第12話 結月の心

僕はあの日から結月に出せない部分を谷口に出した。人に見せされない部分を沢山見せた。


谷口に抱きついて甘えて甘えたまま出して…。

年齢なんてもう忘れてた。


歳的には問題ない。18を越えて居たから。



でも突如終わりが来た。

僕は、夢中になりすぎてずっと結月の名前を口にしてた。


さすがに谷口でもそれは嫌だったみたいで


「それだけは無理」と言われその関係は終わった。


1ヶ月程だっただろうか。

あっけなく幕を閉じた。


その間も結月とは変わらなかった。

結月への思いも変わらなかった。





でも押し寄せる無意味な不安と孤独に

今度は体調を崩して…仕事中に意識をなくした。



僕はうわ言の様に


「結月…結月…結月…」と結月の名前を呼んでいた。

最初に僕を見つけたのは谷口だったが彼女は僕を放置した。

そして見つけたのはやはり結月。



「涼ちゃん?…涼太!!ねぇ涼太!!…」

「結月…結月…」

「待って。今救急車呼ぶから。病院いこ!」


結月はその場で僕を抱き寄せたまま救急車を呼んだ。


――――――――――――過労とストレス。


医者からはそう言われた。

僕はそばに居てくれてる結月に、


「店戻って。お前居ないと回んない」と言うと、

「オーナーいるから大丈夫。」


僕は…初めて結月に怒鳴った。


「行けって!!」


結月は驚きもし無ければ体を震わせる事もなかった。ただ冷静に。ただ淡々と僕に言った。


「涼ちゃん勘違いしてる。あたし、オーナーと出来てないからね?」

「わかってる」

「あたしは、涼ちゃん以外いない。」

「だから?」


僕が結月に背を向けると

結月は僕のベットに入ってきた。


背中にピタリとくっつくと、

「あたし、谷口さんとのこと知ってたよ。終わったことも全部。なんでそうなったかはわからない。だから教えて欲しい。」


僕は結月の方を向いて抱きしめた。

「お前に嫌われたくなかった。俺はずっとずっとお前が好きだし可愛くて仕方ない。目に入れても痛くない。本当に本当に大好きな人。けど俺、色んな人にヤキモチ妬いてた。今もだよ。お前が話す人全員。『結月の目を見るな』『結月の手を見るな』『全部俺だけのものなんだ』って。そのストレスの捌け口が谷口だった。そこを埋めてくれたから。でも、俺…馬鹿だからさずっとずっと結月の名前呼んでて…。それに嫌気さされた。」


「多分、普通の人なら怒ると思うし、最低だって言うと思う。でもね、あたし今の聞いて、涼ちゃんのこともっと好きになった。」

「え?なんで?」


「あたしの事好きすぎてそうなったんでしょ?」

「そうだけど、普通気持ち悪いでしょ?そんなに思われたら。独占欲強いの嫌でしょ。」

「『普通は』でしょ?あたし、『普通』じゃないから。」


結月は真っ直ぐに僕を見てそう言った。


「…結月」

「なに?」

「お前の目が好き。鼻が好き。口が好き。耳も。顎も。首も。。」



僕は結月を下にして囁きながら口付けて行った。


服の上から色んな所に口付けて行くと、

僕はまた上に戻って、結月の両腕を上げて優しく抑えた。



「お前の全部俺のものだから…お前の全部…なぁ!…」

僕は結月の首に手をかけた。


結月は微笑んでた。

「涼ちゃん。泣いていいよ。そうやって。あたし前に言わなかった?弱弱な涼太が好き。えらそうにしない涼太が好き。」


僕は…結月にキスした。

結月は首に手をかけてる僕の手の上に手を重ねて体を大きく震わせた。



「本当にお前ってやつは…。」

「涼ちゃん…」

「こっちこい。」


僕は結月を屋上へ連れて行って壁に手をつかせて突いた。


「結月。こっち。」


僕は結月を抱き上げて、突いた。


「ほら、結月、顔見せろ。そう。その顔。俺に溶かされてるその顔。俺だけに見せとけ。誰にも見せんな。いいか?お前は俺のものだから。誰にも触らせないから。」


僕は結月に締め付けられて、そのまま奥に出した。




―――――――――――――――。

「結月…」

「うん…」

「愛してる。お前のこと」

「涼ちゃん。あたしもだよ。涼ちゃんのこと愛してるから。」

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