カムイユカラ KAMUY YUKAR 屠竜の剣 Tales of The Dragon Slayer

葛飾ゴラス

プロローグ

第0話 中つ国につたわる神話

 太古の昔、〈古の神々〉は万物の長だったが、魔族によって滅ぼされた。


 かわって魔族が万物の長となったが、魔族同士の争いが絶えることはなく、降りつづいた黒い雨によって、土は腐り、海は穢れた。


 この有様をうれえた天は、千万の竜に姿を変えて地上に降り立った。


 おなじく、


 この有様にいかった大地は、千万の巨人となって地上に姿をあらわした。


 竜族と巨人族は最初の一日で魔族の半分を殺した。天に届かんばかりにそびえ立っていた魔族の城を破壊し、木の根のように地底深くまではり巡らされていた魔族の街を蹂躙した。


 七日のうちに魔族の数は百分の一にまでになっていた。ついには、ひと握りの魔族だけが船に乗り、ほかの大勢を置き去りにして、〈火の国〉へと去った。


 その後、竜族と巨人族の戦争へと発展し、それは百年つづいた。森は炎につつまれ、森に住むあらゆる動物と植物が死滅した。海は沸騰し、海に住むあらゆる動物と植物が死滅した。


 世界を生命の存在しない殺伐とした風景に変えたあと、竜族は天空へ、巨人族は地底へ、と帰った──


 そののち一万年の時間をかけて──地に草花が芽生え、海に魚がもどり、空に鳥が飛び、草原に獣が駆けるようになった。


 最後にヒトがあらわれ、文明を興し、世界の中央に〈中つ国〉を建てた──

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