エリスの魔導鎧工房!
第33話 量産品を作るよ
量産品を作るよ
~エリス~
まだ真新しい工房の新品の机の上で、少し煤の付いた厚手のエプロンを着た私は、近くの鍛冶屋さんに沢山作ってもらった金属の弾丸に火薬を詰めて、封をしていくんですね。
ニクス型のアームキャノンの弾薬を作っているんですよ。 弾薬ばっかり作っていて、まるで弾薬屋さんになったみたいに、弾薬の箱が山積みになっていますけど、こういったお仕事をやっているお陰で、大繁盛!
毎度、アテナから購入していたのではスーパーニクスの消費に間に合わないと言う事で、私の魔導鎧工房にもお仕事が回って来ているんですね!
そう! 私の!! 工房にですよ!!!
マリィが作ったこのローナの街に私の工房を持つことに成功したんです!
先行者利益だとかで街の区画の一部を開拓した皆で山分けにしたのですが、私の分の区画をそのまま工房にしてオープン!
魔導鎧を使う皆やマリィは私が工房を作るのに援助までしてくれて、弾薬も作っているし、まずは順調な滑り出しではないでしょうか?
しかも、スーパーニクス型の整備場所としても指定されているので、覚えることも多くて忙しい。
スーパーニクス型は旧文明の戦艦からの技術提供で改造されたニクス型魔導鎧で、通常の五割増しの体格があるのでその分整備カ所も増えていて大変ですね。
旧文明の技術に触れられるのは素晴らしい発想を与えてくれるのですが、少し忙しすぎて自分の作りたいものを作るのは、後回し気味になってしまって贅沢な話ですが、繁盛が過ぎるのも考え物ですね。
そんなことを考えていると工房の裏手に着陸する影が見えました。
黒い長髪の女の子が、大きな襟のギルドマスターの服を着てる。
そんな子は、この町に一人しかいないですね。
マリィです。
「エリス~!魔導鎧がへこんじゃったから、直して! お願い!」
会って早々に半泣きの修理依頼ですね。 そう言って見せてきた腕部装甲には、確かにへこみがあります。
「どうしたのです? こんな所をへこませるなんて」
「投石の罠にやられちゃってさ、装甲で受けたけど、良い感じに当たっちゃったよ」
確かにアームキャノンの部分は避けてへこんでいて、ここならば装甲を入れ替えるだけだから、すぐに出来ますね。
「装甲版だけ入れ替えるので、そこに座って少し待ってくださいね!」
「よろしく頼むよ~!」
工房の裏手にあるベンチで待ってもらって優先して修理を済ませてしまいます。 何かあった時にギルドマスターが丸腰では困りますからね! 最優先ですね!
工具を持ってきて機構が歪んでいると問題なので、アームキャノンを分解清掃して様子を調べておく。
頻繁に清掃しているみたいで、マリィが魔導鎧を大事にしているのが伝わって来る。
アームキャノンに関しては、砲身の煤を掃うだけで十分みたいですね。
「大事に使っているみたいですね!」
「もちろんですとも!」
いい返事をもらった所で、装甲版の入れ替えをして、木槌で軽く叩けば綺麗にはまって元通りです。 仕上げに魔石を使って魔力のチャージも済ませて作業終了。
私の作業を見ていたマリィは、嬉しそうに微笑んでお礼を言ってきます。
「助かったよ。 エリス、ありがとうね!」
「今後ともごひいきに! 気を付けて下さいね」
私の注意を背にして明るい空へと飛び立ったマリィは、空中で一回転すると屋敷の方面へ帰っていきました。
私も工房に戻って作業の続きをやろうと、作業机に帰ってくると手伝いに呼んだイレイザが火薬を一定量ずつにして分ける作業を進めてくれていますね。
「おかえり。 エリス、作業を進めているよ」
「ありがとう。 イレイザ」
イレイザのスキルは物を消し去ってしまう強力な物で、成長したことによって消す対象を選べるので、零れた火薬などの危険物の処理をお願いしています。
それだけでは暇と言う事で、分ける作業もしてくれるので助かります。
仕事の報酬として魔導鎧のメンテナンスをする予定。
魔導鎧がたくさん触れるし、このお仕事は最高ですね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます