闇の水晶―夏休みの恐怖

O.K

第1話:闇の水晶

夏の燦々と降り注ぐ陽光が、私たちの冒険心をかき立てていました。学校が終わり、夏休みが始まった直後、私たちは仲間たちと共に海へ遊びに行くことにしました。海辺の町に到着した私たちは、笑顔でビーチへと続く砂浜を駆け抜けました。


私たちは海の水しぶきを浴びながら、波打ち際で遊び始めました。その透明な海に浸かることは、まるで別世界へと旅立つような気分でした。しかし、私が波打ち際で遊んでいると、ふと目に留まったものがありました。


砂浜に広がる白い砂の中に、きらきらと輝く美しい水晶が落ちていたのです。その輝きに魅了された私は、つい手を伸ばして水晶を拾い上げました。それは手に馴染むような重さと冷たさを持っており、私の心を奪いました。


帰りの道中、私は不思議なことに気づき始めました。水晶を手に持つたび、奇妙な感覚が私を包み込むのです。その輝きはどこか邪悪なものを秘めているような気がしましたが、私はその感覚を無視してしまいました。


しかし、その晩から奇妙なことが起きるようになりました。私の夢は不気味な光景で満たされ、水晶の姿が現れるのです。まるで私を引き寄せるように、水晶は私の手元に現れ、私の心に闇を注ぎ込んでくるかのようでした。


徐々に私の心は歪み始め、日常生活も変わっていきました。友人たちは私が変わったことに気づき、距離を置くようになっていきました。私は孤独感に苛まれながらも、水晶を手放すことができませんでした。それは私の魂を支配し、私の存在を飲み込んでいったのです。


夏休みが終わる頃、私はもはや自分ではなくなっていました。闇に満ちた目で友人たちを見つめ、彼らに迫ります。水晶の力は私を変え、私の中に宿る邪悪な存在と化しました。私の存在はただ一つの目的に結集しました。それは水晶を手に入れた者たちを、闇に引きずり込むことでした。


友人たちは私の存在を恐れ、逃げ惑いますが、私の力は彼らを追い詰めます。恐怖と絶望がビーチを支配し、夏の陽光は私の邪悪な存在によって奪われました。海辺の町は、かつての楽園ではなくなり、闇に覆われた恐怖の地と化してしまいました。


夏休み最後の日、私はビーチに立ち尽くし、水晶を手に握りしめていました。私は何度も問いかけました。「なぜ私にこんな力を与えたのか?なぜ私を選んだのか?」しかし、水晶からはただ冷たい静寂が返ってくるだけでした。


その瞬間、私の手から水晶が滑り落ち、海の中へと消えていきました。私の心にあった闇も、水晶と共に奪われたのです。私は元の自分に戻り、悪夢のような夏休みは終わりました。


しかし、海辺の町には今もその恐怖の残滓が漂っています。人々は水晶を見つけたり、夏の波打ち際で不気味な光景を目撃すると、私のような運命に縛られることになるのです。水晶の輝きに魅せられることなく、皆が幸せに暮らせることを祈りつつ、私はその場を離れました。

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