第2話 起

転生…

それは俺が実在してほしいと最近ずっと心の内側で願っていたものだ

出来ることなら今すぐ転生したい

が、それはこの女が本当に神だったらの話だ

俺は意外と用心深いところがある

俺はまだこいつが腹話術師かなんかの手品師で俺は今詐欺にかけられてるという疑いをぬぐいきれてない

 「えぇ?こんなに心読んでるのにまだ神かどうか疑ってるんですか」 

「まぁ、心読んでくるやつとか人間にもいそうだし…」

「じゃあ人間に絶対出来ないことを見せてあげますよ」

そう女が言うやいなや俺は肌に刺すような寒さを感じた 

 「寒っ!てかここどこ?」

 「エベレストですね」

 「はぁ!?」

でも確かに周りを見てみると絶景が拡がっている

どういうことだ。俺は今最新のVRとか見せられてて映像と一緒に室温とかも管理して

る…のか?

 「まだそんなこと考えているんですか?い                  

い加減信じて欲しいのですが…」 

 「最近の技術は凄くてねぇ」

 「ではこれならどうですか?」

次の瞬間またさっきの空間に戻っていた

いや、でも違う点が一つ

なんか俺の前に鏡がある

 「鏡を見てみてください」

 「別に特に変わった点はな…」

鏡に写る自分を見て驚いたのはこれが初めてかもしれない

 「昔の俺がいる…」

自分の体を直接見てみるがメタボ腹は消え、自分の顔に触れてみるがたるんだ頬はハリのあるものになっていた。

 「貴方を若返らせました。どうです?」 

これは参ってしまった

どうやっても昔の俺を完璧に再現することは不可能だし自分の心がこれは嘘ではなく現実であって欲しいと強く望んでいた 

 「分かった、お前が神だと信じるよ…」

 「ふぅ、やっと信じていただけましたか。 これでやっと話が始められます」

 「話って、俺を異世界転生させることだけじゃないのか?」

 「…何で無条件で異世界転生できると思ってるんですか。ちゃんと条件がありますよ」

 「条件?」

 「貴方が転生した世界から『鍵』を探し出して私に送り届けることが条件です」

 「鍵?」

 「ええ。そしてその『鍵』を得るために貴方にはライバル達と闘いあってもらいます」

 「どういうこと?」

 「今回転生するのは貴方だけではありません。貴方含めて総勢11名今回転生します。」

「いや、別に闘い合わなくても、転生者同士で仲良く『鍵』探せばいいじゃん」

「いえ、転生者は11名全員『鍵』を渡すべき相手が違います。例えば貴方は私に『鍵』渡さなければいけませんが別の方は別の神に渡さなければならないことになっています。基本的に異世界転生さしてもらった神に渡しますね」

「鍵って…11個あるわけじゃないの?」

「1個だけですね」

大体分かった

11人の神がみんな『鍵』欲しいけど1個しかない!でも自分達で闘い合ったり探し出すの面倒臭いから、それぞれ一人適当に現世から引っ張ってきて『鍵』取ってきてくんない?異世界転生さしてあげるからって頼んで異世界におつかいに行かせてる感じか…

でもなんでこいつらこんな『鍵』ってやつを…

「まぁだいたい合ってますね、後私達が『鍵』を…」

「喋ってないのに反応するなよ!気持ち悪いから!」 

「しょうがないじゃないですか!分かっちゃうんだから…」

「まぁいいや、一つ気になったんだけどさ、なんでお前らはそんなに『鍵』って奴を欲しがってんの?」

「主神になれるからですよ」

「どういうことだ?」

「実は『鍵』には所有するだけで神に莫大な量の力を与える効果があるんですよ。そしてその莫大な力をもって神達を従わせ、この世界を支配するのが『主神』という存在。『鍵』は基本的に主神の手元にありますが、主神が何らかの原因でいなくなると、これから貴方が転生する世界のどこかに転移するという性質を持っています。」

「つまり現状主神がいなくて神が誰でも主神になれる可能性があるからみんな『鍵』ってやつを欲しがってるっていう訳か…」

「ちなみにお前も『鍵』探してるってことは主神って奴になりたいわけなの?権力とか欲しそうに見えないが…」

「私?ですか?私も主神になりたいですよ。自分の身を守るためですが」

「自分の身を守るため?」

「はい。実は今主神がいないのは殺されたからなんですよ」

「!主神って最強なんじゃないの?」

「そのはずなんですが我々11人の神の中にいる裏切り者によって殺されてしまいました」

「11人って今回『鍵』の取り合いに参加する?」

「はい、てまぁ主神抜いたら神は元々11人しかいませんが」

「全員参加かよ!」

「まぁ半分の神は私みたいに『裏切り者が誰か分からない以上誰が主神になっても信用できないから自分がなる!』みたいな消極的な理由ですけどね」

「裏切り者、見つかってないんだ」

「裏切り者は人間を使って間接的に主神を殺したので直接的な証拠がないんですよ」

「人間が神を殺したの!?」

「犯人が現場からテレポートして逃げる際に一瞬見えたのですがあれは確かに人間でした」

「凄い人もいるもんだ」

思わず驚いてしまう 

「まぁ、恐らく裏切り者の手引きがあったでしょうが。そうじゃなきゃそもそも主神に会うことすら出来ないしテレポート何て人間が使えるもんじゃないですよ。」

「その人間はいまも逃走中?」

「まぁ…そうですね…。どの世界にいるかは分かりましたけどね…」

何か女神様がなんか気まずそうにしてる

やな予感がする…

「どこの世界にいるんだ?」

「…今から転生する世界…」

はぁぁぁぁぁぁ

まじかよぉ







 

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