第3話 一方的な戦闘
俺は聖王国を離れ、帝国に拠点を変えるため馬車に乗っていた。
この時期に乗るのは俺ぐらいだと思っていたが、どうやら俺以外にも帝国に行くやつがいるらしい。
見た目からして15歳ぐらいだろうか。
そういえばこの時期はリーデル帝国学院の入学式があったんだったか。おそらくこいつは学院の新入生なのだろうか。
せっかくの機会だし、俺が今まで歩んできた冒険譚でも聞かせてやろうか。
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俺が話に夢中になっているといきなり馬車が止まったと思ったらオークの群れがいた。あいつらは本来、森の中で生活しているはずだが……。
そんなことを思っているとオークの一匹が俺たちに気付きやがった。
まずい。オークの群れになると三級指定にまで及ぶ。今の俺じゃ歯が立たない。
いやそんなことはどうでもいい。今は、このガキと御者を守ることだけに専念しろ。
俺は近くにあった大剣を持ってオークの群れに向かった。
無茶っていうのは俺自身もわかっている。だけどここで逃げるっていうのは男が廃るっていうもんだ。
死んだばあちゃんにも顔があわせられねぇ。
しばらくすると、馬車にいたガキが俺のそばまで近寄って一緒にオークどもを倒すとかぬかしやがった。俺が注意しても無視して群れにガキは突っ込んでいった。
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そこからの戦いは一方的だった。ガキが腰に差していた剣を抜いた瞬間、気が付くとオークの左腕がなくなっていた。
俺のそばで何かが落ちたような音が聞こえ、見るとそれは先ほどなくなったはずのオークの腕だった。
怒り狂ったオーガがガキに向かって、右腕を振り下ろした瞬間首が切られ、それと同時に左右にいた二匹のオーガの体から電流が走りバタバタと倒れていく。
同じように他のオーガもガキが使う奇妙な剣術と魔術のようなものによって数を減らしていく。
残った一匹のオーガはその光景に今まで憤怒していたのが恐怖を覚えのか、顔がしだいに歪んでいく。
そんなのも気にせず、剣を再び鞘に納め姿勢を低くしたと思うとものすごい勢いでオークの目の前まで近づいたと思うと体中から血が噴き出て大きな音を立て倒れる。
レベルが違う。
こいつの実力は俺が人生のすべてをささげても到達できるかわからない。
それくらい俺とこいつにはとんでもないほどの格差があった。
オークどもの屍にたつその姿は鬼人を彷彿とさせるような恐ろしく、また凛々しく
もあった
ちなみにオッサン冒険者のばあちゃんは今でも元気に農作業してます。
これからの話には全く関係ないんですけどね。(裏話)
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