掌編・短編集

Rotten flower

掌編集

飼い犬に手を噛まれる(虐)

「いや、かなり大胆にやられてさ。」

僕は電話でそう告げた。

「何に?」

僕が主語を抜いたせいか、何に大胆にやられたか分からなかったらしい。当時、心の中で焦っていた僕は、

「まさに大胆に裏切られたよ。」

と言った。相手は呆れたのか、

「そうか、まさにまさに飼い犬に手を噛まれたみたいだな。」

すると、何事もなかったかのように、

「いや、足ごとやられたよ。そういえば、君よりも先に救急車を呼ぶべきだったな。」

そう俺は言った。

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