第47話 エマ vs アンドロジャナス




「やっと出て来たか……ここで暴れてるとお出ましになるって聞いてたんだ」


 それが最強種族である事を師匠から聞いて知っているエマは油断せず剣を構える。


「……お前、とんでもなく強いらしいな、やり合ってみたかったんだよ! 最強種族さんよ!」


「魔法攻撃が得意なようだな、だがムダだ」


「言ってろ!……んじゃ、早速いくぜ~っ 〈イナズマ斬りっ!〉」


 その稲妻そのものの超絶高速ランダム軌道斬撃にもスッと瞬間移動で斬り返して来る戦士。

 だがエマも敵の剣が触れた瞬間をトリガーとする『剣戟最高防御、不斬魔術 ・〈エレミラージュ〉』で体ごと電気化逃避。



[ ▼挿絵 ]

https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093076367414791




 触れる寸前、虚空から出現するその剣撃をもかわす。


―――情報通りの攻撃特徴……最小の間合いだが食い込む直前からだ。物質のオーバーラップ核反応での共倒れを恐れてる……

 ならその剣撃はこの回避術さえ有れば通用しない!


 互いに瞬間移動で間合いを取り合う。そこから雷光瞬間移動ライトニングシフトで同時多発して翻弄。


 !!―――至近距離来たぁっ!

 集中攻撃のまたとない好機チャンス

 十倍電圧、ピンポイント最強最大・十億ボルトォォォ!


極雷ごくらいっっ!〉


――――ビビビシャアアアアアアアアアアン!!


 真っ黒に焦げ尽くされるジャナス戦士。


 だがサイバリアで致命とならず、更にスーパーサイパワーで自己治癒を施し回復。

 エマは自身最大最強攻撃でも倒せず蒼ざめる。


「雷をソコまで操るか。光と電気……今までの魔法師の中では最速だ……魔法瞬間移動なら亜空間の出口の予知で簡単に斬れて相手にも成らなかった……

 だがお前はそれをせず行動そのものが超高速で移動……

 面倒なヤツだ。なら剣撃は止めだ」


「フォトンレーザー!」


 その凍てつくような蒼翠そうすいに染まる双眸そうぼう。その瞳孔から翠色の強レーザーを射出。


 エマは大剣を盾代わりにして熱光線をはね返すが、見る見る熱で真っ赤に焼けてくる。

 慌てて電化連続移動ライトニングシフトで逃げるエマ。徐々に追い付かれてくる。


 マズッ、ヤッパリ並じゃねえ! それにソードと違ってレーザー光の速さじゃ触れてからの電化じゃ遅い! 焼斬られるのが先になっちまう……


 ならやられる前にもう一度……

〈雷・撃っ!〉


 事も無げに第二波雷撃が避けられる。だがつまり受けたくはない様だ。


 

 クソッ、亜光速の雷撃が! 完全に読まれてる。

 これだからサイキッカーはムカつく!


〈スピンレーザー!〉


 そこへ考えるヒマも与えられずさらなる攻撃が。


 体幹を軸に高速回転して放たれる眼光フォトンレーザーによる執拗な多回数攻撃。

 秒に数十と横殴りしてくるレーザーがどこに逃げようと追ってくる。ソードを横に寝かせて、飛んでくるその軌道を魔眼で読んで大剣で反射。

 必死に受け続けるが髪と足は焼切断、焦りながらも電化で回転頂部方向へと逃げて超速治癒。


 っとぉ!……もうこれ以上はマズイな……けど聞いた話じゃ地上光がまだ届く第一層辺りではあまり長く戦えないらしいな、そっちへと誘導して逃げ切るしか……

 だが直行したら予知で先回りの瞬殺……ならここを逃げるだけなら力を使い切っても良いだろう!


 最大本気全開っ!秒速30万キロっ!

〈エニウェア・ライ卜ニングシフトッ!!〉


 日に一度、それも十数秒が精一杯の限界最速スキル。

 超フェイントと攻撃を兼ね、一呼吸の間に第二層の至るところ数百ケ所へランダムに出現・疾駆。ついでに宙を飛ぶ魔物数千体を斬撃しながら第二層の入口へ。


 しかし、それでも徐々にレーザーが迫って来る。


 くっ、アタシの全力はほぼ光速。つまり現世最速。だがサイの瞬間移動の速さは空間を飛び越えるところにあるから追いつくのは不思議じゃないが、攻撃前に次に逃げてしまうこのフェイント速度にさえも徐々に迫って来るとは……


 予知の早さ、回数、先行性も尋常じゃねえ! これ以上はマジやばい……なんとかこのまま限界フェイントで逃げ帰る!


ピシャアアアアァン……


 怒涛の光速移動と毎秒:数百フェイント。必死の形相のエマ。しかし百回に一度は近付いて次第にその間合いを縮めて来る。やがて同時に出現し


 ナッ……やられ……

 旋回して迫るレーザー光が完全にこめかみを捉えた瞬間、危機一髪、長い髪の人影に『連れテレポート』で救われる。


 一瞬で地上へと引っ張り出されてそこが遥か上空であることに気が付く。


 眼下にはあの巨大なギカダンジョンのクレーターが手のひら程度に小さく見える。

 そして目を横へと移すとまさに妖精的なスラリとした美女がその長いプラチナ色の金髪を棚引かせ、優しげな顔をこちらへ向けるとエマの口からその名が漏れ出る。


「お前は……五大星・サイキック部隊・副隊長……ソフィー!……」


「相手が悪いわ……一度距離を置きましょう」


「…………ワリィな……助かった……」





[ ▼挿絵 ]

https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093076367421672







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