160.純粋に強化しかないではないか。

 遂に大迷宮にてオリハルコンとエリクシールが出現する深層に入ったとのことだ。

 これで後は宝箱から両方が入手できればいい。

 〈天運〉様にお祈りしておこう。


 さて夕方から続々と〈代理人〉たちが戻ってくる。

 今日のリザルトは?


 まずエチゴヤ商会が雇った従業員の背後関係をギュベイと〈代理人〉たちが調べ上げた。

 俺のスキルは隠密や監視に強力なものが揃っているのだが、密偵としての経験値がゼロなのでギュベイに指揮を頼んだ。

 効率よく監視や尾行などを行い、従業員たち全員の背後が割れたわけだ。

 全員が国王派の紐付きとはね。

 驚いたがそれだけだ。

 優秀な人材たちなので知らないフリを続けながら、働いてもらおう。


 ミカワヤは相変わらず未亡人のセエレに首ったけ。

 娘のニアにセエレとの結婚を認めさせたようだが、三歳児にオジサン呼ばわりされている時点でまだまだ家族とは言えない状態だ。

 そのうちニアが成長したら、どうなるのだろうか。

 それまでに良い関係性を築けるといいね。


 大迷宮では早速、アカリリスが無双してた。

 ちょっとひとりではしゃぎすぎなので、縛りを設けてベルナベルや〈代理人〉が戦闘に参加できるようにしてもらったが、……強いなアカリリス。

 さて肝心の宝箱の中身だが、……スキルオーブがひとつ入手できた。

 〈騎馬召喚〉のスキルオーブだ。

 これは甲冑を纏った軍馬を召喚するスキルであり、〈乗馬〉が必要になるものの移動が楽になる良いスキルだ。

 ボーンスナイパーは騎乗能力がないし、ボーンガーディアンは騎乗能力はあるのだが重量オーバーで乗ることができない。

 〈代理人〉の移動用だな。


 宝箱設置のダンジョン管理人からは有用なスキルオーブをひとつ入手してきた。

 〈ゴースト召喚〉である。

 奇しくも召喚スキルがさらに増えるわけだが、ゴーストはその名の通り通常の武器を無効する透過能力を持っているものの、自身は非力で攻撃力は低い。

 正直、大迷宮の第百二十階層以降の戦いに出番はないだろう。


 ではふたつのスキルオーブを使用しようか。


《〈騎馬召喚〉のスキルを習得しました》

《〈ゴースト召喚〉のスキルを習得しました》

《〈騎馬召喚〉と〈ゴースト召喚〉を統合します。〈霊馬召喚〉を習得しました》


 あれ、そのふたつって統合されるの?

 ちょっと想定外だったが、試しに霊馬を召喚してみることにする。


 甲冑を纏った軍馬の霊だな。

 足元が炎のように揺らめいて浮いており、全体的に馬の部分は透き通っている。


「ほう、甲冑を纏ったゴーストホース……しかも騎獣か。なかなか面白いものを召喚できるようになったようじゃな」


「主様。そのゴーストホースは重量制限がなく、足場が悪くとも揺れることもない優れた騎獣です」


「へえ……って重量制限ないのか? それじゃあボーンガーディアンが乗れるじゃないか」


 ボーンガーディアンを召喚する。

 〈隠し部屋〉では天井がギリギリだが、確かに普通に騎乗できた。


 これはいいな。

 ボーンガーディアンは重装備ゆえに走るのがあまり早くなく、前線に辿り着くのが遅いのが最近の悩みだったのだ。

 それが解消されるとあっては、純粋に強化しかないではないか。


「しかも馬の方は霊体だから、かなり頑丈じゃぞ。将を射んと欲すれば先ず馬を射よとも言うが、甲冑と霊体のお陰でなかなか死なぬ。面白いのう」


「主様、たくさん並べて突撃させれば、人類程度の軍隊ならあっという間に壊滅できると思う。〈隠れ家〉に用意してあるボーンガーディアン用に、百騎用意すべき」


「なるほど、それはやっておこう」


 かなり以前の話だが、魔王城に攻め入った際に用意したボーンガーディアン百体が隠れ家に待機させてあるのだ。

 同様に霊馬も百体、用意しておけばいつでも凶悪な騎兵を繰り出せる。


 さてリザルトは終わった。

 ベルナベルは〈淫夢〉で精を集めてくると言って出かけていった。


 さてでは錬金術を――と思ったが、アカリリスがじっと俺を見上げていた。


「アカリリス、ベルナベルとするのは一日置きなんだ。アカリリスは何かしたいこととかあるか?」


「…………特にすべきことはない。主様は夜中、何をする?」


「俺は錬金術の実験だな。日中もしているから別に夜までする必要もないんだが……」


「分かった。主様の錬金術を見学している」


「そうか? 退屈になったなら言ってくれよ」


「退屈には慣れている」


 アカリリス用に椅子とテーブルを用意して、俺は錬金術の研鑽を行うことにした。

 なにせ賢者の石の素材が集まりそうだからな、腕は磨いておきたい。


 ◆


《名前 コウセイ 種族 人間族ヒューマン 性別 男 年齢 20

 クラス 自宅警備員 レベル 105

 スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈念話〉〈槍聖〉〈暗視〉

     〈気配察知〉〈危険感知〉〈気配遮断〉〈魔力隠蔽〉〈精密作業〉

     〈性豪〉〈料理〉〈醸造〉〈錬金術〉〈農耕〉〈礼儀作法〉〈審美眼〉

     〈酒豪〉〈感覚遮断〉〈オートマッピング〉〈呪破〉〈福音の祈り〉

     〈新緑の魔手〉〈麻痺眼〉〈未来視〉〈霊馬召喚〉〈闇:召喚Ⅱ〉

     〈空間:防御〉〈時間:治癒〉〈創造:槍〉〈精霊:使役〉

     〈同時発動〉〈高速詠唱〉〈通信販売〉〈新聞閲覧〉〈相場〉

     〈個人輸入〉〈魔力眼〉〈多重人格〉〈睡眠不要〉

     〈ボーンガーディアン召喚〉〈別荘〉〈夜の王〉〈隠れ里〉〈牢獄〉

     〈テイム〉〈監視カメラ〉〈ホットライン〉〈帰還〉〈百面相〉

     〈領域支配〉〈隠れ家Ⅲ〉〈代理人Ⅲ〉〈眷属強化〉

     〈ダンジョンマスター〉〈浮遊島〉〈城塞〉〈リサイクル〉

     〈永続召喚〉〈地下迷宮〉〈天運〉〈ボーンスナイパー召喚〉

     〈地脈操作〉〈霊脈操作〉〈全異常無効〉〈王威〉〈寄生〉〈天冥眼〉

     〈王道楽土〉〈アイテムボックス〉〈経験値100倍〉

     〈契約:ベルナベル〉〈契約:アカリリス〉〈隷属:青葉族〉

     〈隷属:黒影族〉〈隷属:魔王軍〉〈従魔:マーダーホーネット〉

     〈従魔:レッドキャトル〉〈従魔:アイスドラゴン〉》

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