第4話 中層の攻略講座1


 上層の攻略講座はあらかた撮り終えた。

 次は中層にいこう。

 ダンジョンはバームクーヘンのように、穴が真下へと続いている形状だ。

 その形状から、ダンジョンは通称アビスとも呼ばれている。

 大きな穴の中を、螺旋状の坂道を下っていく感じだ。

 上層から中層へスキップするときは、穴の中を飛び降りればいい。


 俺は穴の中心に向かって、ダイブした。

 そしてちょうど中層あたりまで降りたところで、着地。

 着地の際には、足元に風魔法を送り、勢いを殺す。

 

「えーっと、このように風魔法を使えば安全に着地できます。通称ダンジョンスキップと呼ばれるやり方ですね。これをすれば、上層をスキップして中層へ来られます」


 俺は中層へとやってきた。

 中層は上層以上に気を付けなければならないところだ。

 さて、まず俺の前に現れたのはオークだ。

 オークは体の大きな豚顔の魔物だ。

 こいつはかなりの強敵で、上級者でも一歩間違えれば簡単に命を落とす。

 なによりも、その攻撃力の高さが厄介だ。

 だから、攻撃される前に倒すのがセオリーだ。


「えーっと、オークが出てきましたね。オークの攻撃は当たるとひとたまりもありません。なので、攻撃される前に近づいてください」


 俺は一気にオークへと距離を詰める。

 風魔法の応用で、足元へ風を送り、瞬時に相手との距離を詰めることができる。

 まあ、この辺は説明するまでもないだろう。


「そして、オークの足元を狙ってください。オークの膝を思い切りパンチしましょう。そしたら体重の重いオークはそのまま倒れます」


 ――ドガ!

 ――ズドーン!


 俺はオークの膝を殴り、オークを転倒させる。

 体重が重く、身体のバランスがいびつなオークは、一度転ぶと、なかなか自力で立ち上がることはできない。


「こうなるとあとはこっちのものですね。倒れたオークの頭を踏みつぶしましょう」


 ――ズドン!


 俺はオークの頭蓋を踏みつぶした。

 オークは絶命する。


「さすがにオークの死体はでかくて足じゃ潰せないので、ブラックホール魔法を使いましょう。ブラックホール魔法で圧縮して吸収すれば、死体は残りませんね。ここから先の大きめのモンスターを処理するのに、このブラックホール魔法が必須になってきます。なので中層以降に潜る方は、まずブラックホール魔法を習得するのを推奨しますね」


 えい!

 俺はオークの死体に向けてブラックホール魔法を放つ。

 するとオークの身体は小さくなって、吸い込まれていった。

 ブラックホール魔法に吸い込まれたものがどこに消えるのかは、謎だ。


「ただブラックホール魔法は消費魔力が大きいので、あまり使いたくはないですけどね。なるべく、モンスターを集めたあとに処理しましょう。おすすめは、アイテムボックスに一度死体を収納しておくことです。こうすれば、あとでダンジョンを出てから処理してもいいですしね」


 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 


 301: 名無しのダンチューバー

 上層編見終わった

 なんだったんだこれは……

 

 302: 名無しのダンチューバー

 わからん……

 全然講座になってないんだが……

 なんにも参考にならないw


 303: 名無しのダンチューバー

 これ国が出してるやつだよな?

 ちゃんとチェックしてるのか?


 304: 名無しのダンチューバー

 国のお偉いさんはダンジョンへ行かないから

 これのヤバさがわかってない説


 305: 名無しのダンチューバー

 こいつマジでなにものなんだよ


 306: 名無しのダンチューバー

 おい次さっそく中層編あがってるぞ


 307: 名無しのダンチューバー

 マジか

 見なければ……

 まあ見ても参考にならないけどw


 308: 名無しのダンチューバー

 これはおもろいわw

 そこらのダンジョン配信者より見ごたえあるぞw


 309: 名無しのダンチューバー

 普通にこいつ攻略組よりも強いんじゃないか?


 310: 名無しのダンチューバー

 おいまて、こいつダンジョン飛び降りたぞ


 311: 名無しのダンチューバー

 ファ……!?


 312: 名無しのダンチューバー

 自殺する気かよ……!?


 313: 名無しのダンチューバー

 待て今のどうなったんだ……!?

 こいつ上層から中層に飛び降りてるwww


 314: 名無しのダンチューバー

 普通に着地してて草なんよ


 315: 名無しのダンチューバー

 >えーっと、このように風魔法を使えば安全に着地できます。通称ダンジョンスキップと呼ばれるやり方ですね。


 いや呼ばれてねえよどこの世界だよ


 316: 名無しのダンチューバー

 こんなことできるのコイツしかいねえだろw


 317: 名無しのダンチューバー

 今の風魔法でやったのか草


 318: 名無しのダンチューバー

 ていうか風魔法まで使えんのか

 どんだけだよ

 化物か


 319: 名無しのダンチューバー

 まさか全属性使えたりして……


 320: 名無しのダンチューバー

 うわ……オーク出てきたぞ

 さすがにオークには苦戦してほしい

 人間だと信じさせてくれ


 321: 名無しのダンチューバー

 >えーっと、オークが出てきましたね。オークの攻撃は当たるとひとたまりもありません。なので、攻撃される前に近づいてください


 は……?

 どうやってだよ

 それを教えろよw

 

 322: 名無しのダンチューバー

 待て、今瞬間移動したぞコイツ!?

 なにも見えなかったんだが?


 323: 名無しのダンチューバー

 >そして、オークの足元を狙ってください。オークの膝を思い切りパンチしましょう。そしたら体重の重いオークはそのまま倒れます

 

 いや倒れねえよwww


 324: 名無しのダンチューバー

 どんな威力のパンチだよwww


 325: 名無しのダンチューバー

 素手でオーク倒してて草


 326: 名無しのダンチューバー

 ふつう拳が死ぬぞ……


 327: 名無しのダンチューバー

 >こうなるとあとはこっちのものですね。倒れたオークの頭を踏みつぶしましょう

 

 いや無理で草

 

 328: 名無しのダンチューバー

 足のパワーいかれてるだろ……


 329: 名無しのダンチューバー

 あーあ、オークぺちゃんこだよ……


 330: 名無しのダンチューバー

 どんな威力やねん


 331: 名無しのダンチューバー

 こいつさっきから化物か?


 332: 名無しのダンチューバー

 >さすがにオークの死体はでかくて足じゃ潰せないので、ブラックホール魔法を使いましょう。ブラックホール魔法で圧縮して吸収すれば、死体は残りませんね。ここから先の大きめのモンスターを処理するのに、このブラックホール魔法が必須になってきます。なので中層以降に潜る方は、まずブラックホール魔法を習得するのを推奨しますね


 え、待って……ブラックホール魔法てなに?


 333: 名無しのダンチューバー

 当然のように出てきた謎の魔法


 334: 名無しのダンチューバー

 必須らしいけどそんなもん知らんくて草


 335: 名無しのダンチューバー

 どこで覚えたんだよそんな恐ろしい魔法w


 336: 名無しのダンチューバー

 習得するのを推奨しますって

 その習得方法を教えろよw


 337: 名無しのダンチューバー

 ダメだ……常識がなんにも通じない


 338: 名無しのダンチューバー

 スキルの習得方法載ってるwikiにもそんな魔法書いてないぞ……?


 339: 名無しのダンチューバー

 この習得方法公開するだけで一生食えるんじゃないか?


 340: 名無しのダンチューバー

 まるで覚えてて当たり前みたいに言うなw


 341: 名無しのダンチューバー

 その習得方法を動画にしやがれ


 342: 名無しのダンチューバー

 ていうかコイツマジでなにものなんだ

 そもそも


 343: 名無しのダンチューバー

 大手クランのマスターとかじゃね?


 344: 名無しのダンチューバー

 いや、杉田とかきいたことない名前だぞ

 無名も無名よ


 345: 名無しのダンチューバー

 じゃあソロの探索者なのか?

 今までどこに隠れてたんだよこんな化物……


 346: 名無しのダンチューバー

 これは大手クランからの勧誘も待ったなしですな


 347: 名無しのダンチューバー

 >おすすめは、アイテムボックスに一度死体を収納しておくことです


 いやだからそのアイテムボックスの取り方を教えろってw


 348: 名無しのダンチューバー

 なんにも参考にならねえな……w

 でもおもろいわw


 349: 名無しのダンチューバー

 これでまだ中層という事実……

 これが下層ならどうなるんだ……?w


 350: 名無しのダンチューバー

 はやく次の動画が見たくなってる俺がいる

 

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