第12話

 あれから数日がたった。

僕達は、再びショッピングモールに来ている。

今度はしっかり2人で選んで決めて回ることにした。

衣装は前回と同じ。リベンジだ。

デート2回目開始である。


 猫カフェ。

 今日は落ち着いていける。

 “にゃー”。

 猫が膝の上に乗っている。

僕はそれを優しく撫でた。

気持ちよさそうにあくびをしている。

かわいい。

 ソフィアは相変わらず苦戦しているようだ。

 「一度ならず二度までも。」

 oh......。近づけば近づくほど避けられてる。

僕に気づいた彼女は膝に乗ってる猫に手を出そうとしたけど。

 “に''ゃ''ー”

 ペシっ、とあからさまな拒絶をされた。

仕方ないので猫を撫でつつソフィアの頭を撫でた。

なんだこれ。


 服屋。

 うーむ。

どうしようか。

転生してからというものの。

真剣に服選びをしたことなかった。

 僕にファッションセンスの自信はない。

しかしやってみよう。

 (「これが良いじゃない?。」)

 声に導かれて服を手に取った。

水色と白のグラデーションのミニスカートのワンピースドレス。

レイよ…。

まあいいかと更衣室いって試着することにした。

ふむ。なかなか良いではないか。

 「ユイ。決まりましたか。」

 カーテンの向こうからソフィアの声が聞こえる。

カーテンを開け見せびらかした。おそらくドヤ顔だ。

 「っ……。」

 腰が抜けるような崩れ方しなくても。

立ち上がったソフィアが急いでなにかを取りに行った。

取ってきたのは肩を覆う薄手のケープ。

それを私に羽織った。

 「ちょっと露出が多いです。」

 照れくさそうにポンポンしてくる。

 「あっ。うん。ありがとう。」

 なんか恥ずかしくなってケープを掴む。

うぅ〜。恥ずかしい。


 ご飯を食べて帰り道。

こんなに楽しいのは久しぶり。

本当に久しぶりだった。

疲れたのかちょっと眠い。

 「寝てもいいですよ。」

 「大丈夫……。」

 せめて家までは一緒にいたい。

無意識だろうか。

気がついたらソフィアの手を握った。

恋人繋ぎはまだ早いけど。

それでも……。



―――――



 家に着くなりユイはソファーで寝てしまった。

かわいい寝顔。

今日は突然倒れることもなく無事デートも終えられて良かった。

今日着てたワンピースドレスはとても美しくて可愛くて。

今度私の家の方に来る時に着て欲しい。


 ユイを部屋のベッドに運ぶ。

かわいい寝顔を抱き抱えながら。

ユイは少し前に帰ってきてから、なにか変わったような。付き物が取れたような。

 でも明るいユイは私は好きだ。

笑顔で、元気で、毎日を楽しむようになって。

 「んっ…っ……。」

 ベッドの上で寝返った。

 「ん。んぁ……。」

 目が覚めたのか身体を起こす。

 「おはよう。ユイ。」

 「ん。あれ……。もう家?。」

 どうやらまだ少し夢うつつらしい。

あくびをしながら周囲を見渡す動作がかわいい。

 「ご飯作りますから、着替えて降りてきてくださいね。」

 「ん〜。わかった〜。お母さん。」

 !?。寝ぼけてお母さん呼び。

かわいいけど。けれど。

私はなんとかこの気持ちを振り絞って部屋を出た。


 そして春休みも終わり。

ユイは無事高校生になった。

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