第37話 夜桜
ぶらぶらと夜桜を眺める。
少し寒い。
こんな時は熱燗がいいな。
「パパ、どうぞ」
息子が湯気の立つコップを差し出した。
妻も微笑んでいる。
湯気を深く吸い込むと、体の芯から温まる気がした。
ああ、うまい。
ありがとう。
俺の墓に手を合わせる二人の上に、桜の花びらを降らせた。
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