バディもののバッドエンドIFのFDの冒頭みたいな奴

上面

いわゆる一つのバッドエンド

 怪人トロリープロブレムに俺の相棒と無作為抽出された日本国民数十人が地球上の何処かにそれぞれ監禁された。それぞれの監禁された密室には時限爆弾が設置されていて、怪人トロリープロブレムは俺にどちらかの密室の時限爆弾を停止するスイッチを与えた。どう考えても俺たち警察が密室を見つけ出すよりもカウントダウンがゼロになる方が早い。

「おう相棒。俺には三才になる娘がいるんだ。手が滑ったことにして俺を助けてくれ。見ず知らずの人間の命より見知った相棒だろ?なあ?」

 携帯電話越しに相棒の加賀壱郎は命乞いをしてきた。少なくとも電波の通じる場所に監禁されているらしい。壱郎は黒髪長髪のチャラチャラした奴だが不思議と気が合った。クソみたいな部署に左遷されて良かったことの一つは壱郎に会えたことだと思う。他に良かったことは給料が上がったくらいしかない。俺は自分の命を日本国民数十人より優先して欲しいという壱郎の切実な命乞いを聞かなかったことにした。俺は壱郎の最後の言葉を忘れて、自己犠牲の精神で自らを見捨てるように言ったと記憶することにした。

「ああ。分かったよ。さようならだ」

 それが例え分身が如く大切な相棒だとしても、自分自身の命だとしても刑事は日本国民の命と日本国の秩序を優先しなければならない。だからさようならだ。

「クソが。お前は善い選択をしたな。一足先に地獄で待っているぞ」

 そして相棒は爆弾で吹き飛んだ。怪人トロリープロブレムの事件は現在も鋭意継続捜査中である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る