第23話 やっぱりいた!
テリオ達王族が二人の王妃の告白を聞いたところで、俺が感じた違和感を同じ様に感じているみたいだ。だが、その中で落ち着かない様子なのがジャミール公爵だ。
ジャミールは二人の王妃を睨み付けると「巫山戯るな」と小声で呟く。
「タロ、クサいヤツをここに連れて来て」
『うん、いいよ』
「お願いね。アオイも手伝ってくれるかな」
「ああ、いいぞ」
俺のお願いにタロとアオイがこの場からスッと離れると、壁際に立っていた一人の侍女の元へと近付く。
「あの……何かご用でしょうか?」
「ああ、御用だ。お前から臭う」
『ワフッ!』
「え?」
「つまらん演技はするな! 何が目的だ?」
「な、なんのことですか?」
「あ~面倒だなコータ!」
「はいよ。『
「あ……」
俺が侍女を捕獲すると、侍女は声を詰まらせる。そして、テリオ達王族は俺が何をしているのかが分からないようで皆、一様にキョトンとしている。ただ一人ジャミールを除いてだが。
アオイは捕獲した侍女を担ぐと王妃達二人の横に転がす。
「ちょっと、なんなんですか! 私をどうするつもりなんですか!」
「もう、芝居はいいから。さっさと正体を晒しなよ」
「……なんのことですか?」
「まだ、惚けるんだ。魔族のビーディさん」
「……間違ってますよ。私の名はビーディなんかじゃありませんよ。私の名は「ビーディでしょ」……だから、違うと言っているでしょ!」
俺が侍女に扮しているビーディに対し芝居を止めろと言うが、ビーディはまだしつこく芝居を続けている。
「あ~もう面倒だな『
「だから、何を……え? どうして……」
俺がビーディに対し#解除__ディスペル__#を唱えると、青白い肌に尻尾が生えた
そしてそれを見たテリオ達王族は「ヒッ」と短い悲鳴を上げるが、マリオだけは楽しそうな顔をしている。多分だが、これから起こることを予想しているのだろう。
だが、一人だけ違う反応をしている人物がいたのを俺は見逃さない。そう、ジャミールは露わになったビーディを見て「嘘だ……なら私は……」と何やら面白そうなことを呟いていたのが耳に入る。
俺はニヤリと笑うとジャミールを指差し「これはアンタの知り合いだよね」と問い掛ければ、ジャミールは首を横に振り、「そんなのは知らん!」と言う。
「ふ~ん、でもさ。アンタと一緒に来たよね? それでもシラを切るのはちょっと、無理があるかな~」
「ふん、知らないものは知らん! 大体、さっきからお前は私に向かってなんだ! その態度や口の利き方は!」
「え~今更でしょ。じゃ、面倒だから『
「が……な、何をする! 私を誰だと思って「反逆者でしょ?」……は?」
「だから、そこの魔族と手を組んで簒奪を企んでいる反逆者でしょ? 違った?」
「な、何を言うんだ。何故、私が簒奪などと……」
「もう、いいから。じゃあ、同じ様に質問するけど正直に答えられる? 痛みと切られるのとどっちがいい?」
「な、なんだそれは!」
「何って、散々見てきたでしょ。特別に両方ってのもあるけど?」
「……」
俺がジャミールに向かってニヤリと笑うとマイクが俺に「お前は嗜虐性が強すぎだ」と言う。
おかしいな、そんなつもりはないんだけど。
ビーディは俺とジャミールのやり取りを見ていたが、特に騒いだりとかせずにただ静観していた。
「まあ、いいか。じゃあ、先にこっちから済ませるから」
「何をするつもりだ!」
「いいから、そこで黙って見てなよ」
「……」
俺はビーディの頭を掴むとそれまで黙っていたビーディが口を開く。
「ふん! 人風情が私に何をするつもりだ。私が暴れ出す前に解放するんだ」
「何言ってんの?」
「だから、私を早く解放しろと「イヤだよ」……は?」
「するなら、自分ですればいいじゃない。人風情のしたことだよ。ほら、早く!」
「……」
「どうしたの? 人風情のした#拘束__バインド__#が解けないの? 嘘でしょ? 魔族なのに? あ、そうか! 底辺の
「……」
「お、お前、何を言いだすんだ!」
ビーディが自分を早く解放しないと大変なことになるぞと俺に脅しを掛けて来るが、そんなことをする前に自分でなんとかしないのかと煽ってみるが、一向に
なので魔族の中で最底辺に位置するからジャミールを籠絡するくらいしか出来ないんだろと煽ればビーディは何も言えなくなり、ジャミールは焦り出す。
まあ、女だと思っていたのが実は男の娘だと分かったのはショックだろうなと思う。俺にも経験があるから分かるが、俺はその先まで行ってないから、ジャミールのショックは計り知れないことだろう。
『肯定します』
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