女ねずみ小僧次郎吉（合冊）

第2話

（悪人たちが庭にいる使用人の前に現れる）

（使用人に変相しているねずみ小僧）

あら・・・

旦那様方、みなさんお揃いで、どうなさったんですか？

（お前がやったんだろうと問い詰める悪人）

ふふふ

おや、おや、もうバレちゃったのかい

しょうがないねぇ

（服を剥ぎ取り、ねずみ小僧の姿で登場）

そうさ、あんた達の金は、この私が全部もらっておいたよ

人を騙して稼いだ金を、今度は逆に盗まれるとは

あんた達も、いい面下げて、ざまぁ無いねぇ

（悔しがる悪人）

おや、悔しいのかい？

人の皮を被っただけの、人でなしの悪党でも

人様みたいに、悔しいなんて気持があるとは

ふふ

お笑いだねぇ

よかったじゃないか

人を騙してばかりじゃ、到底味わえっこないからねぇ

ちったぁその気持、噛み締めてみるがいいさ

あんた達の金は、元の場所に

ちゃ～んと返しておいてやるから安心をし

（悪人に正体を聞かれる）

ふふ　私の名かい？

そんなに知りたきゃ教えてやるよ

あんた達が悪どい諸行を続ける限り

この名を聞く事になるだろうさ

耳の穴かっぽじって、よ～くお聞き

私の名は『ねずみ小僧次郎吉』

悪党から金を頂くのが私の仕事さ

あんた達もせいぜい気をつけるんだね

じゃぁな、あばよ

（姿を消すねずみ小僧）

完