第19話
「はは……。お礼なんて。僕の大事な娘が侮辱されたんだ。着いていくのは当たり前だろう。それに公爵令嬢が君じゃなく侯爵子息を呼び出すなんて僕から見てもおかしいのは分かるからね。」
「ふふ…。心強いです。では3日後……よろしくお願いします 」
「ああ。またカッコイイ女性のような娘のドレス姿を楽しみにしているよ。」
「まあ。ふふふ」
ぎこちないけれど不思議と親子らしい会話になり、母の本性を知りぽっかり空いた心の奥が少し埋まる感じになる。
シャンドラがあの頃のように私を娘と呼び私のちからになろうとしてくれて、まるで人が変わったよう。
そんなにメイシーは人を騙すのが上手だったのね……。
7年も家族みんなを騙し続けたなんて…ボリスと契約しなくてもメイシーは十分恐ろしいわ。
そんなことを考えながら部屋に戻った。
「ティエラ、近くにいる?」
"ええ。いるわよ"
「ちょっとお願いがあって…ウィンとルークに近いうちに会いたいことを伝えて欲しいの。」
"もちろん。少し事情も含めて話しておくわ"
「ありがとう。いつもティエラとソランに感"ストーップ。もうナーシャは感謝しすぎよ!ナーシャは契約者でしょう?私たちのご主人様なんだからっ。"
「ふふふ。でもやっぱりお礼はいいたいわ。私は2人がいてくれたおかげで色んなことに気づけたんだからっ!それにティエラと2人で街にこっそり食べ歩くのも何をするのも2人が一緒にいてくれるおかげで毎日が楽しいんだもの。」
"ふふふこの1件が落ち着いたらまた山ほど食べ歩きに行くわよ"
「もちろん♪」
"じゃあ、行ってくるわね"
"うん!よろしくね"
さあ。みんなに伝えることは伝えた。
明日はグランデ公爵令嬢と会うための勝負ドレスを買いに行こう!
この日はゆっくり部屋過ごし、食欲も湧いて運ばれてきたご飯と一緒にティエラが寄り道して買ってきた焼き鳥や今街で流行っているチーズのたっぷり入ったソーセージやマカロンなど普段食べきれないような量の食事を2人でたくさん食べてた。
きっとティエラは寄り道ついでにソランにもマカロンをたくさん差し入れしてくれたんだろうな。仲がいいのか悪いのか。ほんと2人がいてくれて幸せだな。
そのあとはゆっくりバラ風呂に使って眠った。
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'ナーシャ!!起きて!!"
「ん……んんんどうしたの?」
ふぁっと出るあくびとともに伸びをして起き上がりながら何事かと思う。
"どうしたのってもうお昼よ?寝すぎじゃない!今日はドレスを買いに行くんでしょう!?早く行きましょうよ!"
ティエラはほんと買い物が大好きだなあ……。
「私そんなに眠ってたのね。すぐ用意するわ。」
コンコンっ
「ナーシャ?あなたお義父様に何か頼んだの?明日はナーシャとグランデ公爵令嬢の所へ行くなんて言い出したのよ。」
「お母さま……」
お父様はそれ以外はなにも深く話していないんだ……。
どうしてなにも話さなかったんだろう。
とりあえず合わせておいた方がいいのかしら。
「私がこの間グランデ公爵令嬢とのやり取りを話たでしょう……だから……かなあ?」
「どういうこと?」
「仕事の件でお義父さまがグランデ公爵と話すことがあるんだって、それに着いてきなさいって言われただけよ」
「なんでナーシャがついていく必要があるの?ナーシャは令嬢からあんな酷い目にあったんだから無理に外に出る必要はないのよ?」
「お母さま……無理してる訳じゃないから大丈夫よ」
「でも……心配なの。令嬢も何をしてくるか分からないでしょう?」
「お母さま……グランデ公爵令嬢も、もしかしたら公爵のお仕事のために仲直りしてほしいのかもしれないし……」
「……でも……」
「……どうして……お母さまは私にそんなに行ってほしくないの?」
「私はナーシャが心配なの。ナーシャが外に出て誰になに何されるか分からないでしょう……?」
今まではメイシーに騙されてたとはいえ上辺だけの愛情で包むだけでシャンドラから暴力を振るわれても知っててなにも言わなかったのに何を言ってるの……。
「大丈夫よお母さま。わたしはもうそんなに弱くないわ」
「……でも」
「お母さま、そろそろレティシャの所へ戻ってあげて?私もそろそろ出かけるので 」
「出かける?ですって?ダメよ。出かけたらダメ」
お母さまはどうしてそんなに私を外に出したくないの?と聞きたいけど圧倒されて何も言えずにとりあえずこの場を誤魔化した。
「……そろそろ食事の時間だわ。お義父さまとレティシャの所へ行きましょう。」
「え……ええ。家族ってそういうものよね。良かったわ」
"……ナーシャ。無理に相手に合わせる必要はないのよ?"
"ええ……すぐ抜けるわ。ごめんね一緒に行こうって起こしてくれたのに"
"私はいいのよ。"
「お義父さま……レティシャ……一緒に食事をとろうと思って……」
「!?……いいのか?」
「……ええ 」
「お姉様と一緒に食事が取れるのね!嬉しい。私今日はお姉様の隣がいい!!」
「ふふふ。あまり困らせちゃあだめよ」
困らせてるのはお母さまだけど……
様子をみながらゆっくり食事を取る。
お母さまも機嫌が良くなってきたところだし理由も含めてもう一度しっかり伝えることにした。
「私、この食事が終わったら明日着るドレスを見に行ってもいいですか?」
シャンドラは「もちろんだよ」と即答してくれるもお母さまは悲しそうな顔になる「ナーシャ、さっき……行かないって言ったじゃない」
「……行かないとは 言ってないわ。今日はドレスを買いに行こうと思ってるの。ただそれだけで終わったらすぐ帰ってくるわ」
「レアロナ……ドレスを買いに行かせない気なのかい?」
「だって心配なんですもの……。あ、それなら私もついてゆきましょう。ふふ親子で久しぶりのお出かけね♪」
「え、ええ。そうね……」
"ティエラ~……ごめんんん"
"こんな状況じゃあ仕方ないわ。その代わりその後抜け出して遊ぼ♪。"
"ありがとう……久しぶりに外に出ると思ってるから心配なのかな……"
"かもしれないわね"
この時シャンドラは複雑そうな顔で私たちを見守っていた…
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ガタゴトガタゴト
お母様と2人で馬車に乗ってドレスショップに向かう
はあ。部屋にこもってた時はみんな私に気づくことすらなかったのに…。いざ堂々と外に出るようとすると大変なのね。
「ここのドレスショップ、良くレティシャのドレスも仕立てて貰ってるのよ?入りましょ♪」
「ええ。」
「わあ。このドレス、ナーシャに似合うんじゃない?」
淡い水色のふわふわのドレスを手に取るお母さま。
確かに子供の頃はこういうドレスに喜んでいたと思う。
けど今の私は強め女子感のあるドレスを選びたいの…。
と言える訳もなく……。
「ま……まあ。本当ね。レティシャに似合いそうだわ」
「あ、ほんとね。ナーシャとレティシャ2人で一緒にこのドレスにしましょう♪」
「え、ええ……あ!でも。こんな感じのドレスも欲しいの」
「まあ。ナーシャったら。この間令嬢に性格が悪そうって言われてたじゃない」
「ふふ。でも他の子達は綺麗と言ってくれたわ。この髪色に似合うって」
「まあ、そうだったの?じゃあたくさんお買い物しちゃいましょ♪」
そういって綺麗めなドレスと真反対のふわふわのドレスたくさん購入して帰った。
お母さまって結構お金使いも荒いんだなぁ
まあでも三本の指に入るほどの大金持ちなシャンドラと再婚してるから何も気にしないで生活してるからそんなものなのかしら。
なんて思いながら帰った。
"ナーシャ♪"
"ティエラ、さっきはごめんね"
"いいのいいの♪ちょっと休憩してからさ、今晩外に出ようよ。今日は夜市があるらしいわっ"
"夜市?楽しそうね。じゃあそうしましょ♪"
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