SECOND LIFE ONLINE -LUK&CHAで変わるVRMMORPG-

天風 繋

第0話

フルダイブ型VRMMORPG『SECOND LIFE ONLINE』(略SLO)。

サービス初期から人気でサービス開始から半年がたった今もサーバー増設が行われ、プレイ人口10万人と言われている。

一時期、フルダイブ用のカプセルVR機器が市場から品薄で手に入らない時期があったほどだ。


僕こと、天宮あまみや 颯介そうすけは念願叶って今日カプセルVR機器を予約購入出来た。

届け日は、明後日になるらしい。

なかなか、早い。

もっと、かかるかと思っていた。

そういえば、2ndスターターの為のイベントが明々後日からだったな。

それに合わせているのかもしれない。


実は、SLOの特別同梱版のセカンドモデルが今日販売だったんだ。

バイト代もずっと貯めて、先月やっと目標金額を達成した。

本当は、SLOの初期を買おうとしていたんだけど、あの時は貯めていたお金を別の事に使う羽目になったんだよなぁ。

でも、あの時はああするしか無かった。

いいんだ、見ず知らずのあの子が困っていたんだから。

まあ、お人好しなのは分かってる。

でも、どうしても助けたかったんだ。


僕は、購入履歴を眺めながら2日間を心待ちにした。



2日後。4月7日。

今日から、高校3年生に僕はなる。

朝から始業式があるから高校へ向かう。

設置工事は、親に立ち会いを頼んだ。

帰ってきたら、セットアップしてキャラメイクして。

わぁ、楽しみで仕方ない。


僕は、スキップでもするかのように足取り軽く、普段は面倒くさくて仕方のない学校への坂道を歩いていた。


「よう、颯介!なんか、ご機嫌だな」


背後から急に声を掛けられる。

声からして、あいつしかいない。

僕は、振り返る。


「ああ、まもる

聞いてくれよ、今日SLOの同梱版セカンドモデルが届くんだよ」

「お、颯介もやっと始めるのか」


長身。茶髪。イケメン。

それが、鈴原 衛を表す単語だ。

イケメン死すべし!

おっと、本音が。

彼とは、小学生時代からの腐れ縁だ。

小中高とずっと俺と友達でいてくれるいいやつだ。

イケメンだけど。


「まあ、2ndスターターだからのんびりプレイしていくけどね」

「ゲームなんだから、いいんじゃね。

それより、始めたら向こうでフレンド登録しようぜ」

「もちろん。でもいいのか?TOPプレイヤーさん」


衛は、SLOの世界ではランキング上位にいるTOPプレイヤーだ。

だから、いろんなゲームの話を聞いてて毎日羨ましかったんだよね。


「なにいってんだよ、俺が颯介と遊びたいんだ。いいだろ」

「うん、ありがとう。衛」


僕らは、やがて学校に着きクラス分けの組み分け表の前へとやってきた。


「えっと、クラスどこだろう?」

「ん?1組から見てくか。颯介、9組からよろしく」

「オッケー」


僕らは、二手に分かれてお互いの名前を探していく。

9組、8組、7組・・・5組までくるとちょうど衛もそこで立ち止まっていた。


「衛、あった?」

「おう、5組だな。今年もよろしく、颯介」

「うん、よろしく」

「これで、12年連続同じクラスか・・・でも、これで最後だな」

「そうだね、大学は流石にね」


僕と衛は、そのまま教室へと向かう。

僕の席は、天宮だから出席番号は大体1番だから窓側の一番前くらいだろうな。

でも、そこには女生徒が腰を掛けていた。

珍しく、僕は出席番号1番ではないらしい。


僕は、彼女の後ろの席に座る。

ボブヘアの黒髪。

どこか、細目できつそうな表情。

右目の下には泣きぼくろがある。

それにしても、なんだか見覚えがあるような?

誰だったかな。

僕は、彼女に挨拶をすることにした。


「えっと、初めましてかな?

僕は、天宮 颯介。

後ろの席になるのは、短い間かもだけどよろしく」


女生徒は、少し驚いた顔をしていたがすぐに表情を戻した。

僕は、彼女の横を通り後ろの席に座る。


「天宮くんですね、こちらこそよろしくお願いします。

私、浅井 恵那です」


聞かない名前だな。

転校生だろか?

でも、なんか見覚えがあるんだけど。


「実は、私転校してきたばかりなんです」

「あ、そうなんだね。

転校してきたばかりだと心細いよね。

なにかあれば・・・僕でよかったら仲良くしてよ」

「はい、ありがとうございます・・・」


浅井さんは、笑みを浮かべた。

きつそうにしていた目は、笑みを浮かべると柔らかな印象に変わった。

可愛い子だな。


それから、全校放送で始業式が始まる。

僕は、SLOのキャラメイクを考えながらぼーっと過ごした。

プレイさえしていれば、スマホとリンクできるからいろんなことができるのに残念だ。

僕は、心を躍らせながら始業式の時間を過ごすのだった。



始業式が終わって、僕は鞄を引っ提げて大急ぎで家へと帰る。

浅井さんが、僕になにか話しかけようとしていたけどまた明日話をしよう。


自室へと駆け込むとそこには一人用のソファのような見た目にバイザーが上から下りてくるようなカプセルが鎮座していた。

これが、カプセルVR機器か。

よし、セットアップを終わらせよう。

僕は、マニュアル片手にセットアップとスキャニングをする。


昼ご飯を食べてから僕は、SLOをプレイしてみることにした。

イベントは明日からだけどプレイ自体はできるらしいから。

楽しみだ。



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