第四話 farewell this world 1
「え、なんだ?ここ。」
目が覚め、真っ暗な空間へと誘われた。
「な、なんでこんなにも暗いんだ?こ、ココは何処なんだ?俺はどうなってしまったんだ。もしかして俺.....死んだ?嘘だろ.....」
目の前が真っ暗な暗転に包まれたのち、突然不安や恐怖に駆られる。
しかし、それも時間が経つにつれ、それがどんどん心地のよい気持ちになっていった。
もう、俺は永遠とこのままの状態で良い気がするような感じだ。
心地よいって事はもしかして、スーパーで寝落ちor失神でもしたのかな、と楽観的な考えをこの空間の中で考えていた。
すると聞いた事の無い声が主に。全神経の中の特に左耳からよく聞こえて来る。
それは、全然知らない、というかこの声ほんとに誰?って思うくらいに知らない様な女性の声であった。
でも不思議に思うがほんとに心地いい。
何故かそんな気がしていた。
「やあやあ、そろそろ目覚めたらどうだい?ふふふ、まったく、私の膝の上でいつまで寝る気なんだ?まあ、君がその気なら幾らでも良いんだけどねー。そのまま永遠に寝ても。んふふふふ。」
甘い様な、そんな声でその声の持ち主はしゃべっていた。
どう聞いてもこれは、童貞を殺しにかかっているような喋り方だ。
それはもう、まるで俺を、何かに誘っているような感じの魅力のある声だ。
一体さっきからなんなんだと言うんだ。
「ん?いや、普通に誰だ?なんだ君は?と、言うかいったい俺は.....」
「おやおや、ようやくお目覚めになったようだね。紫花、カイナく~ん。んふ♡」
顔を見たが、親でも、姉でも、友人でも、知人でも無く知らぬ顔だ。
それは前世の恋人でも無かった。
ってかそもそも恋人など居なかった。
「うん?ん?ほんとに誰だ君?というかなんで俺の名前を知っている?此処は何処なんだ‼︎」
俺はこの状況に対し、少しパニックになってしまった。
「名前くらい私に掛かればすぐにわかるよ。ああでもそうか。まあ、そうなるのも無理はない。そういえば君に、私の事何も、君に伝えて無かったよねー。ごめんねー。」
その女は手のひらを合わせてゴメンねのポーズをとる。
「は、はぁ。」
「よし、そんじゃあ私の自己紹介するよー。私の名前は『ペルセポネ』。かの有名な冥界の帝王、ハーデスの嫁だよ。あのゼウスとか、ポセイドンの兄弟のね。まあ、簡単に言えば、冥界の列記とした人妻ってところかな。」
ちなみに今更ここで言わせてもらうが、俺の名前は【カイナ】である。
漢字で書くと甲斐無と書く。
このぱっと見でまるで【甲斐性なし】と読めてしまうような、似ている漢字を使って、どういった心境で両親がこの名付けをしたのかは、俺自身も全くもって不明なんだ。
息子である俺でも、あまりよくわからない。
一度なんかの機会に両親に聞いてみたんだが
『その場のなんとなーくなノリで決めたからあまりよく覚えてない』
と言われた事がある。
そんな馬鹿な、だと思うであろう。
残念、これが現実だ。
きっとこの世に未だに放たれていっている、物凄いキラキラネームの子たちは、きっとこのようにしてどんどん生まれてくるのだろう。
まあ多分、俺の名前にあまり良いイメージは湧かないだろうが、辛うじて三文字だから少しばかりは呼びやすいだろう。
そして、その自称『ペルセポネ』と名乗る人は、とても美しい容貌であったが何処か、不気味さが拭えない。
優しい様で鋭い眼。
すらり長い美脚、さらさらした紫の髪、そして極め付けはその胸のデカさ。
つまり、男を誘う超パーフェクトボディーだった。
まさにオールウェイズなんだ。
「なんだ?ペルセポネ?、ハーデス?、冥界の人妻?ちょっとばかし急展開すぎないか?急すぎて何も理解できねぇ。なあ、まずなんで俺はこんなところにいるんだ?此処は一体何処なんだ?」
「まあ、そう焦るなよ。人間。」
「落ち着いていられるかよ。こんな胡散臭い場所なんか。」
「うん、まあ言ってしまえばここは実質ね、あの世みたいなものなんだ。まあ、つまり君は死んだ。」
予想は最悪のカタチで当たった。死んだ。そう聞いても実感は湧かない。しかし、ショックくらいはある。
「えっ.....死んだって、」
「そう、死んだ。残念ながらね。」
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