第32話 友達登録利用される。異能でも活躍!




「あ、タブレットの通知音……登録じゃない、遂に依頼だ! ルカのアイデアのお陰だよ!」


 友達登録制が効を奏し、日々膨大に登録者が増えていたから当然の結果だ。


「うん、良かったね、ルナ。最近被害が急増してるから、これならギルドも不要だし、しかもリアルタイムに対処出来て救出率もアップできる! さあ、今日はかなり練習してきた魔法も使ってみようね!」


「うん。でも気合い入ってるね。ルカもコスチュームが出来上がって気分アガりまくりだし!」


 先日、二人してBROSを訪ねた際にレイの計らいでルカのコスもデザインして貰える事に。

 ルナの治癒魔法カプセルが売れ続けていたことからルナと同じ様に武器商マスターから出資するようロ利きしてもらえ実現した。




[ ▼挿絵 ]

https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093075827745572




 ―――ああ、ルカ……有難う。キミと居ると何故か猛烈にやる気が漲ってくる!……




  * * *




 即座に通報者の元へ駆けつけ、ルカが得意のサイで透視。預かった遺失物から拐われた場所を特定。

 人拐いのたむろすアジ卜へ向かう。そこには女子が既に5人捕まっていた。


「ルナのサイはまだ弱い。鍛えるために今日はそっちからしっかりテレパスするんだよ! けどもしも何かあったら絶対に私を強く呼んで! 今度は私が守る番だからねっ!」


 ルナはキュン顔を隠しつつ、《了解。今日の作戦は?》とテレパス。ヒシヒシ伝わる心強さと感激、そして忍び寄る不安と苦しさを打ち消すかの様に首を振る。


―――あああ……ス…………いや、これ以上は……どうせまた……


《被害者は隔離されてるからいきなり踏み込んでも人質に取られない。統率の魔術師一人と五人の取り巻き、こっちは任せて。別部屋に反乱兵が15人位。ルナはそっちを》


 休憩する反乱兵15人の前に百倍速で現れたルナは、ロッドヌンチャクを魔法の杖がわりにして


〈風魔法・旋風陣!!〉


  巻き起こる強烈なつむじ風で敵兵を撹乱し続け、待機部屋内はさながら脱水機。壁にへばりついた洗濯物状態で失神した所で魔術を解いた。


 別部屋では残り5人の兵士とヘッドとなる術師が百倍速で現れたルカに驚き一斉射撃。すかさず500倍速で合気術開始。その力は銃弾をもいなして軌道を変え相手に返し撃退。


 焦る術師は魔威弾を爆出した。


 その瞬間ルカはあの優しげな下がり眉の表情が冷徹な女幽霊の様な無表情と化し、暗闇の猫の目のように瞳が発光。


〈ファントムアームズ!!〉



[ ▼挿絵 ]

https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093075897526612



 青く幽霊の様に透き通って光る強大なサイパワーの『念力の腕』を幾つも湧出、実態の無い魔威弾をも合気術の様に逆利用して倍返し。


 無防備なまま自分の攻撃に被弾し、瀕死の術師。よもや魔威弾までも返されるとは、と驚愕。

 更に移動もせずにその場全員同時にサイ合気でブワッ。同時多発的に空間から出現するファントムアームズで天井へ爆投。後にボトボト落下してノビきっている者らを冷ややかにみて残心する。完全封鎖し圧倒。


 神童の美技がその異能により超神童に進化。そこへ到着したルナは「サスガだね」と賞賛する。


「私はやっぱり相手の力を利用してやっつけるのがしっくり来る。 でもこんなのまだまだ。私、もっとルナの役に立ちたい。ねえ! その為なら何でもやるよ!」


 凛とした声。一途な眼差しと誠意。


 不運の連続のルナにこんな事の耐性がある筈もない。眩しく輝くその可憐さに鼓動がドクンと跳ね上がる。耳を真っ赤にして思わず泣きそうな顔で逃げ出すルナ。


「あ、ちょっとルナ?、待ってぇ~、照れないでよーっ」


 ルカ……違う! これは……そう、友情、あ、いやエロだ! っぽくない……ん! そうだ、他だ! 他にも目を向けよう! 可愛い子なら他にもいるハズ!


「さあ、皆を助けに行くよ! 」


 ルナは逃げるようにして加速、必死に気持を反らす。すぐに幽閉された女の子たちを見つけ出して無事救助。

 もう大丈夫だよ、と落ち着かせると何やら憧れの目で感謝する女子達。

 

 両手を胸の前で合わせて瞳をキラリ。


「あの、あなたたちが今話題の人拐い救助の方たちですか? タブレット連絡網の……」


「う、うん。[取り返し隊]デ~ス! 今宣伝中だからバズっといてくれる?」

「バズ?……う~ん……しっかり口コミしときますよ!」


「是非に~! (って、この子可愛い~! そうだ、人生をリベンジするんだった! 初回で躓いて何ビビってんだ!)……ね、ちょっと喉乾いてない? この後お茶でもどうかな」


 ギロッ!……


 それナンパ? とルナの例のヨダレ顔に苛立つルカ。

 一途と嫉妬深さは裏腹だ。


 だが声を掛けられた女子が、お礼したいのでぜひ奢らせてと返す。

 

 家へ送る道すがら甘味処へ全員で寄り、いい雰囲気になった所で低めにイケボを装ってアプローチするルナ。

「あの、良かったらボクのカノジョになってくれないかな」


 キリッとした凛々しいイケメン顔のルナ。


「あハイ。私強い人好きなんです。ちょうどボーイフレンド募集中だったの」


 遂にカノジョが~、と増々デレ顔のルナの一部始終をティーカップをカタカタさせて横目で睨むルカ。だが今ルナが男性化出来てるとの勘違いを見抜き


「この人、女ですよ」


「そ、そんな事ない! だって神官に約束してもらったんだ! 今ボクは男子のハズ!」


「まだそんなコト……ならこのムネは何?」

 と、ムンズと掴まれ『ヤン』と赤面するルナ。


 速攻反射で容赦ないビンタを食らわされ、鼻血を飛ばすルカ。


「そ、そんなバカな……ちょっとトイレ行ってくるっ!」


 瞬時に消えたルナは、直ぐにトボトボと戻って来た。


「無かった……」


 等と呟きながら。腫れた頬を押さえて「ナニが?」と返すルカ。


「オチ……」


 と言いかけたルナ。再び真っ赤な顔でルカにビンタをかます。

  

「え……私、百合の趣味はないんです……ごめんなさい」

 と、席を立つ女子。さっさと去っていった。


「うわあ~、一体どういう事~? 何かの間違いだぁ~! ボクの異世界人生がぁ~っ!」



「やましい事を考えるからだよ。私という人がありながら!」









< continue to next time >


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