第100話 冒険者登録 & 商人登録
今日から11月。
よくよく考えると、MFブックスコンテストの読者選考の最終日でした。ちょっとした悪あがきで、1話投稿してみたいと思います。
それから、ぼちぼち近況報告の方でお祭り(カクヨムコン)参加用の作品の先行投稿を始めたいと思います。(サポーター限定になります。ごめんなさい)もし、ご覧いただけましたら、優しくアドバイスしていただけると嬉しいです。
筆者が初めて書いた作品ですので、テンプレばかりのツッコミどころ満載の作品になっておりますが、読者の皆様の暇つぶしになれば幸いです。
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受付のお姉さんの合図と共に、僕はカクドンの背後へと回り込んだ。ソニックブームで周囲の人たちを飛ばさないように、もの凄くゆっくりと動いたはずだが、カクドンは僕の動きに付いてこれなかったのか、未だに誰もいない正面を見据え斧を構えている。
その無防備な首筋に超優しく木剣を押し当てた。
ドン
無抵抗のまま首筋を打たれたカクドンはそのまま橫に倒れてしまった。まあ、鍛えているみたいだし頭も打っていないから大丈夫でしょう。
しかし、カクドンを倒したのに誰も何も声を発しない。勝敗を判定する受付のお姉さんも倒れたカクドンを見て黙っているだけだ。
「終わりでいいか?」
仕方がないから僕から話しかけてみる。最初に作ったクールなキャラ付けのせいでしゃべりづらい……
「あ、はい、終わりでいいです? あれカクドンさんはなぜ倒れているのでしょう? うんぁ? フォッグさんはいつの間にそこに?」
大丈夫か受付のお姉さん。何か変な声がでてますぞ? とりあえず合格でいいのかな? あれ? 合格判定を出すはずのカクドンが気を失ってるから合格できないとかある?
「終わってるなら問題ない。それで合格なのか?」
「え? あ、はい。試験官に勝った場合は無条件で合格です。そんなことめったにないはずなのですが……」
よかった。合格というのならば、僕はもう何も言うことはない。さっさと冒険者カードをもらって素材を換金せねば。
その後、終始上の空で対応してくる受付のお姉さんを促し、Fランクの冒険者カードを手に入れた。
よし、これで魔物の素材を換金できるぞ。っと、その前にクエスト一覧を見てくるか。もしかしたら、僕が持ってる素材で達成できるクエストがあるかもしれないからね。
クエストボードを確認すると、素材を求める依頼が割とたくさんあったので、自分のアイテムボックスの中を確認し、今出しても問題なさそうなものをいくつか選び受付へと持っていった。
さすがに討伐系の依頼はその場で倒さないとダメだけど、素材調達の依頼に関してはどこでとってきたものだろうと問題ないようだ。
すると、何とそれだけでランクがEに上がってしまった。先ほどとは別の受付のお姉さんに対応してもらったんだけど、今までの最速ランクアップだと驚かれてしまった。そりゃギルドから一歩も出ることなくランクが上がれば最速とも言われるか。
クエストの達成の報酬だけでは少々懐が心許なかったので、魔石をいくつか換金してもらった。グリーンワーム大先生の魔石が大量にあったので、それを出しておく。いきなり高ランクの魔石を出したら大騒ぎになりそうだからね。学習しているのですよ、僕は。
しかし、先ほどの登録試験からどうも他の冒険者のみなさんの遠巻きの視線を感じる。なぜだ? 一応、アイテムボックスがバレないように、幻惑で創り出した袋から出しているふりをしているのだが。
それはそうと、せっかく得意な武器を『剣』と書いたので、きちんとした剣術を習いたいな。あと、今まで縁の無かった『炎魔法』も手に入れたい。人型になった今なら、習えばスキルが獲得できるのでは無いだろうか?
そう考えた僕は受付のお姉さんに、剣術と炎魔法を教えてくれる人がいないか聞いてみた。
すると『依頼を出せば引き受けてくれる人がいるはずだ』と言われたので、すぐに依頼を出すことにした。報酬は初回大銀貨1枚で、その後は要相談らしい。先ほど換金した魔石代から大銀貨2枚を受付のお姉さんに渡しておく。
さて、ここでの用は済んだので、次は服を買いに行くとするか。
魔石を換金し、洋服代と当面の宿代を手に入れたので、僕はすぐに服屋に行って下着から何から買いそろえた。ようやく人並みに服が着れると思うとホッと一息つく。決して物足りなさなんかは感じていないよ。
ついでにここで子ども服を買ってもよいのだが、それはまた後でにしよう。子ども持ちだと勘違いされるのは嫌だし、着てみないとサイズもいまいちわからないからね。決して、今度は子どもの姿で素っ裸で出歩きたいわけではないよ。
とりあえず大人用の服を揃えた僕はお腹がすいているのに気がついた。どうやら
せっかくなので泊まる宿を探し、そこで昼食を摂ることにしよう。それから部屋で子どもの姿に変身し、仕方がないからもう一度服を買いに来るとするか。そう決めた僕は服屋を後にし、宿屋街へと歩いて行った。
(よし、お腹もいっぱいになったし子どもの姿になって服を買いに行くか)
あの後、無事にいい宿を見つけ、一週間分の宿代を先払いし、昼食をとってから部屋へと戻ってきた。
そこで"矮小化"のスキルを使い子どもの姿になると、幻惑で服を着ているように見せかけこっそりと宿を出る。
なぜか、少しだけぞくぞくした。
服屋は先ほど訪れているので迷いなく着く。子どもひとりで買い物に来ていることに若干不審がられたが、何とか子ども服も買い揃えることができた。これでもう素っ裸で街をうろつくことはないだろう……たぶん。
さて、せっかく子どもの姿に変わったので、この姿でも何かできないかと考える。魔物を狩りに行くのはフォッグの時と決めているので除外するとして、他に何か無いかなと考えを巡らせていたところで思い出した。
(そうだ、商人になろうと思ってたんだ!)
向こうの世界でも起業している中学生とかがいたはずだし、売れるものはアイテムボックスに腐るほどある。
フォッグのランクが上がれば、キリの専属契約冒険者にして、素材を集めていることにすればいい。指名依頼を出せばフォッグのランク上げの助けにもなるし、これは一石二鳥なのでは?
よし、そうと決まれば商業ギルドに行って下調べをしてこよう。僕は自分のナイスアイディアにウキウキしながら商業ギルドを探すのであった。
「はい、一応規則上は問題ございません。ただし、ギルドが定める条件を満たさないと、資格が剥奪されることがあるのでご注意ください」
商業ギルドに到着した僕は、一番優しそうな受付のお兄さんのところに行き、この年齢でも商人登録できるか聞いてみた。半分ダメと言われる覚悟をしていたが、思いのほかあっさり許可を取ることができた。
何でも、親が魔物に殺されてしまった子ども達が集まって、靴磨きや街案内、ゴミ拾いなどを請け負う商会を立ち上げ報酬を得て生活をしているそうな。そういった子ども達の身分を保障するという意味でも、許可を出していると教えてくれた。
こちらの世界の子ども達のなんとたくましいことか。ただし、商業ギルドにもランクがあり、
先に言った子ども達は年会費など払う余裕はないので、みんな銅級なんだとか。それでも身分証があれば手に入れたものを商業ギルドで買い取ってもらえるし、子どもだけでも色々な施設が利用可能になる。生活が便利になるのでみんな手に入れたがるみたいだ。
さて、しかしながら僕は本格的に商売をしようと思っている。できればこの街の郊外に店舗兼自宅となる一軒家を借りて、そこで魔物の素材を中心に販売するお店を経営していきたい。
素材はアイテムボックスに保管しておけるから、需要の多い商品を調べ、その名前を書いた値札だけおいておけばいいだろう。
それとは別にアイテムボックスに保存してある素材の一覧を冊子にしておいておけば、値札がないマニアックな商品をお買い求めのお客さんの要望にも応えられるかもしれない。
僕が持っていない素材をお求めの場合は、個別の依頼として受けてもいい。フォッグに指名依頼を出すだけだから。
商業ギルドにいるせいか、アイディアがどんどん浮かんできた。このアイディアをまとめて、アイテムボックスのことは隠して受付のお兄さんに説明すると、
お店の名前は『万屋』にしようっと。
ただ、二週間後に登録した店を見に行ってきちんと商売が行われているか確認するそうだ。不正がないかどうかの確認なので、これは当たり前の対応だろう。
ついでに優しいお兄さんに借りれる空き家を探すにはどうしたらよいか聞いてみたら、それも商業ギルドで扱ってるとのことでした。担当が違ったので、空き家担当の人に変わってもらいいくつか空き家を紹介してもらった。今度見に行ってみて、気に入ったものがあれば中も見せてもらうとしよう。
空き家の紹介をしてもらっている間にギルドカードができたようで、最初に対応してくれた優しいお兄さんが渡してくれた。冒険者カードよりも小さいが作りはしっかりしているようだ。色は階級と同じ銅色でした。
さて、商業ギルドの登録もできたし、紹介してもらった空き家でも見に行こうとギルドを出ようとしたら、待合場所の椅子にひとりの女の子が座っているのが目に入った。先ほど教えてもらった、子どもだけの商会のメンバーかとも思ったけど、それにしては幼すぎる。たぶん4~5歳くらいだよな、あの見た目は。
そんなことを考えながら見つめていると、その子と目が合った。まずいと思ったときには時すでに遅く、にんまりと笑顔を浮かべたその子は僕目がけてトテトテと走ってくるのだった。
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