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第4話 愛理栖の違和感
真智
「ただいま〜！」
愛理栖
「ねえ、真智？」
何か事情があって真智の帰りを待ちかねていたのだろうか。
愛理栖は思い詰めた様子で間髪入れずに真智に声をかけた。
「どうしたの？」
「宙、最近観てないんじゃない？」
愛理栖は難しい表情をしていた。
「あ、うん。
谷先生に聞いたらね、宙はパパが久しぶりに家族と旅行に行ってるんだって」
「それ、電話だよね？
谷先生はちゃんと確かめたのかな……」
「え、そこは谷先生に聞いてみないと
知らないけど。
ねえ、愛理栖はどうしてそんなに宙のことが気になるの？」
「宙、今病院にいるよ」
「え、どういうこと？
宙に何かあったの！？」
「やっぱりね。
私以外、みんなあの時の記憶が無くなってる」
「あの時の記憶って何？」
「宙の弟の大気くんのこと。
大気くん、病院でずっと寝てるんだよ」
「病院で寝てるって何で！？」
「大気くん、交通事故にあって植物状態なんだよ。
だから、宙は両親と病院で大気くんの病室にいるんだよ」
「なんでそんな大事なこと、愛理栖だけが知ってるの？ねえ？」
「私も最初は忘れていたよ。だけど、5次元の特殊な存在だからかもしれない。
私は思い出すことができたよ」
「そんな……。
ねえ、あたし宙のいる病院行ってくる！」
「落ち着いてよ、真智。
行っても家族以外は面会謝絶だよ」
「だったら、どうしたらいいって言うの！！」
「落ち着いて。
ねえ、私に考えがあるから、
今から谷先生と四葉ちゃんを呼んでくれない？」
「え、何かいい方法あるの？」
「わからないよ。
だけど、何もせず諦めるのも嫌だし」
「本当よね、愛理栖？
本当よね！？」
「大気くんが助かる保証なんて全く無いよ。
だけど、例え1パーセントでも
大気くんが助かる可能性にかけてみたいでしょ？」
「う、うん。
わかった。
ありがとう、愛理栖」
「善は急げね。
真智はみんなに連絡する時、集合場所は谷先生のアパートのラボにして」
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