うちう論
「はちみつがかけられるから
かき氷よりアイスバニラ好きな」父
「味がすれば何でもいいけど
南極をなるべくちょうだい」母
「冒頭から説教が始まる詩集
みたいに泳ぐ練習をしてます」僕
こんな胸は誰のもの
春を知らぬビレアを抱えふと思う
とうきびに
「チビ」と言われ
八月の渡り鳥を眺めるだけ
かと言って下を向けば
解体が始まって死におり蝉
内緒話隠すように
ざわざわめく葉脈
逃げるべきだろうか
皺のない手によく馴染む
歯ブラシを選ぶ君が金歯なわけ
水筒に乱反射して
肥大化する蒼
あるいは成層圏
おじさんの歪んだ愛から
金魚を救っては いつか龍にしよう
名を知らぬ女抱いた自慢から
始まる夏休み 15年前のこと
いたいいたい注射は忘れ
ひとりきり舐める飴 あまあい
次会う時 頸動脈狙われる
気して 三毛猫の住処を覚えおり
化けて出ろそして叱ってみなと
墓石蹴れば 発熱の深夜
シャンプーと汗とたこ焼きのにおい
混ぜるぐらい寄り添っている
ある時は花火から逃げ
君と僕で解き放つ「うちう」論
「冥王星は」「ひとりぼっち」
「土星は」「おしゃれさん」
「僕は?」「たよりないひと」
休耕地を脅すしか能が無い
鉄塔も登れば星が見れる
台所→鼓膜へおちる
水なすが
天ぷらにされる音
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます