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「色々と気を使わせてしまってごめんなさい…。お金はこちらで足りる?」
ギルバートとルフェルニアが馬車に乗り込んだところで、ルフェルニアは紙幣を何枚か取り出した。馬車の中にマーサはおらず、どうやら会食の前にホテルに帰したようだった。
「金はいらない。追加で頼んでくれたものは俺のためだったんだろう?」
「うん、そうよ。」
「それよりも、こんな時間にひとりで出歩くなんて、何を考えているんだ。」
ギルバートが脚を組んで、じとり、とルフェルニアを見ると、ルフェルニアは叱られた子どものようにしゅんとした様子を見せた。
ギルバートも、ルフェルニアの目元が赤くなっていることに気づいていた。
きっとユリウスと上手く話せなかったのだろうと、ギルバートはすぐに合点がいった。
「少し、外出したい気分になって…。かえって、迷惑をかけてしまって申し訳ないわ。」
「別に、迷惑だと思っていないが、君は貴族令嬢なんだから、安全に気を配るべきだ。」
ギルバートの口調はぶっきらぼうで冷たく聞こえたが、ルフェルニアにはギルバートが心配してくれているのだとわかった。
「ありがとう。」
ルフェルニアが感謝の気持ちを伝えると、ギルバートはわずかに頷いた。
その後もぽつぽつと2人で話していると、馬車はすぐにホテルの前に到着した。
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