、有力家臣団は、城の中で住みます。何かあった時はすぐに出陣できるようにですね」

「じゃあ、自分の領土は誰が?」

 というと、

「家老が収めています」

 というと、

「じゃあ、そこで謀反が起きたりはしないんですか?」

 というと、

「謀反? ここではそんな考えはないと思います。謀反を起こした場合、ここの支配者が、謀反人を決して容認しないからです。ここの土地の、本土でいうところの大名は、直接国の長が任命します。だから、謀反者が起こしたようなものは、誰も認めない。自分たち以外は、すべて敵だということを理解していれば、謀反など起こせるはずもないですからね」

 というではないか、さらに彼は続ける。

「謀反を起こしたものは、厳罰が課せられて、理由のいかん関係なく、謀反を起こした本人はもちろんのこと、自分の家族、家臣、さらにその家族と、問答無用で、処刑されるということになっているんですよ。この土地においての一番の思い犯罪というのは、謀反を起こすということになっています」

 というのだった。

 確かに、本土でも、今は幕府の力が弱くなっているので、謀反を起こした連中を成敗することもできないくらいになっている。だからこそ、群雄割拠の世界になっているのであって、そんな世界を、憂いているのは、、重光や、頼経だけではないだろう。

 特に応仁の乱の後の京の街を見ているだけに、幕府の情けなさは、身に染みて感じているのだった。

 本丸は、御殿と呼ばれているらしく、客を迎える間も、金箔が張り巡らされていて、今の本土における窮状に比べて、まるで天と地のようだった。これを見るだけでも、先ほどの案内人の話が決して大げさなことではないのがよく分かった。

――それにしても、これだけの財を、一体どうやって、得たというのだろう?

 と、考えながら、二人は招かれた部屋の無駄に広いさまを見渡して、驚いていたのだ。

 座って少し待っていると、そこに殿様が入ってきた。二人はひれ伏すように頭を下げ、相手が口を開くのを待った。

「二人とも、頭を挙げなさい」

 と言われたので、

「ははぁ」

 と言って、頭を上げた。

 目の前にはまだ、元服してからそんなに経っていないのではないかと思うような青年が座っていた。

 顔にまだあどけなさが残っているようだが、先ほどの案内人の話の中にあった、

「この土地のやり方は、皆今の殿が決められたことなんですよ。私は、殿の目の黒いうちは、先ほどのようなここが攻められるというようなことはないと思っております。そういう意味では、この城の守りというのも、念には念を入れたものであるといってもいいと思っています」

 という言葉を思い出していた。

――なるほど、確かに、まだあどけなさが残ってはいるが、決断力はハンパないような雰囲気に見えてくる――

 と、重光は感じた。

「遠路はるばる、大変であったろう。後でゆっくりされるがいい。だが、その前に少し私とお話をしていただけるとありがたい」

 というではないか、

「はい、何なりとおっしゃってください」

 というと、殿はニコリと笑って、

「そちたち二人のことは、京にいる私の家臣のものから、聞いておった。二人はそれぞれに、普請事業であったり、英語は達者だという話を聞いていたので、手をまわして、こちらに来てもらえるようにしたのだ。二人には迷惑だったかも知れないが、決して、後で後悔をさせないような自信はあるのだがな」

 といって、またニコリと笑った、

 その表情に余計な感情は入っておらず、純粋にそう思っているのだろう。それを思うと、本当に自分たちが後悔をしないと思えてならなかった。

「何を私たちにさせたいのですか?」

 と聞くと、

「少し話が長くはなるのだが」

 と言って、彼は話始めた。

「実は私の父は、元は津軽の武士であったのだが、近くの武家から攻め込まれて、不意打ちをつかれてしまったことで、そのまま、土地を追われてしまった。しかし、私は、この土地にいると、いずれは殺されるということで、船を頼んで、蝦夷地にいけるかどうか聞いたところ、いけるという人がいたので、何とか頼み込んで、蝦夷地に渡ったんだ。そこで、アイヌ族の母と知り合って、私を生んだ。実はちょうどその時、イギリスの人たちが、この蝦夷地を調査していたのだが、その時にアイヌとの混血である私を見つけて、彼らは、この土地に、一大国家を築こうとしていたのだが、その思惑に私という存在がうまくいくということだったようで、ここにイギリスの一大国家建設が始まったんだ」

 というではないか。

 それを聞いて、重光は、

「どうして、そんな国家をイギリスが作る必要があったというのだろうか?」

 と聞くと、

「あなたは、ロシアという国が存在するのをご存じかな?」

 と聞かれて、

「聞いたことがあるような気がしますが、ハッキリとは分かりません」

 というと、

 殿様は、何やら大きな巻いた布のようなものを先ほどの案内人に持ってこさせた。

「これは、世界地図になります」

 と言って、彼は、それを床に広げた。

「二人は、これが見えるところまで来られよ」

 と言われ、二人は世界地図を目の前にして、四人で対峙することになった。

 当時の地図なので、当然、アメリカ大陸はない。ヨーロッパとアジアが両端になっていて、

「ここが、イギリスだ」

 と言って、ヨーロッパの中に小さな島国を指刺した。

「イギリスというのは、島国なんですね? 小さいですね」

 というと、領主は笑いながら、

「ここが、日本だ」

 と言って、逆の方の地図の右端の豆粒のような島を指刺した。

 下手をすると、イギリスよりも狭く見えるくらいだった。

「こんなに狭いんですか?」

 というと、

「ああ、そして、この地図には、この蝦夷地というのは載っていないんだ」

 という。

「じゃあ、ヨーロッパというところでは、蝦夷地を認識していないということでしょうか?」

 というと、

「そういうことになる。そして、これがロシアという国だ」

 と言って、彼が指で、その範囲を示すと、何と、その大きな地図の上の半分のさらに半分くらいを示した。下の方は海が多いので、北部に集中する陸のうちのほとんどがロシアというではないか。

「何と。こんなに大きな国だったなんて」

 という。

「ただ、ロシアという国は、この地図において、上の方というのは、とにかく氷の世界と言ってもいいくらいに、寒いところなんだ。この蝦夷地が寒いといっても、それとは比べ物にならないくらいなんだ。何しろ、冬の間は、海が凍ってしまうので、船がさせないというくらいなんだ。想像もできないだろう?」

 と言われて、ビックリしてしまった。

「でも、そんな国が何かしようと考えているんですか?」

 と言われ、

「実は、ロシア人は、朝鮮を自国の支配下に置きたいと思っているようなんだ」

 という。

「朝鮮をですか?」

 と言われ、

「私も朝鮮というところをあまりよくは知らないんですが、どのような国なんですか?」

 と聞かれて、

「寒いところではあるが、港もしっかりしていて、半島なだけに、艦隊の基地を作ることができる。ロシアは、凍らない海を求めているからね。そしてそれともう一つ、朝鮮を手に入れたいという理由の一つに、明国に対しての野心があるからなんだ」

 というではないか。

「明国ですか?」

 と言って、地図に目を落とした重光を見て、

「明国というのは、これだ」

 と言って、地図の中で国境を指でなぞった。

「明国も、結構でかいですね?」

「そうなんだ。この明国をロシアは、侵略しようと考えている。ただ、あまりにも大きすぎるということと、民族性もよく分かっていないことから、朝鮮を占領して、そこから、明国を挟み撃ちにしようと考えているようだ」

 というのだ。

「なるほど、前線基地とでもいう感じですかね?」

「そういうことになるな」

「でも、そんなにでかい国を作ったとしても、本当に統治できるんですかね?」

 と言われて、

「明国を、属国のようにすればいいだけのことさ。政府としての機能は持たせたまま。占領して、そこからの貢物を得ようという考え方なんだろうね」

 と彼は言った。

「その計画を、イギリスが気づき、先手を打とうと、この蝦夷地に、ロシアの攻撃用の基地を作ろうとしたんだが、この島に来てみると、何と、北部から、東部にかけて、ロシアの前線基地がすでにできていたんだよ。イギリスもさぞかしビックリしたようなんだ。なんと、ロシアは、まずは、明国と手を結んで、朝鮮を挟み撃ちにして、ロシアに与えるということだったんだ」

 というではないか、

「でも、それだと、明国は何も得るものはないじゃないですか?」

 というので、

「いや、ここにモンゴルという地区があるが、ここをロシアが、占領したのだが、そこと交換条件ということだったんだ」

「なぜ、明国は、朝鮮を捨ててまで、モンゴルが欲しいんでしょうかね?」

 と聞くと、

「モンゴルは国土も広いし、ロシアとの間の国境にあるので、明国が領有していれば、少しロシアの侵略からの防波堤になると考えただろうね。それともう一つ、日本は、鎌倉時代に、元寇というのがあったのを知っているかい?」

 と言われて。

「ええ、中国の元という国がアジアの征服を図った中で、日本も侵略しようとしたということでしょう?」

「ああ、そうなんだ。その元が衰退し、出てきたのが、明という国なのだが、明の民族は、その時の元の民族に恨みを持っていて、撃滅したいと思っているようなんだ。そして、その民族というのが、モンゴル民族なんだよ」

 というではないあ。

「ということは、元が衰退して、彼らはモンゴルという国を作ったということですか?」

「ああ、そうだ。だが、その国もすぐにロシアに狙われ、合併の憂き目にあったわけだが、そもそも、そのモンゴルの国の領地は、非武装中立の場所にあったのだが、それをロシアが、無理やり合併してしまったんだ」

 と言った、

「まさかとは思いますが、ロシアはその合併を、今回の最終的な明国侵略の第一段階として考えていたなんてことありませんかね?」

 と聞くと、

「それは分からない。しかし、もしそうだったとすれば、ロシアというのは、本当に恐ろしい国だといえる。だから、彼らが朝鮮半島を狙っているのを、我々としては、黙って見過ごすことはできないと、イギリス人はいうのだ。彼らは、今、アジアに勢力を持とうとして、その時期を虎視眈々と狙っている。今はアジアでは、スペインやポルトガルが強いんだが、いずれは、イギリスやフランスも狙っているんだ。

 彼らは、このアフリカから、インドを通って東南アジアと呼ばれる地域をかすめながら、日本や、大陸を目指している。しかし、ロシアは、内陸を通って、シベリアという地区から、南下していき、明国を見ているんだ。だから、今までは、ロシアと対立することはなかったのだが、朝鮮や、明国を見ているとすれば、話は別だ。特に、明国は、他の欧州の国からも注目されていて、どこが先に影響力を持つかということになっているんだ」

 と言っている。

「じゃあ、イギリスが黙っていないということですね?」

 とうと、

「そうなんだ。だが、今イギリスは、インドのあたりの問題も抱えているので、朝鮮に力を持ってこれない。そこで、ロシアに対抗するために、蝦夷のこの土地に、要塞を築き、ここからロシアを監視しようと思っているようなんだ。ただ、要塞を築いているうちに蝦夷地の北部と東部の一部は、安全にロシアに占領されてしまった。そういう意味で、今の蝦夷地は、ロシアとイギリスの利権の元、真っ二つに分かれてしまったということになるんだ」

 という。

「この蝦夷地の南部には、イギリスの影響はないんですか?」

 と聞かれて、

「そんなことはない。軍は、インドに持っていかれたが、ここでは、アイヌ民族や、日本の今の戦国時代に飽き飽きしてしまっている武士たちを、密かにこの島に渡らせて、訓練させロシア傀儡の国に対抗しているというわけさ。アイヌの人たちで、北部にいた人たちは、半分、土地を追われる形で、南部に避難してきた。それを受け入れて、彼らを南部の貴重な戦力にしようとして、イギリス人の軍人が、本土から逃れてきた日本人と、北部ロシア人から逃れてきたアイヌによって、烏合の衆ではあるが、軍隊を組織したというわけさ」

 というのだった。

「この国においては、日本の本土とは考え方もかなり違っている。さすが西洋というところは、合理的な考えをするようで、話を聞いているうちにすっかり、イギリスが分かってきたような気がする。だが、私自ら軍を率いるわけにもいかず、かといって、外国語が分かる人もそんなにはいない。英語ができて、軍事面にも明るく、そして、普請事業に精通している人間ということになると、君に白羽の矢が立ったということになるね」

 と、彼はさらに続けたのだ。

「というと、言い方は悪いですけど、烏合の衆のような感じですか?」

 というと、

「そういうことになる。しかし、それはロシア軍とて同じこと、首都のモスクワから、ここまで相当な距離があるので、sの息も凍るような中を、軍を動かすのは、相当無理がある、しようとすると、一旦南に出てから、大陸を中央突破でもしないと難しいのだろうが、大陸には、明国があるし、もっと南に入ると、今度はイギリス、フランスの息のかかった国が存在しているので、大軍を動かすのは難しい。だから、やつらは、モンゴルを占領し、うまく言いくるめて、彼らを自分たちの傀儡の軍隊をして使おうと思っているんだ」

 というではないか。

「じゃあ、モンゴルの人たちは、使われた後に切り捨てられるというわけですか?」

 というと、

「そういうことになる。いいですか、やつらは民族性が違うんですよ。それくらいのことは兵器でやります。だけど、本土だってそうじゃないですか。戦になったら、容赦はないでしょう? それと同じですよ」

 というのだった。

 それを言われれば、そうである。相手を倒すためには、調略を巡らせて、裏切らせたり。主君に対しての謀反だって兵器でやる。戦術としての騙し討ちや、夜討ちなどもあるである。

 その頃になると、忍者も力を発揮するようになる。戦においての相手を探ったり、騙し討ちなども、立派な戦法だというわけである。

 理不尽といえば、農民などもそうであろう。途中から、戦に出るのは、武士だけということになったが、戦国時代は、農民も駆り出されるのが普通だった。

 戦争に行けば、プロでもないのに、殺し合いに参加させられる。しかも、足軽などのような、一番最初に突っ込んでいく、まるで、捨て駒のような存在である、しかも、戦争になると、田畑は荒らされる。作物はできない。それでも年貢は変わらないというのだから、これほど理不尽なことはない。

 さらに、戦で勝った方は、戦利品とばありに、兵士が勝手に、強奪、強姦などの悪党の限りを行う。これは、戦国時代、どこの国、どこの民族であっても変わりはない。まだ、武士道を重んじる日本は、まだマシな方ではないだろうか。

 大東亜戦争の時など、アジアで、さぞ残虐な行為をしたなどと言われているが、そんなものは、

「戦勝国が作ったフェイク」

 だといってもいいだろう。

 ベトナム戦争における、アメリカ軍、さらに輪をかけてひどかったのが韓国軍であった。

 韓国軍などは、

「米軍がやっているんだから、俺たちだって」

 というような考え方だったので、実にひどいものだった。

 そういう意味で、戦というのは、実際に始まってしまうと、それまでの理性も道徳観も吹っ飛んでしまい、本能のままに動くものだ。

 人を殺すことを何とも感じなくなるというのも恐ろしいもので、血を見ても、人が悲鳴を上げて死んでいくのを見ても、何も感じなくなるのだろう。

「殺さなければ殺される」

 という感覚と、

「どうせ、明日は死ぬかも知れないのだから、今日は何をやっても許される」

 という気持ちにもなるだろう。

 軍隊が厳しくそれを軍規で収めているので、本当に悲惨なことにはならなかったが。本当に気が狂った人だっていたことだろう。

 何しろ、戦争になって、その日が終われば、まわりには死骸だらけ。そんな中の異臭がする中で、食事をしたり、眠ったりするのだから、尋常な精神状態ではいられないに違いない。

 残虐行為に走ってしまう精神状態も無理のないことだとは思うが、

「米軍がしているんだから」

 という勧告軍の考えはいかがなものか。

 自分たちがやっているので、諫めることのできない米軍も、同じ穴の狢であることなのだろう。

 さて、この蝦夷地というのが、どうやら、途中で分断され、こちら側は、イギリスが後ろに控えていて。北の方では、ロシアという国が暗躍をしていて、しかし実際には、日本人とアイヌ人、そして、ロシア側は、モンゴル兵という、一種の、

「代理戦争」

 をしているということになるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る