吐け

果芽

ヒメオドリコソウが嫌いだ

嫌いな花はヒメオドリコソウだ。

決して綺麗な花ではないのに、蜜が甘いという程度で多くの人に知られている。必死に生きている自分は誰とも接吻した事ないのに、あの花はただそこにいるだけで口付けを受ける。

汚らわしい。

自分は別に誰かと接吻をしたいという訳ではない。ただ、それは自分を救う手段になる。

自分の悲しみや怒りは、口にしたり、涙を流すことでは決して無くならない。抱擁や接吻、性行為によって他人に押し付けることでのみ、無くすことが出来る。

もちろん自分に押し付ける相手もおらず、かといって怒りや悲しみが溜まった状態では、そんな相手を作ることも出来ない。

恋人を持つものは、皆苦痛を感じることの無いバカなのでは無いかと思う。

そんなわけがないとは分かっているが、そんな事実に吐き気がする。

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